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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第104話 『 いずれ友情は開花する 』

 ――夜。


 クーラーの効いた涼しいリビングで、僕は前回アマガミさんが泊った時のように彼女の髪を乾かしていた。


「もー。また乾かしてなかったね」

「クーラーの風があっからそれで乾くだろ。ボッチは神経質すぎるんだよ。髪なんて自然乾燥で十分だっつーのに」

「それ、アマガミさんのお婆さんは何か言ってなかった?」


 ジロリと睨みながら問えば、アマガミさんはバツが悪そうに「うぐ」と呻いて、


「……婆ちゃんにも、髪は女の命だからちゃんと丁寧に扱えって口酸っぱく言われた」

「だよね。アマガミさんのことが大切だったお婆さんが、こんなに綺麗な髪を前にして何も言わないわけないよね。そっか。アマガミさんは、お婆さんとの約束破る人なんだ」

「だあああああもう! 分かったよ! これからはできるだけ髪乾かすように意識するよ! すればいいんだろ!」

「できるだけじゃなくてちゃんと毎日ケアしないとダメだよ。髪乾かしてなかったら、僕が問答無用で乾かすからね」

「……ほほぉ。つまり、乾かさなかったらボッチがやってくれんのか。それはなんてラクチン……」

「わざと乾かしてなかったら朝食抜きにします」

「お前っ。そのメシを人質に取るの止めろよ! 卑怯だぞ!」

「気を抜けば怠惰になろうとするアマガミさんが悪いんだよ」


 アマガミさんが僕の作るご飯が好きなのは既知なので、人質に取りやすく最も言う事を聞かせやすい。

 僕の思惑通り、アマガミさんは悔し気に拳を震わせると、


「くっそー。背に腹は変えられねぇ。フロ出たらソッコーで乾かせねぇと」

「ふふ。それでよろしい。でもたまになら僕がやってあげるよ」

「なんだぁ。あんなこと言っておいて、結局ボッチだってあたしの髪乾かすの好きなんじゃねえか」


 にしし、と挑発的な笑みを浮かべながら振り返るアマガミさんに、僕は温風に靡く金髪を櫛で梳かしながら素直に肯定した。


「もちろん好きだよ。アマガミさんの髪は触り心地いいし、撫で甲斐があるからね」

「す、素直に認めんなっ」


 照れたアマガミさんがそっぽ向く。そういう反応もすごく可愛い。

 僕は頬を朱に染める彼女を愛し気に見つめながら、


「それに、アマガミさんに触っていいのは特別な証なんでしょ?」

「――あぁ。ボッチは特別だ。今この髪を触っていいのは、ボッチだけだ」

「なら、少しくらい堪能しても怒らない?」

「しゃーねぇなぁ。髪乾かしてる間だけだぞ。思う存分撫でてよし」


 許可をくれたアマガミさんに「ありがとう」とお礼を言って、僕は髪を乾かしながらサラサラな金髪を愛でるように撫でる。

 少しだけ覗く彼女の顔は、満更でもなさげで。


「……これから、こういう時間が増えるなら、やっぱりあの時アマガミさんに手を伸ばしたのは間違いじゃなかったって思うよ」

「――その手に掴まれた奴が言うセリフじゃないかもしんないけどさ、あたしも、この時間が……いや、ボッチとこうしていられる時間が増えるのはラッキーだなって思うよ。ボッチとの同棲、思った以上に浮かれてるわ」

「しばらくはゆっくりしなよ。これまで大変だった分さ。僕も付き合うから」

「じゃあ、髪乾かし終わったらさ、ゲームしようぜ」

「いいね。何時間だって付き合うよ。何ならオールする?」

「ゆっくりするんじゃねえのかよ。でも、それもアリかもな。なんたって今は夏休みだ。ボッチと何時間だって遊べるし、ボッチから離れなくていいんだもんな」

「心配しないで。僕はキミから離れないよ。アマガミさんが望むまで、ずっと一緒にいるつもりだから」


 穏やかな声音が紡ぐ会話。その中で、僕は彼女に約束する。自分から離れていくことはないと。

 そう告げれば、アマガミさんは嬉しそうに口許を緩めて――、


「ならあたしも、ボッチが望むまで絶対に離れねぇ」

「あはは。それじゃあ、僕らはずっと親友(・・)だ」


 絆はさらに固く。芽生えた友情は、そこにキミへの〝愛情〟を垣間見せた。


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