ガチャ758回目:根こそぎ
「ショウタ様。こちらの銀箱と金箱、回収しましたわ」
「勇者様ー! 私も金箱取ってきましたよー!」
「クリスもマリーもご苦労様」
水中から顔を出して宝箱を持ち上げてくる2人の頭を撫でる。うーん、水族園でイルカやオットセイに芸をさせてる映像がフラッシュバックした。
まあ、うちの子達の方が何倍も可愛いが。
「「はいっ」」
「主様。次はあちらのエリアに向かうのが良さそうです」
「それじゃ、向こうの連中は一纏めにして撃ち抜いてくるわねー」
「ああ、頼む」
鍵の残存時間について皆に共有した俺達は、早速次の行動に移した。それはとても単純明快なもので、制限時間が訪れるまでに、この階層の全宝箱を回収しようという割と無茶なものだった。
まず俺1人じゃ全ての宝箱を時間以内に回収するのは絶対に不可能だっただろうけど、今は頼れる仲間がついている。
俺と同じく『水渡り』を持っているのはシャルとクリスの2人で、シャルは海上を走って敵を1ヶ所に集めてからまとめて討伐する役割を。
『水渡り』だけでなく『水』の力で、水中・海上ともに自由自在かつ高速で動き回れるクリスは、確認が困難な宝箱の回収とドロップアイテムの回収役を。
泳ぐのは割と好きらしいマリーは、クリスほどではないがしっかりと泳げており、目立つ場所にある宝箱の回収役を。
最後に、テレサは全体的に優秀ではあるが、司令塔の役割をしている時が一番活力に満ちている気がしたので、移動ルートの決定と回収の順序を決め指示を出している。
ちなみに俺は……何もしてない。正確にいえば、何もさせてもらえないとも言う。
「ショウタ様はここで、わたくしの活躍をご覧になっていてくださいませ」
「頑張って取って来るので、見守っててくださいね!」
「ショウタはどっしり待ち構えてて良いからね」
「主様。今後のことを踏まえ、私の指示に問題があるようでしたら指摘していただけますと嬉しいです」
とまあそんな感じで、要約すると皆が皆俺の見守りを望んでいたので、ふんぞり返るしかないのだった。まあ、『魔導の御手Ⅲ』を使えば手を3本召喚できるので、ここで踏ん反り返っていてもできることはあるにはあるのだが、そうすると見守りの方が疎かになりそうなんだよな。
なので俺は、皆の動きを見守りつつ、獲物を取ってきた事を褒めるブリーダーのような役割に甘んじるのだった。
あと一応、全員水着だから観ているだけでも楽しいっちゃ楽しいけどな。
「主様。現時点で経過時間30分ほど。回収率は40%を超えつつあります」
「順調だな」
なんだかんだで、現時点で緑と赤の宝箱は発見済みではあるんだが、どうせなら全部を一度に開けちゃいたいよな。というわけで、このまま根こそぎ回収してやろうと思う。
ちなみにこのマップ、入口付近ですら400体が軽く集まるくらいにはモンスターの発生率が高い為か、この30分の間にも何度かレアモンスター出現の煙が発生していた。けど、流石にそいつらをいちいち相手してたら時間がいくらあっても足りないので、全部放置している。俺らが通り過ぎた場所には、赤丸がいくつも見えてるんだよな。
一度に青から黒まで纏めて出現してくれたら楽なんだけど、流石にそれは無理だろうな。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ショウタ様、最後の1つを発見しましたが……」
「あらら。そういう結果になったか」
海底から上がって来たクリスの腕の中には『金の宝箱』があった。
そして現在揃っている手元のラインナップは以下の通りだった。
『銀の宝箱』54個。
『金の宝箱』25個。
『緑のマーマンの宝箱』1個。
『赤のマーマンの宝箱』1個。
『紫のマーマンの宝箱』1個。
『白のマーマンの宝箱』1個。
合計83個の宝箱をゲットできたのだが……。
「黒だけ無いんですね~」
「……何度確認しても見落としはありません。『鷹の目』で見切れていない場所があるのでしょうか?」
「あたしは『鷹の目』を使わせてもらった時、エリアの外周から埋めていったからわかるけど、間違いなくこの範囲内が第二エリアで間違いないよ」
「ショウタ様が先日攻略されたダンジョンのように、条件が無いと入れないエリアがあるのでしょうか?」
「あれはトリガーが条件だったからなぁ。レアモンスターを放置してるのは関係ないだろうし……」
「『鷹の目』で全域の情報を確保して以降、宝箱の総数は変化していませんし、そこは関係ないと思いますー」
「最初の方に沸かせた赤丸のレアモンスターも、何体か消失はしてるみたいだしね。それでショウタ、ここからどうする?」
「そうだなー……。ま、ここで悩んでも仕方ないし、この宝箱を開けていくか。クリス土台、テレサ足場」
「「お任せください」」
そうしてクリスの手により海の一部が完全に凍り付き、テレサの手によって氷を包み込むように岩の足場が形成。最後に、マリーが何も言わずに机や椅子などを置いてくれた。ほんと、気の利く子だなぁ。
そんな様子を見ていた俺とシャルは、2人して拍手をしていた。
「「おおー」」
そうして全員がその足場に乗ると、クリスがさっと腕を振るう。すると、濡れ鼠のようになっていたクリス、テレサ、マリーの身体から余分な水分が完全に流れ落ち、髪も水着も乾き切っていた。
「「おおー」」
「クリスさん、ありがとうございます」
「さっぱりしましたー」
「喜んでもらえて何よりですわ」
さて、安全な仮の陸地が確保出来たとはいえ、ここはモンスターがスポーンし続けるダンジョンのフィールドだ。確認中に襲撃されたら面倒だし、ここに『虚構結界』を設置して……っと。
「これでよし」
「あ、ごめんねショウタ。あたしがやれば良かったね」
「いや、いいよ。やっぱり後ろでふんぞり返っているだけってのは暇で仕方なかったから、俺も何かしたかったんだ」
といっても、この程度の雑事じゃ全然気が紛れなかったんだけど。
だからまあ、ここから先……宝箱からボスまでは、俺の頑張りどころだよな!
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