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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第47話 『 アマガミさんとちょっとの自覚 』

「やっぱあたしは本屋よりゲーセンだな」

「ついつい足を運んじゃう場所だよね」


 本も無事買い終え、お次は近くにあったゲームセンターエリアに足を運んだ僕ら。


「そういや聞きたいことがあんだけどさ、ボッチってクレーンゲーム得意なのか?」

「べつに得意ってわけでもないよ。でもどうしてそんなことを?」


 辺りをふらふらと散策していると突然アマガミさんにそんなことを聞かれた。


「ほら。前にあたしにぬいぐるみ獲ってくれたことあるだろ」

「……覚えててくれたんだ」

「忘れるわけないだろ。あたしにとっては嬉しかったことなんだから」


 あの日の出来事は僕にとっても今でも鮮明に思い出せ――いや、アマガミさんとの出来事は今でも全て、鮮明に思い出せる。


「あたしが何回やっても獲れなかったものを一回やっただけで獲ってみせてさ。そんでなんにも躊躇わずにあたしにくれた」

「あはは。押し付けるみたいな形で渡しちゃったけどね」

「だな。あん時はボッチのこと心底意味分かんねぇやつだなって思った」


 でも、とアマガミさんは一度言葉を区切ると、真っ直ぐに僕を見つめながら、


「でも、今は違う。ボッチと話したりして、こんな風に遊んだりして、一緒にいて知れた。お前がめちゃくちゃいい奴で、あたしの大事な友達ダチで――ボッチのこと、手放したくないって思ってる」

「――アマガミさん」


 不意に伸びてくる右手が、僕の頬にそっと触れてきた。

 けれど、僕の意識はそこあらず、全ては赤瞳と彼女の微笑みに注がれていた。


「とても、とても光栄だよ。アマガミさんにそう思ってもらえているなら、僕こそアマガミさんの友達になれてよかった」


 この言葉に嘘偽りなんてない。彼女にそう思ってもらえることが、僕にとってどれほど嬉しいことか。きっと他の人にとっては、友達という関係にそこまで特別な感情を宿すことはないだろう。

 けれど、僕は違う。いや、僕とアマガミさんは違う。

 友達という関係。しかしそこには、確かに〝絆〟と呼べる友情があった。

 それを、互いに芽生えた友情を感じていると――


「――はぁ⁉ あ、あああたしなにやってるんだ⁉」

「うわっ。どうしたのそんな急に驚いて?」


 突然顔を真っ赤にしたアマガミさんが目を白黒させる。

 それから勢いよく僕の頬からアマガミさんの手が離れると、ようやく彼女が驚愕した理由が分かった気がした。

 そういえばいつの間にか、アマガミさんの手が僕の頬に触れていたことに気付く。


「無意識に手が伸びてた⁉ やべえ、こんなこと初めてだ⁉」

「そ、そんなに驚くことかな?」

「当たり前だろ! ……でも途中でボッチに触りたいと思って。てかなんでボッチに触りたいと思ったんだあたし⁉」


 頭を掻きむしりながら悶えるアマガミさん。


「マジで意味が分かんねぇ。これじゃあまるで……」

「? なに?」


 バッと振り向いたアマガミさんが、顔を真っ赤にして僕を見つめてくる。


「いやいや。まさかな」

「どうしたの? なんか冷や汗すごいけど……」

「はは。ははは。なわけない。違うよなボッチ!」

「いたっ。なんで急に背中叩くのさ?」

「あたしとボッチは友達! それ以外はありえない! だよなボッチ!」

「さっきから何言ってるか全然分かんないんだけど……でも友達であることに変わりないよ」

「だよなぁ! そうだ。それ以外はない。うん。これは気のせい。間違い。絶対違う」

「アマガミさーん?」


 何か動揺している様子のアマガミさんの顔の前で手を振ると、勢いよく振り向いた彼女が僕の肩に腕を回してきて。


「よし。ゾンビ殺しにいくぞ」

「急にバイオレンス⁉ え、なんで……」

「なんでもへったくれもねぇ。今はとにかく、目いっぱい動いてスッキリしてぇ」

「まぁなんでもいいけどさ」


 先ほどからどこか様子がおかしいアマガミさん。僕は困惑しながらも頷き、ぐいぐい歩き出すアマガミさんの歩調に慌てて合わせる。


「なわけない。なわけない。なわけない」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫に決まってんだろ! ほら行くぞ!」


 ゲーム機に向かうまでの間、アマガミさんは念仏のようにそんな言葉を繰り返すのだった。


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