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ガチャ719回目:厳重警備の第五層

 第五層に降り立った俺たちは、人気のない場所で結界を解いた。


「ここも、景色は他層と大差ないな」

「ん。森と草原ばかり。川や池があったりなかったりする違いはあるけど、それだけ」

「僕もあまり経験はないけど、最初期のダンジョンってダンジョン構成は同じものが連なっていることが多いそうだよ」

「全部が全部というわけではないようですが、第一層に森があるならどの階層にも森があり、草原ならずっと草原が続く……といった具合らしいですね」


 となると、カスミ達が攻略したダンジョンも似たような感じだったのかな。いやでも、第一層は洞窟だったけど、あのネコの変身具を落としたのは平原のトリガーだっけ?

 なら違うのか。


「ええ、私もそのように聞いています。バリエーションが豊かになったのは、2年目以降だと言われていますね」

「そういう意味では、エンドナンバーのここはギリギリ百の位に数字が入ってるから、まだマシなのかもしれないな……」


 たとえ構成が全階層同じでも、森と草原と複数のエリアが入り乱れてるし、隠しマップには牧歌エリアもあるしな。楽しく攻略する中で、ワンパターンは敵だ。


「さて、雑談はこのくらいにして、肝心の第五層に来たわけだけど……ここからじゃ()()()()()()()は見えんな」

「ん。流石に遠い」

「想定していた地点まで移動しようか」

「そうだな」


 この第五層は、マップで広げた時から理解できない謎があった階層だ。よく分からなかった以上、最優先攻略対象からは外していたし、ここの見張りが他階層に出張って監視の目が減るなんてことが起きなければ、俺としては放置するつもりでいたんだが……。

 まあ、せっかくチャンスが巡ってきたんだ。しっかり調べないとな。

 そうして移動をした俺達は、見通しの良い場所へと辿り着いた。


「ここからならよく見えそうだ」

「いい感じに身を隠せて、丁度いい高さの木だな」

「ん。よく見える」

「念の為『鷹の目』を使うか。テレサとマリーには使い方を教えるね」

「「はいっ」」


 そうして俺たちが視線を飛ばした先には、とある場所を中心に円陣が組まれており、その中心部にはモンスターがいた。しかしそれはただのモンスターではない事は、マップでも証明されていた。


「マップからでも分かってはいたが、見た目も完全にレアモンスターだよな」

「ん、おっきい。でも囲うだけ囲って誰も攻撃してない」

「さながら、動物園の檻みたいだね」

「レアモンスターの管理ですか。周辺の施設の完成度と劣化具合から見ても、あの包囲網はここ数日で完成したものとは思えません。もっと長い時間をかけて作り上げ、利用し続けてきたものかと」

「テレサに同意見です。モンスターも暴れていないみたいですし、消える様子もない。恐らくあれは、時間経過で出現して、移動しないタイプのレアモンスターだと思います」

「時間型か。それもなんだかんだで初めて……いや、何度か遭遇はしたか」


 『ハートダンジョン』大瀑布の『レイクサーペント』と、大渓谷に潜んでいた『マザーアント』。あとは『696ダンジョン』の第三層を徘徊する特殊レアだな。結局、あいつらが再出現するシーンは拝めなかったんだよな。特に『レイクサーペント』は、復活前に鍵で封印掛けちゃったし。


「湧くところさえわかっていれば、あとは外部から手が出せないよう封鎖してしまえば、手出しできないので安全と考えたわけだ」

「第五層はあのモンスターだけなのでしょうか?」

「マップではこの階層に矢印は存在していないし、見張りもあそこだけ。それでも雑魚モンスターは方々に散らばってるから、あっちはあっちでトリガーアイテムを落とすのかもしれんな」

「ん。ショウタ、どうする?」

「そうだなぁ。アレに手を出すのは、準備が終わってからだな。今は第四層の告知もあって警戒が強いだろうし」


 皆が賛同してくれたので、俺達はそのまま雑魚狩りを始めるのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇


*****

名前:バトルラム

レベル:37

腕力:420

器用:330

頑丈:420

俊敏:330

魔力:100

知力:10

運:なし


(ブースト)スキル】剛力、怪力

(パッシブ)スキル】体術Lv2

(アーツ)スキル】チャージアタック


装備:なし

ドロップ:バトルラムの肉、バトルラムの羊毛

魔石:中

*****


 こんな感じの、魔石は中になったが大して強さが変わっていない羊を乱獲しまくった結果、しっかりとトリガーアイテムが出てくれた。


「予想とはちょっと違ったが、ちゃんと出てくれて良かった」


 第五層で出現するモンスターは、好戦的で体毛が物凄いボサボサの羊だけだった。モンスターの名称は、第四層と違って全てバトルラムというものだったが、毛が邪魔で違いが確認し辛いだけかもしれないと、出会う先から昏睡させると、案の定こいつらも雄と雌が混在していることが分かった。なので、それらを完全に仕分けしてからまとめて倒すという荒技をしたところ、ちゃんと宝箱が出て来てくれたのだった。

 だが、唯一第四層と違うところは、雄雌混同で100体討伐した時に、宝箱は出なかった事だ。


 名前:雄羊のウール

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:トリガーアイテム

 説明:バトルラムの雄だけに生えるゴワゴワしたウール。素材としても有用だが、特殊なモンスターを誘引するために利用することが可能。


 名前:雌羊のウール

 品格:≪固有≫ユニーク

 種別:トリガーアイテム

 説明:バトルラムの雌だけに生える艶のあるウール。素材としても有用だが、特殊なモンスターを誘引するために利用することが可能。


「こういう用意された回答の中で、非常に面倒で細かい条件を達成できた時が、ダンジョン攻略で一番気持ちいいかもしれない」

「ん。ショウタと攻略していると、本当にダンジョンを丸裸にしてるみたいで、楽しい」

「主様は本当に……。本当に素晴らしい方ですね」

「勇者様こそ、この世界を救う唯一の方に違いありません!」

「ただ残念ながら、兄さんには世界を救うよりも優先したい目的があるんだけどね」


 まあ、世界平和なんて俺にとってはおまけだ。実際問題、カスミ達を育てたようなやり方の育成プランを使えば、第三・第四の急造攻略チームなんて、いくらでも作れてしまう。そして俺の攻略ノウハウがあれば、片っ端から『楔システム』を広げていく事も可能だろう。

 だが、そんなことをしては、俺が困る。()()()()()()()()()()()()()()に、俺の楽しみを、他の奴らに渡してなんてやるものか。


「……エスの言う通りだな。2人は、こんな俺でもついて来てくれるか?」

「聖女としては困っている人がいるのなら、救済は早い方が望ましいのでしょうけど……。私に禁酒を強いる世界なんて、もう少し苦しめばいいんですっ。だから構いません」


 ああ……こじれてるなぁ。

 こうなってるのは俺のせいじゃないが、もしも彼女がこの事で糾弾されるようなことがあれば、俺が全力で庇うとしよう。


「私も問題ありません。そして私は今、確信しました。主様が望まれるままに戦う事で、いずれ世界は、必ず救われるのです。そこに辿り着くのが、少し早いか遅いかの違いでしかありません」

「良いのか? 神に仕えるテレサもそんなこと言っちゃって」

「神に仕えるよりも前に、私の心はあなた様の下にございます」


 そう言ってテレサは片膝をつき、出会った時のように頭を下げた。


「主様の御心のままに」

「そうか、ありがとう。ならこれからも、好きにさせてもらうよ」


 さて、この階層のレアを片っ端から片付けていくか。ああでも、その前に第四層のドタバタでタイミングを逃してた『充電』もしとかないとな。


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