ガチャ722回目:積み重なるトリガー
「……つまり兄さんは、奴が非正規手段で管理者の座に収まったのかもしれないって思ったんだね」
「まあそういう事だな。じゃないと、この中途半端な現状がどうにも変だ」
「ん。でもこのダンジョンが、そういう変な事になるダンジョンな可能性もあるよね」
「……まあな。あまり不確定要素が強いダンジョンシステムは遭遇したくはないが、今まで無かったからって、これからも無いとは言い切れないもんな」
色んなパターンのダンジョンを攻略して行きたいとは思うが、ランダム要素てんこ盛りダンジョンとかは、遭遇したくはないよなぁ。悩ましい話だ。
まあ一番納得いってないのが、鍵持ちの次にレアⅡが出て、それが何のトリガーにもなっていなかった事だが……。これも、ドロップ素材が関係しているのか?
「エス。このダンジョンで出たドロップ品の中で、使ってないトリガー系を全部出してくれ」
「了解。これとこれと……」
そうして並べられたのは以下。
【四層】
・レッサーバフォメットの頭骨
・レッサーデーモンの脊髄
・ライトニングホースの紫電角
【五層】
・アーリマンの水晶体(白)
・アーリマンの水晶体(黒)
・歌唱羊の舌
・邪眼の水晶体
多いなぁ。
しかもここに、第五層の表のレアモンスターのトリガーも追加されてくるかもしれないんだろ? やばない?
「兄さん、この中に5層で使いそうなものは視えるかい?」
「……いや。1つたりとも反応がないな。多分、全部他の階層で使うんだろ」
「ん。トリガーモンスターの存在は珍しくないけど、トリガーだらけなのは珍しいかも」
「現時点で、トリガーか時間型の2種類ですしね」
「カタコンベでもトリガー型モンスターはいましたが、時間型もいましたし、恐らく勇者様が仰る100体型も、またそれに該当しないタイプも様々でしたわ」
「まあ、俺の知ってるダンジョンだと100体型オンリーもあったし、偏るダンジョンがあってもおかしくはないさ」
さて、第四層のドロップは『レッサーデーモン』だけ見てないから、こいつだけチェックだな。
名前:レッサーデーモンの脊髄
品格:≪遺産≫レガシー
種別:トリガーアイテム
説明:レッサーデーモンの不気味な脊髄。ただそこにあるだけで薄気味悪く、部屋に設置することで内部の人間関係が悪くなる事がある。邪悪な存在に力を与えるとされる。
邪悪な力を増幅させる、か。その辺は頭骨と一緒だな。
逆に『ライトニングホース』のは邪悪な存在の力を弱め、力を封ずるとされるんだったよな。なんで別々の物が用意されてるんだ?
んで、次は五層だな。
名前:アーリマンの水晶体(白)
品格:≪遺産≫レガシー
種別:トリガーアイテム
説明:一つ目の怪物アーリマンのレンズ。その輝きは人々を惹きつけ、占いの道具によく用いられてきた。特定の場所に捧げることで、邪悪な存在の力を弱め、力を封ずるとされる。
アーリマンの水晶体(黒)は内容が一緒だったので割愛して……。
名前:歌唱羊の舌
品格:≪固有≫ユニーク
種別:トリガーアイテム
説明:バトルソングラムの分厚い舌。食用としても使えるが、特殊なモンスターを誘引するために利用することが可能。
名前:邪眼の水晶体
品格:≪遺産≫レガシー
種別:トリガーアイテム
説明:イーヴィルアイの怨念が込められた恐るべきレンズ。その輝きは死者を惹きつけ虜にすると云われている。死霊術師が求めてやまない逸品。特定の場所に捧げることで、邪悪な存在に力を与えるとされる。
ふむ。『アーリマン』は対抗する側で、邪眼は力を与えると。
「レアⅡ枠からドロップしたトリガーアイテムは、説明が2種類あるのが気になる所だな。あと、これらのアイテムは全て世界にはひた隠しにすべき存在であることもわかった」
「ん。……この邪悪って、もしかしなくてもボス?」
「可能性は高いかな」
「この中で奴が守るよう厳命していたのは『ライトニングホース』だけか……。兄さんの言うように、奴の配下に元々『運』持ちがいなかったと仮定すると、そもそも『ライトニングホース』の存在は知らなかった可能性が高いね」
「ああ。トリガーモンスターである『サンダーディア』だけは存在を把握していたから、とりあえず守るだけ守らせたが、実際には何が出てくるのか把握していなかったかもしれない訳だ」
そう考えると、第一層の穴だらけな監視具合も納得がいくな。全部把握していたのなら全部ガードするべきだし、とりあえず知ってるところだけを見張らせた結果、あんなガバガバの配置になったのかもしれない。
「では主様、この後はどうなさいますか?」
「そうだな……。多分だけど、羊の舌と同等のアイテムが第一から第三にもあって、それらを使う事で第六層か最下層でレアモンスターを呼び出す流れなんだと思う。んで、各階層に散らばってる邪悪系は、ボスかそれに類する存在に使う可能性が高い訳だ。ここまではいいな?」
全員が頷くので、そのまま仮説を続けた
「んで、後生大事に守り続けている第五層のレアモンスターは、今までの傾向からして多分ボス関係のトリガーを出すはずだ。どうせここまで来たならコンプはしておきたいし、このまま連中の防壁の上からモンスターを倒してアイテムを回収しよう。そして注目を浴びた後第二層に転移して、そこでのレアも全制覇してからボスに挑む。これでいいかな?」
「「了解」」
「「はいっ!」」
「それじゃ、あの防壁をどう処理するか決めて行こうか」
悩ましいところだよな。大暴れして防壁ごと人員を全損させるか、ひっそりと狙撃するか。どっちがいいかな~。
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