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学校では怖いと有名なJKヤンキーのアマガミさん。家ではめっちゃ可愛い。  作者: 結乃拓也/ゆのや
第1章 【 ヤンキーとあだ名で呼び合うまで 】
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第101話 『 騒々しい日々の始まり 』

 アマガミさんが僕の家で同棲する事となった、その翌朝。


「あ、起きてきたかな」


 二階からドタバタと大きな足音が聞こえてきて、僕はソファから立ち上がる。

 少しだけ歩き出すと、ドタンッ! と勢いよくリビングの扉が開かれた。

 僕はビクッと驚きながらも、起床した彼女に挨拶しようとするも、


「おはよう。アマガ――うわっ」


 アマガミさんは僕の顔を見た瞬間、切羽詰まった表情に安堵の色を強く滲ませると、そのまま唐突にぎゅっと抱き着いてきた。


「え、え? 朝から急にどうしたの?」


 咄嗟のことで困惑する僕の耳元に、か細く、消え入りそうな声が届いた。


「……いなくなったと思った」

「――――」


 その声音に、僕は思わず言葉を失う。そして、遅れて気付く。

 今、彼女の精神は不安定だ。ようやく孤独から解放された矢先に、また自分の元から大切な人が消えたと思って慌てたのだろう。ならば、こうして気が動転するのも無理はないのかもしれない。

 これは完全に僕の配慮が足りていなかった。アマガミさんが目覚めるまで、傍で待っているべきだった。そう自分を叱責しながら、僕は「ごめん」と謝り、それから優しくアマガミさんの頭を撫でた。


「大丈夫。僕はどこにもいかないよ」


 怖い思いをさせてしまってごめんね。と謝る。

 可能な限りアマガミさんに安寧を与えようと頭を撫で続けていると、やがて「ハッ⁉」と我に返ったような声が聞こえて、それと同時に吹っ飛ばされた。


「あ、あああたし今何を⁉」

「もしかして、寝ぼけてた?」


 どうやら、先程のアマガミさんはまだ覚醒途中だったみたいだった。

 寝ぼけていた自分の行動に驚いている彼女に苦笑しつつ、僕は改めて挨拶を交わした。


「おはよう、アマガミさん」

「お、おう。おはよう。……つか、やっぱ昨日のこと夢じゃなかったんだな」

「夢なんかじゃないよ。昨日から、ここがアマガミさんのお家だよ」


 ようこそ、と僕は盛大にアマガミさんを歓迎した。


「これからはお互い、協力し合っていこうね」

「お、おう。よろしく。マジでこれからボッチの家で住むんだな、あたし」


 まだ現実を飲み込めないでいる様子のアマガミさん。まぁ、それも少しずつ受け入れて慣れていくだろう。ちなみに、僕は朝から嬉しくて仕方がなかった。

 その影響が顕著に出ているのが、


「さ、早く顔洗ってきて。朝ご飯作ってあるから、一緒に食べよう」

「あたしが起きるまでわざわざ待ってたのかよ。忠犬かお前は」

「アマガミさんへの忠誠心なら誰にも負けない自信はあるよ!」

「いや誓うなよ⁉ ……たくっ朝から騒々しい奴だな」


 アマガミさんはガシガシと乱暴に髪を掻きながら、可笑しそうにふっと笑った。


「でも、そうか。今日から毎日ボッチの手料理食えるのか。サイコーだなそれ」

「腕によりをかけて作っていくから、楽しみにしててね」

「へへっ。おう。超楽しみにしてる!」


 白い歯を魅せながら拳を突き立ててくるアマガミさんに、僕も拳を突き立ててその拳にぶつけた。


「――うん。やっぱり、アマガミさんは笑顔が一番だ」

「おおぅ。そっか。これからはこれも増えるのか。……あたしのメンタル持つかな」

「? どうしたのアマガミさん? そんな先が思いやれるみたいな顔して」

「実際思いやれてるんだよ。ボッチぃ。お前、これまで以上に言動注意しろよ? じゃねえとあたしが死ぬ」

「なんで僕の言動でアマガミさんが死ぬのさ⁉」

「お前の自覚が色々と足りてねーせいだよ⁉」


 怒るアマガミさんに、僕は甚だ理不尽だと嘆く。

 どうやら残りの夏休みは、アマガミさんとこの同棲生活に慣れることに費やされそうだった――。



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