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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第33話 『 これがコミュ強の揶揄いかた 』

「あ、アマガミさん」

「……ボッチ」


 昼休みの廊下を歩いていると偶然アマガミさんと遭遇した。


「こんなとこで何してたんだ?」

「委員会の仕事でちょっとね。そういうアマガミさんは?」

「あたしは自販機に飲み物買いに行ってた」

「そっか」


 ぷらぷらと手に持つペットボトルを振るアマガミさん。


「そういや、ボッチって何の委員会に入ってんだ?」

「気になる?」

「べつに答える気がねぇならいいよ」


 わざとらしく挑発するとアマガミさんは面倒くさそうに顔をしかめた。

 僕は「ごめん」と調子に乗ったことを反省しつつ、


「図書委員に入ってるんだよ」

「はは。なんかボッチらしい役職だな」

「そうかな」

「そうだ。いかにも引きこもりらしい役職だ」

「もう。僕は引きこもりじゃないよ。休日はわりと外に出るほうだし」

「はは。悪ぃ悪ぃ。そうだったな。ボッチは見かけによらず陽キャだったな」

「陽キャというほど積極的ではないけどな」

「あたしにウザ絡みしてきたお前が何を言う」


 アマガミさんがジト目を作りながら僕の頬を突く。


「うぐぅ。痛いよアマガミさん」

「ボッチのほっぺは男のくせに柔らかいな。それに突き甲斐がある」

「気に入らないでぇ」

「へへ。もっと突いてやる」


 僕の頬が気に入ったのか、アマガミさんが異様に頬を突いてくる。

 本気で嫌なら逃げればいいだけの話だけど、こうして彼女が積極的に絡んできてくれるのは新鮮だったので僕もついやられっぱなしの状態になっていた。


「ふぃ。ボッチはあれだな。イジリ甲斐があるな」

「そんな陰キャを揶揄うギャルみたいなこと言わないでよ」

「なんだ。ボッチはギャルが好きなのか」


 ムッツリスケベ、とアマガミさんに揶揄われる。

 僕はやれやれと嘆息しつつ、


「べつに可もなく不可もなくだよ。相手の見た目だけで好意を判別するのは好きじゃない」

「でも外見の好みはあるだろ? どんな女がタイプなんだよ」

「……うぅ、なんだか言うの恥ずかしいなぁ」

「はは。ボッチはこの手の話題が苦手なのか」


 その話題事体が苦手、というより異性と恋バナするのが苦手なのだ。

 僕はてっきりアマガミさんもこの手の話題は苦手かと思ったけど、それはどうやら僕の勘違いだったらしい。こうしてぐいぐい聞いてくるし。

 僕は顎に一指し指を当てながら好みの女性というものを思い浮かべる。


「タイプって言われてもなぁ。正直、外見は特に気にしないかな」

「貞子みたいな女でもか?」

「特徴的過ぎるのはNGで。平均的な女性であれば外見は気にしません」

「ふーん。つまりあれか、ボッチは中身で人を決めつけるわけだ」

「ちょっと言い方に刺がない? ……でも、そうだね。僕は外見よりも中身を見てその人を好きになるかな」

「お前やっぱモテるだろ」

「え? 僕、人生で一度も告白されたことないけど」


 と答えるも、アマガミさんからは何故か懐疑の視線を向けられた。


「面倒見がよくて優しいのにモテないとか、あれか。ボッチは異性として見られてないんじゃねえのか? オカン的な存在だと思われてんのかな」

「あはは。案外そうかもしれないね」

「……勿体ねぇな」

「? 何か言った? アマガミさん」


 アマガミさんは僕を見つめながら、


「勿体ねぇって言ったんだよ。ボッチは優しくてお人好しで、一緒にいて面白いやつなのにな」

「…………」


 ……そっか。アマガミさんは僕のことをそう思ってくれてるんだ。

 それは、うん。嬉しいなぁ。


「……ふへ」

「なんだよ。急に笑い出して」

「ごめんごめん。その、嬉しくてさ」

「あぁ? 何が?」


 怪訝に眉をひそめるアマガミさんに、僕は唇に指をあてて「内緒」と悪戯に笑った。


「だめ。教えてあげない」

「んだよケチだな。教えろよー」

「ふふっ。いくらアマガミさんの頼みでも言えませーん」


 やっぱり、彼女といると楽しくて、居心地がよくて、心が満たされていく。

 その気持ちを秘密にしたくて、けれど、ほんの少しだけ知って欲しいとも思えて。


「なら一つだけ教えてあげるよ。――僕も、アマガミさんと同じことを思ってるよ」

「あぁ? どういうことだよ?」

「アマガミさんは意外と話が合って一緒にいて楽しい人なのに、それを皆知らないのは勿体ないなって思ってる」

「――――」

「あと、アマガミさんは笑った顔がすごく可愛いってこともね」

「~~~~っ! 可愛いとか言うな!」


 顔を真っ赤にするアマガミさん。ほらね、可愛いでしょ?


「次あたしに可愛いとか言ったらボッチといえどぶん殴るからな?」

「ふふっ。照れてる」

「揶揄うのも禁止だ! あんまあたしを甘く見んなよ」

「分かった。これからアマガミさんを揶揄う時はタイミングを見てするね」

「くそっ。段々と調子に乗ってきやがったなボッチぃ」

「これも仲良くなった証ということで」

「くっ⁉ 多少の脅しにも動じなくなりやがった⁉ このあたしに怯まないとかなんて奴なんだ」


 悔しそうに頭をかきむしるアマガミさんを見つめながら、僕はくすくすと笑う。


「怯えるわけないでしょ。だって、アマガミさんが可愛い人って知ってるから」

「あたしは可愛くない!」


 恥ずかしそうにそっぽを向くアマガミさん。その反応が可愛いということを彼女は知らない。そして、その反応を拝めるのも今のところ僕だけの特権だった。

 まぁ、揶揄いすぎると本当に手痛いしっぺ返しを喰らうので、アマガミさんを揶揄うのはほどほどにしないとね。






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