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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第26話 『 アマガミさんと補習のご褒美 』

 短縮授業の終わりと同日に、アマガミさんの補習も無事満了した。


「だっは~。一生分の頭使った気がする」

「お疲れ様、アマガミさん」


 ぐったりと項垂れるアマガミさんに労いの言葉を送りつつ、僕は持参したうちわで彼女を扇いでいた。


「ボッチには悪ぃことさせちまったな。せっかく早く帰れんのに面倒ごとに付き合わせちまって」

「気にしないでいいよ。僕もついでに間違ってたところ復習できたから」

「お前勉強好きなの?」

「嫌いではないかな」

「うへぇ。意味分からん。勉強が好きとか狂ってやがる」

「好きとは言ってないけどね」


 本気で嫌そうに顔をしかめるアマガミさんに僕はあははと苦笑。


「それでこの後どうしようっか。そのまま帰る? それとも寄り道していく?」

「いや帰るよ。そもそも寄り道ってどこに行くんだよ。またあの肉屋か?」

「補習頑張ったアマガミさんにご褒美にスイーツ奢ってあげようと思ったんだけど」

「いやいや。補習付き合わせた挙句奢ってもらうとか申し訳なさ過ぎるわ」


 僕の何気ない提案を全力で拒否してくるアマガミさん。

 僕としては補習に付き合ったのも嫌々ではないし、先ほども言った通り僕側にも補習にメリットがあったから受けたわけで、アマガミさんが申し訳なく思う要素は一つもないんだけど。

 それに、結果的に教師陣から内申点をプラスでもらうこともできたわけだし。まぁ、これは補習を受けた事というより、アマガミさんに補習を受けさせた功績らしいけど。


「たくっお前は。なんでそうやってあたしをすぐ甘やかそうとするんだよ。ずっと言ってるけど、あたしはお前を気に入ってる。だから無理に好感度上げる必要なんてないんだぞ」

「そんなつもりで誘ってるんじゃないよ。僕は、ただ本当に頑張ったアマガミさんを何か労えないかと思っただけで、嫌なら止めます」

「そ、そんな顔するなよぉ」


 しゅん、と項垂れる僕を見て、アマガミさんがあわあわとする。


「そ、そりゃあたしだって甘いものは好きだし……ご、ご褒美? 貰えるならもらいたいけど……」

「ちなみにそこのスイーツ。すごく美味しいよ」

「ゆ、揺らがせるなぁっ」


 逡巡するアマガミさんが僕の腕をぽこぽこと叩いてくる。痛くはないのでそのままやられっぱなしで説得を続けてみることにした。


「オススメはエッグタルトでね。卵の濃密さとクリームの甘さが絶妙で、コーヒーとよく合うんだ」

「くっ! 想像したら涎出てきた⁉」

「その他にも、北海道産の生クリームを使用したシュークリームだったり、ブルーベリーのチーズタルト、濃厚チョコのベイクドショコラもオススメで……」

「うがあああ⁉ 頭がスイーツでいっぱいになるから止めろおおおおお! 食べたくてしょうがなくなっちまったじゃねえかよぉぉぉぉぉ」


 頭を抱えて絶叫するアマガミさん。そのまま机に項垂れる彼女の耳元で、僕はスイーツのように甘く、それでいて悪戯な道化師のような声で囁いた。


「ね。なら食べにいこうよ。アマガミさんの好きなもの食べていいからさ」

「――っ」


 これでダメなら素直に帰ろうと、彼女の耳元から離れた直後だった。

 机に顔を突っ伏すアマガミさんがちらっと視線だけ僕にくれてきて、


「……本当にいいのかよ?」

「勿論。僕の奢り」

「とことんあたしに甘いなお前は。後悔しても知んねえぞ」

「後悔なんてしないさ」


 アマガミさんと一緒にいることのどこに後悔なんて感情が湧くだろうか。

 僕は今のところ、アマガミさんと一緒にいて〝楽しい〟という感情しかない。


「はぁ。マジで、もう……うがぁぁ」


 何やら呻くアマガミさん。

 僕が大丈夫? と覗きこもうとした瞬間、アマガミさんがバッと顔を上げて、


「そうと決まればさっさと行くぞ! そんでお前のオススメスイーツ食べさせろ!」

「――ふふっ。うん。それじゃあ食べに行こうか」


 腕を組んで「奢れ!」と強気に言ってくるアマガミさんに、僕は思わず笑ってしまって。


「あ、そういえば今、限定で濃密スイートポテトも販売してるらしいよ」

「行く前に超迷わせてくんなボッチ。……つか、なんでそんな店知ってるんだ?」

「たまに家族で行ってたんだ。お父さんがスイーツ好きで、小さい頃はよくスイーツ店巡りに付き合わされたんだ」

「ふーん。それじゃあ、ここら辺のスイーツ店には詳しいのか」

「大抵は足を運んだことがあると思うよ」

「女子高いなお前⁉」


 僕とアマガミさんは会話を弾ませながら、夕焼けに染っていく廊下を歩いて行くのだった。


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