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29.天界のお祭り

「すごいですね……」


「あぁ。話に聞いていたよりもはるかに壮大だな」



 地獄の神とテラスが天界のお祭り会場に着いたとき、花火が打ち上がった。空にぷかぷかと浮かぶランタンのような光に、羽衣を羽織った女神たちの踊り。非現実的な情景に、地獄の神とテラスは言葉を失った。


「行こうか」


「はい」


 歩み出した二人は、出店を冷やかしながらお祭りの喧噪の中に紛れ込んでいった。




「……これが美味しいと聞いたんだが」


「どのようにして食べるのでしょうか?」


 地獄の神とテラスが二人で天界の食べ物を持っている。

 光り輝く肉として売られていたものは、複雑な骨の形をしているのか、かじってもかじってもうまく食べることができないようであった。




「……あの二人、何やってるんでしょうか?」


「うーん……地獄の神がお祭りのおすすめの食べ物を聞きに来たから、一番人気の”光り輝く肉”をおすすめしておいたんだけど……二人とも、お祭りに行くことがなかったから、あれの食べ方がわからなかったとは……」


「一番外側の輝いている部分を思いっきりかじるのが美味しいのに……」


「こういうことなら、食べ方も教えておけば……あ」


「ナイスタイミングよ! クロウ様」




「”光り輝く肉”を一つ!」


「はいよ」


「うんまー! って、何やってるんすか? ディラン様とテラスが二人そろって、肉を持っているだけで食わないなんて」


「「……」」


「実は、私たちこの”光り輝く肉”を食べたことがなくて、食べ方がわからないんだ」


「マジですか!? 天界のお祭り名物”光り輝く肉”を食べたことがないんすか!? これは、思いっきりかじりつくんすよ!」


「なるほど……うまいな」


「美味しいです!」


「じゃあ、俺は天界お祭り屋台巡りツアー続けるんで! 食べやすくて簡単なのは、天界飴あたりがおすすめっすよ! じゃあ」


「クロウ、ありがとう」


「ありがとうございます、クロウ様」




「ナイス! クロウ様!」


「……他に説明不足になっている場所はなかったよね?」



 バサバサとクロウが去って行く中、やっとの思いで肉にかじりつくことができた地獄の神とテラスは、舌鼓を打ったのだった。









「わぁ……花火がすごくきれいにみえますね。踊る神々も見えてきれいです」


「本当だね。教えてくれた恋愛の神には、感謝だよ」


「恋愛の神に聞いたんですね」


「テラスと一緒にお祭りに行くんだけど、おすすめの場所はないか、聞いたんだ」


「わざわざ……ありがとうございます」


「テラスに喜んで欲しかったからね」








「見に来る神も少ないし、ここが僕のお気に入りの場所なんだよね」


「本当にいい場所ですね」


「あ、僕以外はミコと地獄の神たちしか知らないから、内緒だよ?」


「恋愛の神の秘密の場所を、テラスだけじゃなくて私まで聞いてしまって、申し訳ありません」


「いや、ミコのことも連れてきたかったから、いいんだよ。むしろ、一緒にきてくれてありがとう」








「最後に、私たちも少し踊って帰ろうか」


「そうですね! せっかくだから踊りたいです」




「恋愛の神。あの二人、体力ありすぎませんか?」


「奇遇だね。僕もそう思っていたよ。僕たちはここでのんびりすごそうか」










「きゃあ! 地獄の神よ!」


「麗しいお姿ですわ!」


「あのテラスっていう使い人も世界を一つ救うほどのお力があるって聞きましたわ!」


「……地獄の神は本当にお美しくて、近くでずっと見ていたいくらいですわ」


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