ガチャ744回目:満開の花
12月20日は第四巻発売日! そして12月25日は投稿開始2周年!
これらを祝して6日間連続で2話投稿をしていきます!
本日は5日目の1話目です!
案の定、森を出て通常の花畑コースに戻ると、花畑の規模が数倍になっており、花畑の中を歩くだけでそこかしこで花吹雪が巻き起こっているようだった。でも、変化というのはそれくらいのもので、特に害らしき害はなく、モンスターもいつも通り森の中がメインの活動場所であり、花畑にまで進出してくることは稀のようだった。
「すっごく綺麗ですわ!」
「花のお布団ですねー!」
アヤネとマリーが無邪気に突っ込み、遅れたアキとマキも同じようにダイブをしていた。楽しそうでなによりだし、この花は第一層においてはアイテム扱いなので、多少乱暴に扱ってもすぐにまた生えてくるようだ。衝撃で飛んでいった花びらも、数秒すれば元通りになっているほどだ。でも花吹雪として飛び交う花びらは消失したりしないので、視界は常に賑やか。無限ループだ。
見た感じ、花吹雪として飛翔している方は数分ほど長続きするようで、あんまり飛ばし過ぎると視界が埋もれそうで注意が必要かもだな……。
「こ、こんな変化がうちのダンジョンにも起きるなんて……!」
「お花のベッドですか。これはデートスポット以外でも普通に人気が出そうですね」
「そうなれば、もっと人が訪れることでしょう。主様のお力で、美しい場所がより華やかになりましたね」
「んー、でもこんなに花畑が密集してると、雑魚モンスターが出てきた時に目視しづらいという欠点はあるな。ちょっとコアルームで時間を無限化してくるついでに、奴らの行動範囲を弄ってくるよ」
「ショウタ君、いってらっしゃーい」
「私達はここで待っていますね」
「ああ、ゆっくりしていてくれ」
嫁達に見送られ、コアルームに辿り着いた俺は、しっかりとフィーバー全域化とその通知。ついでに綿毛虫の行動範囲を縮小化。完全に森から出ないよう調整した。
ちなみに、行動範囲の限界場所を変更した場合、既に出現して森の外まで移動している奴はどうなるのかと見守ってみたところ、ちゃんと指定した場所まで戻ってくれるようだった。
うーん、律儀。
「ただいまー」
「あ、お兄ちゃんおかえり!」
「お兄様、おかえりー。なんだか夢の中にいるみたいですっごい楽しいわよ☆」
そのまま元の場所に帰還すると、メンバーが増えてた。どうやら、嫁達はワープゲートを使って家にいたメンバーを呼びに行ってたらしい。
とはいえ、皆が皆、常に一緒に行動している訳ではないので、新しく来たのはカスミとイズミの2人だけだったが。
「カスミ、他の子達は相変わらず?」
「うん。ミスティは温室でお昼寝。イリーナとレンカはシャルさんと一緒に食い倒れ。ハルとハヅキは……アズさんに師事を請いに行ったわ」
「別に現状のままでも問題ない……いや、現時点でも問題あるってのに」
「あはは。お兄ちゃん、ハヅキに力が付くのは怖い?」
「割とガチで怖い」
カスミ達の中で一番搾り取って来るのは、房中術をマスターしたハヅキだ。他のメンバーはハヅキから教えられた事はある程度マスターしているようだけど、俺がお願いしたので6割くらいでとどめるようにしてもらった。初期嫁4人+ミスティとの人数差もさることながら、全員が専用の房中術持ちとなれば俺が毎夜死ぬことになるからな。
『レッドドラゴンの生き血』は『魔法の水筒』で無限に増やせるとはいえ、やっぱり性能が性能だけあって、作成する際に求められる魔力が、他の液体と比べて明らかに高い。自動回復では賄いきれない量を一気に持っていくから、あまり多用はしないようにしなければ。
「てか、アズもよく教える気になったよな。最初は『あたしはサキュバスじゃないんですけど!』ってプリプリしてたのに」
「アズさんはその、私達と一緒に……」
「ヤったのが楽しかったみたい☆」
ああ、せっかくカスミがオブラートに包む方法を考えてたのに、ぶっちゃけちゃった。
「イズミ。一応ここ、ルートの端っことはいえ、デートコースの道程だからね?」
「んふふ、わかってるわ。でも、あたし達みたいに強いオーラをバンバンに放ってるところに、一般人が近寄って来れる訳ないでしょ☆」
「まあそれもそうか」
「それに、あたし達みーんな有名人よ。特にこの場所に来る人達は、お兄様とあたし達の結婚式は胸に刻んであるでしょうから☆」
「一目認識すれば、近寄ろうとはまずしないか」
「そゆこと☆」
「旦那様ー!」
花びらまみれになったアヤネが飛び付いてくる。楽しそうでなによりだ。
「よーしよーし」
「にゃー♪」
あ、猫語が出た。子猫に変身して以降、甘えているとたまに出るんだよな、猫語。そこがまた可愛いんだが。
人間なのに喉を鳴らすアヤネをワシャワシャと撫で回す。
「ああ、そうだ。シャルのことで相談なんだけど」
「あ。シャルさんとのデートの件?」
「そうそう。此処なんてどうかなーって思うんだけど、誘ったら来るかな?」
「うーん、あの人結構乙女なところがあるから喜びそうではあるけど、あたしとしてはもうちょっと強引な方法が良いかなって思うわ☆」
「私もそう思うなー」
「2人がそう思うならそうか」
カスミはチームのリーダーで、イズミは裏のリーダーみたいなものだ。シャルとはチームを組んで2つのダンジョンを平定して来たからな。彼女のことについては2人の方が詳しいだろう。
「甘々なデートより、強引なデートの方がついて来てくれると」
「そうだね。あの人は恥ずかしがり屋だし、それに……」
「むっつりだから、お兄様が早く手篭めにしないと面倒なことになるわよ☆」
仲良くなったばかりのチームメイトにむっつりとは。にしても面倒なことってなんだ?
「さっきも言ったでしょ、お兄ちゃん」
「ん?」
「シャルさんは、イリーナとレンカと行動してるって」
「ああ、言ってたな。……ん? それってもしかして」
「そうだよ。ここのところ最近、あの2人と仲が良いんだよ」
「イリーナとレンカはお兄様に堕ちてるけど、シャルさんはまだだからね。早い方がいいんじゃないかな☆」
つまりはそういうことか。
その関係が踏み外すとは言わないし、それはそれでいいものだし、遊ぶ分には構わない。だが、そっちが主流になられるのは困る。今更体裁を立てる気はないが、1人意識がこっちに向いてないと、他の嫁達との関係性に亀裂が生じかねん。
ならまあ、早めに連れてくか。
「んじゃ、ちょっと作戦を思い付いたから、2人の意見が聞きたい」
「わかった」
「はーい☆」
「旦那様、わたくしも参加しますわ!」
おっと、腕の中にいるのが当たり前すぎて忘れてた。
「おう、んじゃ例の件でな――」
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