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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第46話 『 アマガミさんと本屋での一幕 』

 昼食も済ませ、現在僕とアマガミさんは複合型ショッピングモールを散策していた。

 そして今は、僕らは書店で本を眺めていた。


「あ、この新刊買っていこ」

「オタクがオタクらしい本買おうとしてる」


 さり気なく悪態を吐くアマガミさんに苦笑。それからアマガミさんは僕が手にしたラノベを興味深そうに覗き込んできた。


「なになに……『出会い系アプリから始まる結婚生活』ねぇ。ハッ。なんだこの現実じゃ百パーありえねぇようなタイトルは」

「あはは。普通は誰だってそう思うよね。でもこれ、この本を書いてる作家さんのほぼ実話なんだよね」

「そうなのか⁉」


 ギョッと目を剥くアマガミさんに、僕はこくりと頷く。


「まぁ、この事実を知ってる人はほとんどいないんだけど」

「ならなんでボッチは知ってるんだよ?」

「それは内緒」

「くぅぅぅ気になる。なぁ教えてくれー」

「アマガミさんの頼みでもこれだけは無理かな。でも、ヒントをあげると……」

「なんだ?」

「案外近くにいるかもね」

「なんだその意味深な発言は。余計気になるだろー」


 アマガミさんがもどかしそうに呻き、僕の肩を掴んで揺さぶってくる。


「つーかそれ面白いのか?」

「もちろん! 気になるなら今度貸すよ。家に全巻あるし」

「いやお前ん家行った時に読むからいいよ。でもあたし、小説とか読んだこと一度もねえや。読み切れるかな」

「これまで読書感想文どうしてたのさ」

「あぁ? んなの適当に終わらせてたに決まってるだろ」

「あはは。力技だったんだね」


 アマガミさんらしいといえばアマガミさんらしいやり方で、僕は苦笑い。


「でも心配する必要はないよ。ラノベは読み易いし、それにハル先生の作品は面白いから」

「ふーん。この本の作者ハルっていうのか」

「うん。動画配信にも顔出してたりしてすごく有名なんだよ」


 僕はポケットからスマホを取り出すと、ネットからハル先生の顔が切り抜かれた画像を拡大してそれをアマガミさんにみせた。


「へぇ。イケメンじゃん」

「それに加えて天才作家なんだから世の中って不公平だよね」

「どうした急に世の中の不満を語り始めて。ボッチらしくない」

「らしくないなんてことはない。僕だって愚痴をこぼしたくなる時くらいあるよ」


 こういう人を見ると、自分が如何に平凡な人間なのかと思い知らされて少し嫉妬したりする。たぶん、誰にだってある感情だと思う。遠い存在に羨望を向けながらも同時に嫉妬を入り混じった感情を胸に宿すのは。


「イケメンで天才。おまけに超絶美人の奥さんまでいるんだから、羨ましい限りだよ」

「へぇ。この人結婚してるのか。あれだな。俗にいう人生勝ち組ってやつだな」

「ほんとそれ」

「でも嫉妬してるのにその人の本は読むんだな」

「だって面白いんだもん」


 そう答えると、アマガミさんはおかしそうにケラケラと笑った。


「くくっ。拗らせオタクかよ」

「拗らせてますとも。アマガミさんはこんな僕は嫌い?」

「いいや。むしろもっと親近感が湧いて気に入った」

「――っ」


 僕の醜い部分を否定するどころか肯定してくれたアマガミさん。その予想外の返答に面食らう僕をアマガミさんはジッと見つめ込んできて、


「なんだボッチ。また照れてるのか」

「て、照れてないし」

「あはは。嘘だってバレバレだぞ」


 必死に誤魔化そうとするも通じるはずもなく、アマガミさんは気分上々と笑い続ける。


 ――そんなこと言われて喜ばない方がおかしいでしょ。


 自分のダメな所を好きだと言ってることがどんなに嬉しいことか。それだけで、嫉妬なんてくだらない感情がどうでもよくなってしまった。僕って単純だ。

 嬉しさを懸命に隠そうとする僕の顔をアマガミさんは愉しそうに覗き込んできて、


「今日はあれだな。照れる回数多いな」

「お、多くないもん!」

「やっぱ照れてるボッチいいな。もっと見たくなる」

「嗜虐心を疼かせないでくれるかな!」

「安心しろ。こんな気持ちになるのはボッチだけだ。特別だぞ」

「全く嬉しくない特別だよ⁉」


 僕はもしかしたら、とんでもないイジメっ子を作り上げてしまったかもしれない。

 顔を真っ赤にして抗議する僕に、アマガミさんは腕を首に回してきて脇腹を突いてくる。


「よし。今日はボッチをめいっぱい照れさせよう!」

「それだけは本当に勘弁してください⁉」

「遠慮すんなよ。あたしに揶揄われて嬉しいくせに」

「僕にそんな趣味ないから! もうホント勘弁して!」


 楽しそうにカラカラと笑うヤンキーにイジメられる僕は、顔を真っ赤にして泣き叫ぶのだった。……ジャイ〇ンにイジメられるの〇太の気持ちが、今日少しだけ分かった気がした。



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