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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第11話 『 朝倉海斗とボッチ奪還作戦① 』

 俺の名前は朝倉海斗あさくらかいと


 突然のことで申し訳ないが、少し俺の話を聞いてくれ。

 俺の友達が最近、とある金髪ヤンキーと仲良くしている。


 その友達の名前は帆織智景ほしきちかげ。あだ名はボッチ。他人からすれば甚だ不名誉なあだ名でしかないはずなのに、智景のやつは「あだ名があるってなんかいいよね」と気にすることもなくむしろ喜んでいる。気に入りすぎてゲームのアカウント名も『ボッチ』にしちまうくらいのやつだ。


 少し変わっているのか、はたまた天然なのか、或いは器が大きいのかは分からないが、とにかくボッチはいい奴なのだ。

 争いごとが嫌いで朗らかな性格。ぽけーっとしているようでしかし芯の強い男。

 学級委員長を務めるほどの器量と成績優秀者。陰キャ、陽キャ、先生相手にでも臆することなく、そして分け隔てなく接することのできる天性のコミュニケーション強者。

 決して目立つことはないけれど、しかし誰よりも人を惹きつけるのがアイツ。

 それが俺の自慢の友達、帆織智景ことボッチだ。

 そんな友人が、最近クラスのヤンキーとつるんでいる。それも積極的に。


「あ、アマガミさん。今日のお昼一緒に食べない?」

「なんでだよ。あたしは一人で食う。お前は友達と食ってろ」

「そんな寂しいこと言わないでよ。それに、一人で食べるよりも誰かとご飯食べた方が美味しくない? 今日はアマガミさんの分のおかずも作ってきたんだ」

「なに勝手なことしてんだっ。そんなことされたら断れねえだろ!」


 俺は不貞腐れたように机に肘を置きながら、ボッチと天刈あまがいのコントにも似た会話を聞いていた。


「……納得いかねぇ」

「おっ。ボッチの自称親友が何か言ってんぞ」

「自称じゃねえ。中学からの親友だ」


 ぽつりと呟いた俺の言葉に、友人たちがけらけらと笑った。

 それに俺は重いため息を吐くと、


「笑いごとじゃねえだろ。智景がヤンキーと仲良くしてんだぞ」

「べつにボッチが誰と仲良くしてようがお前には関係なくね?」

「バカ。大ありだわ。相手はあの天刈だぞ」


 狂狼きょうろうのアマガミ。それがあいつ――天刈愛美に付けられた異名だ。

 中学の時に一人で他の不良たちを悉く打ち負かしたことから付けられた異名。この辺に住んでいる学生ならば、アマガミのその名を知らない者はいない。

 その暴力性、凶暴性故に『スカーレット・ブロー』という二つ名も付けられているとかいないとか。

 そんな狂暴極まりない女と普通に話している智景なのだが、俺は未だに目の前の光景を信じることができずにいた。


「この間忠告したばっかだろうが」

「お前はボッチの保護者か。まぁ、守ってやりたくなる気持ちは分かるけどさ。でもアイツ、俺たちの中じゃ一番達観した性格よ」

「そうそう。きっと天刈と話すのも、学級委員長としての使命感とかじゃないの?」

「だとしてもあの女は危険すぎる!」


 俺は強く机を叩いて抗議する。全員からはいよいよ保護者だな、と呆れられた。

 俺は大声で……さすがに天刈が近くにいるなかで彼女を罵倒することは死を意味するので全員に顔を近づけるよう指示しつつ、


「……だって、あの天刈だぞ! ヤンキーの! 金髪でピアスまで付けてる女なんだぞ!」

「それだけで危険分子って判断するのは流石に早計でしょ。そもそも、俺らの高校校則緩いから髪染めるのオッケーじゃん」

「だとしてもアクセは禁止でしょうがっ」

「いやまぁ、アイツ、ヤンキーだし」

「ヤンキーなら校則破っても許されるってか⁉ だったらそんな校則初めからなくしてしまえ⁉」

「お前ボッチの時だと三割増しで過保護になるよな。なに。お兄ちゃんなの?」


 できればアイツの兄になりたいけども。いや、どっちかつーと弟で、兄を支えるポジションもありだな。……違う。今はそんなこと考えてる暇はない。


「茶化すな。俺は本気で友達を心配してるんだ。何かあってからじゃ遅い」

「喧嘩に巻き込まれる的な? まぁ、それならお前の言い分に一理なくもないか」

「百害あって一利なしだ」

「どんだけ天刈のこと危険分子だと思ってんだよお前」

「今の時代にヤンキーやってるやつだぞ。率直にいって頭イカれてる」


 SNSが活発化した昨今、俺たち高校生でも普通に裏垢を作ってクラスメイトに罵詈雑言を吐きまくってる奴らは割といる。その渦中でヤンキーないし不良やってるとか、周囲から敬遠されるに決まってる。

 自分を曲げない生き方に多少なりとも尊敬の念はあるが、やはり群れを嫌って孤で生きるという選択肢は愚行でしかない。

 天刈は俺たちにとっては愚行と言える選択肢を取って生きている。

 そんな女に、ボッチが懐いている。飼い主と遊ぶ犬みたいに尻尾をぶんぶん振ってる。

 やばい。

 このままでは、ボッチが不良になりかねん。


「おいお前ら、どうにかして智景と天刈を引き剥す方法を考えてくれ」

「だから過保護かよ。好きさせてやればいいじゃん」

「それにボッチ。お前と話す時よりも、天刈と話してる時の方が若干活き活きしている気が……」

「それは断じてない! アイツは俺といる時の方が楽しんでいる!」

「……まだ言ってる最中だったんだけど」


 机を思い切っり叩いて反論する俺に、全員がドン引きした。


「チッ。使えないやつらだ。もういい。俺一人で智景を元に戻してみせる!」

「まだ俺ら何の案も出してないし。つーか、ボッチはまだヤンキーになった訳じゃ……」

「智景をヤンキーにはさせない!」

「「人の話聞いてねー」」


 周りの連中の冷たい視線とは裏腹に、俺はボッチ奪還作戦にやる気を漲らせるのだった。



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