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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第31話 『 少しずつ、縮まっていく心の距離 』

 ――夜。


 街灯の灯る夜道を僕らはゆっくりと歩いていた。


「なんか悪ぃな。夕飯までご馳走になった挙句、こうして駅まで見送りまでしてもらちまって」

「気にしないで。どれも僕がやりたくてやってることだから。それに、夜道を女の子一人で歩かせるなんて危ないしね」

「女の子扱いされるのもなんだかむず痒いものがあるな」


 照れくさげに頬を掻くアマガミさん。


「でもあれだな。ちょっとだけボッチの発言にも慣れた」


 お前の言葉は基本的に他意はない、と僕を半目で睨みながら言うアマガミさん。


「僕はありのままを言葉にしてるだけだよ」

「それが時々あたしにとっては質が悪いんだよ。ガラにでもなく浮足()っちまう時がある」

「言ってくれれば直すのに」

「それが嫌でもないからそのままでいいっ」

「あてっ。もう、なんで急に叩くのさ」

「なんでもいいだろ、なんでも」


 急に背中をべしっと叩かれた。

 僕は不服気に頬を膨らませるも、アマガミさんは知らんぷりとそっぽを向いてしまう。

 それが照れ隠しのような仕草に思えるも、先の会話のどこに照れる要因があったか分からない僕は首を捻るばかりだった。

 でも、彼女とこうして過ごす時間はやっぱり居心地がよくて。


「段々暑くなってきたねー」

「だな。梅雨はまだだけど、じめじめしてきたな」

「アマガミさんは梅雨は嫌い?」

「嫌いに決まってんだろ」

「あはは。僕も苦手」


 他愛もない会話を続けながら、僕らは歩く。友達としての適度な距離というものを保ちながら。


「ね、アマガミさん」

「んあ? なんだボッチ」

「……もしよかったらさ、また僕の家に遊びに来てよ」


 ぽつりと、静かにそう懇願すれば、不意にアマガミさんが歩くのを止めた。

 彼女は驚いたように目を大きく見開いて、そしてぱちぱちと瞬かせた。


「……いいのか、また、家に行っても」

「もちろんだよ。今日のゲームの続きだってやりたいでしょ?」

「やりたい」

「ふふ。なら僕はいつでも大歓迎だよ」


 食い気味に頷いたアマガミさんに、僕は微笑を返す。


「今日、すごく楽しかったから。今度は一緒にゲームやろうよ」

「それをお願いするのはあたしの方な気がするぞ?」

「あはは。そうかもしれないね。でも、僕はもっと、アマガミさんのことが知りたいんだ」

「――――」


 夜風が僕とアマガミさんの間を通り過ぎる。

 肌を凍てつかせるような冷たさでも、肌を焦がす熱さでもない、生温い風。

 けれどその風は、僕の高鳴っていく心臓の鼓動を煽いで。


「あたしも……あたしも、もっとボッチのこと、知りたい」

「――――」


 その生温い風に扇がれるのは、存外僕だけじゃないらしい。


「なら、また今度ボッチの家に遊びに行っていいか」

「うん。喜んで」

「――へへ。よっしゃ」


 心の底から強く頷く僕に、アマガミさんが嬉しそうに破顔した。

 その顔が、堪らなく可愛くて。


「(あぁ、僕って、アマガミさんの喜ぶ顔を見るのが好きなんだな)」

 

 僕の中にまた一つ、新たな感情が芽生えた。


「それじゃあ、行こうか」

「おう。へへ、楽しみだなぁ、あのゲームの続き」

「アマガミさん、あのゲーム気に入ったんだね」

「おうっ。今まで試してこなかったジャンルだからか、余計にハマっちまった!」

「ふふ。お気に召してくれたのならよかった。そうだ。今度来るときは何食べたい?」

「メシまで食っていいのかよ」

「一、二時間だけゲームやるって何か損した気分にならない? 僕、ストーリ系のゲームは一気に何時間もプレイしたい派なんだよね」

「それはあたしも同じだけど……はは。ボッチって、やっぱ根っからのゲーマーだな」

「ゲーム大好きだからね!」

「ふふっ。素直に認めんのお前らしいわ」


 お互い、笑みを交わし合いながら、少しずつ心の距離を縮めていく――。



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