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ガチャ690回目:ハズレとアタリ

「ねえねえショウタ君、このお酒の事マリーに教えても良い?」

「いいよー。けど、教えたら相手も飲みたくなっちゃうだろうから、増やしてからでも良いかも」

「構いませんよ。水筒に魔力なり魔石を籠めれば、籠められた分だけ対価としての液体がジャボジャボと出てきますから。ですので、増やす事自体にはさほど時間はかかりません」

「そうなのか」


 てか、ガチャから出した本人が言うのもどうかと思うが……水筒の使い方、実は俺もよく知らないんだよな。


「でもアイラも忙しいだろうし、アキに使い方を教えて必要な分だけ自分で増やしてもらった方が良いかもね」

「ではそうしましょうか。『遺産(レガシー)』とはいえ神酒なわけですし、かなりの対価を求められると思います。消費しすぎないように注意してくださいね」

「うん、わかってるよー!」


 そうしてアイラはアキに使い方を教え始めた。というか、使い方なんて現状アイラ以外誰も把握していなかったので、全員が耳を傾けていたのだが。


「蓋を取ると、中に点線が見えますよね。あそこまで増やしたい液体を注ぎ込むと水筒自体が発光します。そうすれば増やしたい対象が上書きされた事を意味しますので、後は水筒の底に魔力を流し込むか、魔石を押し当てれば勝手に液体が出て来てくれます」

「魔力を流すって、ショウタ君みたいに『魔石操作』みたいなスキルはいらないの?」

「スキルも結局は技術ですから、慣れれば問題ありません。この水筒を扱う場合ですと、攻撃に使ったり生命を生み出すなどの高等技術は必要ありません。最初のうちは効率という観点で見れば魔石に劣るでしょうが、『魔力超回復』がある分、多少の漏れが発生しようと無限に回復する魔力を注ぎ込む方がリーズナブルです」

「なるほどねー。分かったわ、ありがとう!」


 魔力の直接操作か。要領としては『魔石操作』で魔力を動かすのと似たような感じだろうけど、あれは口で説明するのは難しいからな。でもまあ、問題はないだろう。皆いろんな魔法を覚えている分、魔力を扱う事には慣れてる。何回かこなしていけば自然と身に付きそうだ。

 んじゃ、気を取り直して宝箱の開封をしていきますかね。

 まずは、『クラーケン』と『ブルークラーケン』の3つずつだ。


「前の『クラーケン』の時は『ダンジョンマーカー』が出てきたんだよな」

「あれは、海底ダンジョンを探すのにかなり役立ったみたいですね」

「ん。その時の話は聞いた事がある。『1099ダンジョン』も、それが無ければ特定は難しかったって話」

「あんな陸地に近い沖合でも、海底にある岩壁に出現したダンジョンの入口を見つけるなんて、普通に考えて至難の業だからね。いくらスタンピードが付近で発生したと言っても、探すのには限界があるよ」

「なるほどな。役立ってくれて何よりだ」


 あの時は2つ開けたら2つとも『ダンジョンマーカー』だったんだよな。分類はアーティファクトだったし、もしかすると――。


【アーティファクト】

【アーティファクト】


「うおいっ!」

「ええー!? こういうこともあるんだ」

「ううー。2つに1つですわ」

「ん。ということは、どっちかはある意味ハズレ?」

「まあ、また『ダンジョンマーカー』が出るとは限らないよね」

「けど、『クラーケン』の宝箱では、何処のダンジョンでも共通して『ダンジョンマーカー』を出す可能性だってありますよね」

「ダンジョンの出現位置の関係上、どこから攻略しても他のダンジョンを見つけられるように設計してる可能性もあるわよね☆」

「やっぱ、2つに1つか」


 ちなみに、『ブルークラーケン』の宝箱も全く同じ選択肢だった。基本的にモグラの宝箱の時もそうだったけど、同種の宝箱内で選択肢の並び順が変わるようなことは無かったから、『ダンジョンマーカー』が上と下、ランダムに抽選されてるなんて悪夢はなさそうだけども……。


「まあ、1つくらいハズレても良いかな。別の物が出る可能性だってある訳だし」


 そう言って俺は、上の選択肢を1つ、下の選択肢を1つ選び、同時に開けた。

 そうして出てきたのは、上は案の定『ダンジョンマーカー』で、下は新規アイテムだった。


 名称:真水変換装置

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:アーティファクト

 説明:上部の注入口に海水を入れると、内部で分離され2箇所の排水口から真水と塩が出てくる特殊装置。ダンジョン内の海水でも使用可能。


「……これも普通にチートじゃん」

「魔法が浸透してしまった世界では無用の遺物になるかもしれませんが、この世界ではまだまだ必要とされるアイテムですね」

「ん。ハズレと思わせておいて当たりなのが、ダンジョンらしい」

「あたし達が持ってても仕方ないけど、どうするー? 協会経由で必要そうな国に配ってもらう?」

「そうしてもらおうかな。俺達には魔法があるし、この前の精霊遭遇エリアみたいにスキルが使えなくても、水筒とかあるから水不足になる事は考えにくい。だからもう、全部渡してしまっても良いだろう」

「そしてご主人様に対する世界からの評価が、また爆上がりするわけですね」

「それにしても、今回のスタンピード計画を立てた連中は、本当にお馬鹿さんよね。やることなすことぜーんぶ、お兄様の名声に寄与しちゃってるんだもん☆」

「まあ、そうだな」


 先ほどの記者会見の後、サクヤさんからメッセージが届いていた。内容としては、尋問して吐かせた奴から、連中の俺に対する評価が出てきたそうなのだ。

 どうやら連中は俺の『運』がある程度高いことは把握しているようだが、それでも『それなりに秀でている』程度の認識であったようなのだ。

 全く、甘く見られたもんだ。俺を普通のラッキーなだけの男と断じたのは、失敗だったな。

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