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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第30話 『 アマガミさんと夕飯のお誘い 』

「おりゃりゃ! ハッ! その程度の攻撃が当たるかよ! 喰らえあたしの火炎放射を!」


 ゲームを始めてから早一時間ほどが経過し、順調にストーリーを進めていくアマガミさん。

 現在は最初のボス戦の最中で、4ウェーブ中(ゾンビシューティングゲームではウェーブと呼ばれるバトル数がある)の3ウェーブ目が終わろうとしていた。


「おっ。いよいよボス戦か」


 ペロリと舌を舐めずさり、アマガミさんがコントローラーをぎゅっと握り直す。


「出てきたな、ボス」

「アドバイス要る?」

「アドバイスなんか貰ったら初見でやる意味なくなるだろ」

「ふふ。だね。それじゃあ、僕は大人しく見守ってます」

「おう。あたしの華麗なる銃捌きを見てな!」

「……アマガミさん中盤から火炎放射器と刀しか使ってないよね?」


 このゲームは序盤から色々な武器を使えるのが特徴なのだが、開始早々に「エイムむずいな」という理由で銃系統の武器を使うのを止めてしまった。

 まぁ、アマガミさんは銃よりもバットとか近接武器の方が似合う気がするし、実際近接武器を使ってから各段に進行速度が上がったので相性がいいのだろう。


「おらっ! もう一発だ! ザコは火炎放射で一掃してやる! 汚物は消毒だ~!」

「おぉ。やっぱりアマガミさんゲーム上手だね」

「へへ。こんなのちょーっとやたらコツ掴むっつの」


 僕はアマガミさんのプレイを感嘆としながら見届けていた。

 ボスの看守ゾンビにカタナで連続ダメージを与え、棍棒を振り下ろしてくるタイミングで華麗に避ける。ザコゾンビには距離を取って火炎放射で一気に倒す戦法。

 僕は攻略法を何も教えていないのに、アマガミさんは最初から効率的に敵を倒せていた。

 きっとアマガミさんはコツを覚えるのが早いタイプなのだろう。

 そうこうしてるうちにボスのHP(ヒットポイント)がどんどん削れていき、やがて。


「これで、トドメだっ!」


 アマガミさんのキャラが最後の追いやりとでも言うように防御を捨てた攻めに切り替え、ダメージを厭わず攻撃を浴びせていく。


 そして。


『グアァァァ…………』

「うおっしゃあたしの勝ち!」

「おめでとうアマガミさん」


 ボスを倒してやり切った顔をするアマガミさんに僕は拍手を送る。


「へっへー。どうよボッチ。意外と上手いだろ?」

「意外なんてもんじゃないよ。すごく上手だった!」

「おぉ。そこまでべた褒めされるとちょっと照れるな」

「本当に上手だったよ! まさか近接武器でボスを倒しちゃうなんて! このゲーム基本銃の方が強いのに!」

「わ、分かった。分かったから、ちょっと落ち着け」


 興奮する僕を宥めるように促すアマガミさん。

 慌てて冷静さを取り戻す僕の隣で、アマガミさんもふぅ、と肩の力を抜く。


「にしても、このゲーム面白いな。最初はシューティングゲーかよと思ってたけど、後半熱中しちまった」

「でしょ。きっとアマガミさん気に入ってくれると思ったんだ」

「じゃあ、ボッチの思惑通りだったってことだな」


 アマガミさんは少し悔しそうな、嬉しそうな複雑な表情をみせる。


「なぁ、もうちょっとやってもいいか?」

「好きなだけ遊んで構わないよ。あ、そうだ。せっかくなら夕飯食べていく?」

「いやそこまで世話になるつもりはねぇよ。あと一時間くらいしたら帰る」

「まぁまぁ、せっかくだし食べていってよ。大したものは作れないけど」

「いや、でもなぁ」


 申し訳なさそうに頬を掻くアマガミさん。


 彼女はしばらく懊悩したあと、


「……本当に、食べていっていいのか?」

「もちろん。アマガミさんさえよければ」

「……なら、お言葉に甘えてもいいか?」

「存分に甘えてよ」


 上目遣いで問いかけてくるアマガミさんに、僕は悦んで頷く。


「じゃあ、食べていくかな」

「うん。それじゃあ、僕は今から夕飯の支度してくるから、アマガミさんは出来上がるまでゲームしてていいよ」

「え、いや手伝うよ」

「いいからいいから。アマガミさんは続きやっててよ」

「お前いいやつすぎないか?」

「全然そんなことはないよ。これもアマガミさんのことが好きでやってることだから」

「~~~~っ⁉」

「? どうしたのアマガミさん? 急に顔を真っ赤にして?」

「やっぱお前って無自覚でそういうこと言うよな! ホントッ! お前ってそういうやつだよな!」

「痛いよアマガミさん⁉ 女子とは思えない力で殴らないで⁉」

「あたしの気持ちを弄ぶボッチが(わり)い!」

「全然思い当たる節がないんだけど⁉」


 突然顔を真っ赤にしたアマガミさんが日頃たまった鬱憤を晴らすように僕の腕を殴ってくる。その威力がぽこぽこといった可愛らしいものならやられっぱなしでもいいけど、これが結構な強さで僕はたまらず涙目になってしまった。

 ようやく少し落ち着いたアマガミさんはまだ頬を朱に染めていて、ぷくぅと頬を膨らませながら僕を睨んでいた。


「ほらっ、メシ作ってくるならとっとと行ってこい」

「は、はい……柄の事をお聞きしますが、アマガミさんは生姜焼きは好きですか」

「好きだよ!」

「じゃあ、生姜焼きに決定ということで。出来上がったら呼びに来るから」

「……ん」


 まだ情緒が安定しないアマガミさんから辛うじて返事をもらいつつ、僕は困惑しながら部屋から出ようとする。――と、


「ボッチ」


 不意にアマガミさんに呼び止められて振り向けば、彼女は袖で口許を隠して、視線だけくれながら、


「……ご飯。楽しみにしてる」

「――っ。うん。楽しみに待ってて」


 照れたように、恥ずかしそうに僕に期待を掛けるアマガミさん。

 僕はそんな彼女の想いに応えるべく、気合を入れながら部屋を後にしたのだった。

 



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