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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第106話 『 アマガミさんと夏休みの宿題 』

「……納得がいかねぇ」

「…………」


 なんかんだですぐに僕の家にも慣れて、美味しいご飯のおかげかこれまでは気分上々だったアマガミさんだが、今日は露骨に不機嫌だった。

 というのも、


「なんでボッチと一日中ゲームできるって最高の環境の中で、今あたしはリビングで課題なんかしなきゃいけねえんだ!」


 ダンッ! と強くテーブルを叩きながら鬱憤を吐くアマガミさん。

 僕はそれにやれやれと嘆息すると、


「それは課題が終わってないから以外の何もないよ」

「やだやだ! 勉強なんてしたくない! 課題なんてする必要ねぇよ!」

「駄々をこねないの。忙しかったのは分かるけど、元凶を辿ればアマガミさんがずっと課題に手を付けてこなかったからでしょ?」

「ケッ。正論なんて聞きたくもないね」

「ならその塞いだ耳こじ開けて何度も言ってあげるよ!」

「うおおおお! 離せぇぇぇぇぇぇ! 勉強なんてしたくねぇぇぇぇぇぇぇ!」


 カーペットに寝転がって不貞腐れるアマガミさんを無理矢理起こして、力づくでノートに向かわせる僕。

 しばらくはゆっくりすれば、と言ったのは僕だけど、課題が終わっていないなら話は別だ。


「夏休み終わって課題提出できなかったら、一ヵ月補習って先生言ってたでしょ」

「補習なんてバックレてやる」

「バックレたら留年確定です。アマガミさんだけ進級できないのは嫌なので、ちゃんと課題終わらせてください」

「おい。なんであたしだけって決めつけてんだ。他にもいるかもしんねぇだろ」

「少なくとも僕の友達は全員終わってるよ」

「ケッ。全員優等生ぶりやがって」


 アマガミさんは不快そうに唾を吐く。


「そんな顔しないの。僕がいるんだから絶対に終わるって」

「終わるなら少しくらいゲームしてもいいじゃんか」

「ダメ。ゲームは課題が全部終わってから。それまで僕の部屋のゲーム機何も触らせないからね」

「ふんっ。べつに構わねぇよ。あたしだってツイッチ持ってんだから……」

「それ、没収ね。あと、僕がバイトでいない時に勝手に持ち出さないよう、金庫に仕舞っておくから」

「横暴だ! 暴挙だ! 人の私物没収した挙句に封じるとか、いくらなんでも非道すぎるぞ!」

「非道だろうが鬼畜だろうがどんな誹りも受け入れるよ。でも課題は絶対に終わらせて」


 このままだと本当にアマガミさんが留年しそうなので、ここは心を鬼にして厳しく接する。


「少しくらいゆっくりやってもまだ間に合うから。だからね、頑張って終わらせようよ」

「うぅ。やる気が出ねぇ」

「ご褒美欲しいならあげるからさ」

「ご褒美でつられるほど(やわ)な女じゃねえぞあたしは」


 いつもご褒美で釣られてる人が今更何を言ってるんだか。

 僕はほとほと困り果ててため息を落とす。

 アマガミさんは勉強するとなるといつもテンションが急激に下がるから、そのモチベーションを保つのに毎度苦労するんだよねぇ。

 今回は長期休み中ということもあり、一層気分が沈んでいる。


「勉強、そんなに嫌い?」

「大っ嫌い」

「ゲームしたい?」

「超やりたい」

「なら、少しだけやったらゲームしようか。お菓子も用意するからさ。だから頑張ろう?」

「――――」


 少しでも勉強に気を向いてもらえるよう必死に説得を試みれば、それまで岩のように動かなかった頭がようやく上がって。


「……少しでいいんだな」

「できるなら三分の一は終わらせてもらえると……」

「無理。少し」

「はぁ。分かったよ。少しだけでいいです」


 僕の方が説得に疲れてしまって、仕方がなくアマガミさんの言い分を受け入れてしまった。

 でも、彼女も少しだけやる気は上げてくれたようで。


「しゃーねぇ。気分乗らねえけど。ボッチにそこまで頼み込まれちゃな。少しだけやってやるか。感謝しろよ?」

「なんで僕が感謝しなきゃいけないの? これアマガミさんの課題だよね? ねぇ、聞いてますか?」

「うるせぇ。ここ分かんねぇから教えろ」

「横暴だなぁ。全くもう」


 どんなに心を鬼にしようとしても、結局は彼女を甘やかしてしまう。やっぱり僕ってすごく単純だ。でも、アマガミさんとこうして一緒にいられるなら何でもいいやとも思う。


「……アマガミさん、明日も勉強、頑張れそう?」

「絶対無理!」


 それから数日は、こんな感じでなんとかアマガミさんを勉強机に向かわせることに成功した。

 余談だけど、アマガミさんの夏休みの課題が無事に終わったのは、夏休みが終わる二日前だった。


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