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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第34話 『 異性として〝好き〟か。友達として〝好き〟か 』

 ――僕はアマガミさんのことをどう思っているんだろうか。


 彼女はヤンキーで、相変わらず周囲からは敬遠されている。当の本人もそれを気にしていないから改善するなんて微塵もないので現状が改善されることもない。

 粗暴性でいえば誤解してるとは決して言い切れず、これに関しては正しいと肯定できる。

 けれど、アマガミさんは悪人じゃない。それはこれまで彼女と関わってきた僕だからこそ断言できる。ヤンキーになったのも、なにか理由がある気がする。でも、僕はまだそれを聞けるほど彼女と親しくない。

 彼女は粗暴で口も悪く、僕以外には露骨に敵意を剥き出しにする。

 それを〝個性〟という言葉で片づけてしまうのはなんだか卑怯な気がするけど、でも僕は彼女のそんな性格を嫌ってはいない。むしろツンツンしている猫みたいで可愛いとさえ思っている。多少血の気が多い猫ではあるけども。


「(……可愛い、かぁ)」


 僕は、アマガミさんのことを『可愛い人』だと思っているのだろうか。

 いや、アマガミさんは確かに可愛い。見た目に反して初心で、可愛いとか素敵とかいう言葉に弱く、すぐに照れて顔を赤くする人だ。

 でもそれ以上に、アマガミさんはカッコいい人だと思う。

 決して己を曲げず、己の言葉を貫く。周囲に群れることはなく我が道を突き進む姿は、ただ尊敬その一言に尽きた。


「(アマガミさんはカッコいいよな)」


 僕自身はあまり暴力を好まないけど、でも強い人は正直に言って羨ましい。そして、アマガミさんはその中でも凛々しい強さを持つ人だと思う。

 小さな体躯に似合わぬ雄々しさ。華奢な腕からは想像できない腕力。可愛い顔から覗く狂犬のような鋭い八重歯は、さながらバトル漫画に出てくる女番長のようだ。

 やっぱりアマガミさんはカッコいい。


「(ダメだな。最近はずっとアマガミさんのことを考えてる)」


 こうして一人でいる時なんかが特に顕著で、気付けば僕の脳裏にはアマガミさんの姿が思い浮かんでいた。

 笑った顔や不機嫌な顔。嬉しそうに何かを話す時の顔や、退屈そうな顔。色んな表情が思い出せるのは、それだけ僕がアマガミさんのことを見てきた証拠なのだろう。……あれだね。ちょっとだけ引くね。

 でも、これはもはやそういうことなのだろうか。

 たぶん、海斗くんに相談したら、きっとそうだと肯定される。


「(うーん。でもなぁ)」


 けれど僕自身がどうにも歯切れ悪いのは、(ひとえ)にそういう事情に疎いからだろう。

 僕は〝好き〟という気持ちがイマイチよく分からない。

 ううん。それにも少し誤謬があるか。僕が分からないのは、恋愛面においての好意だ。

 だからこそ、僕はアマガミさんに対する今の自分の気持ちに戸惑っていた。

 

 アマガミさんのことは、正直に言えば〝好き〟だ。


 でも、この好きが果たして異性として〝好き〟なのかは分からない。今のこの〝好き〟は、人としての好意な気がする。

 好きな人ができると世界が変わると恋愛小説や漫画ではよく言うけど、今の僕にそれは該当しない。世界はいつも通り今日も平和で、忙しくて、平凡だ。


 アマガミさんの顔を見るとドキドキしたりするけど、それはたぶん僕が異性に慣れてないだけだと思う。まぁ、アマガミさんは普通に可愛いから、笑った顔にドキッとするけど。でも、それは異性相手になら誰だって一度くらいは体験する感覚だと思う。

 好き、と声にしてみても、やはり腑に落ちていない自分がはっきりといる。

 友達としてアマガミさんが好きということにはすんなりと納得がいくのに。


「(拗らせてるのかな、僕)」


 これまで恋というものを経験してこなかったせいか。はたまた僕自身がそういうことに過剰なほど疎いのかは分からない。けど、ここまでくると自分を卑下したくなるほどの疎さだ。


「(僕は、アマガミさんとどうなりたいのかな)」


 このまま友達同士でいたいのか。それとも、それ以上の関係になりたいのか。

 現状は、このままの関係に満足している。

 一緒にお昼ご飯を食べて、ゲームをして、話をして……それだけで僕は満足だ。

 そこから先は、やっぱり上手く想像できない。

 アマガミさんと友達以上になる未来が、僕には見えない。

 それでいいような気もするし。それじゃダメな気もする。


「はぁ。どうしたいだろうか、僕は」


 袋小路に嵌る僕は、青空を見上げながら嘆くのだった。

 


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