ガチャ686回目:スキル確認①
ドラゴンスレイヤーというなんとも声を大にして言えない称号が生えていたことをカミングアウトすると、彼女達は大いに盛り上がった。
そんなに喜ぶところだったか?
「ご主人様。ドラゴンはダンジョンの中でも上位に君臨する種族です。そんな彼らを『討伐した者』とシステムが認める事は、とても名誉なことなのです」
「まあ……今まではアリとかゴブリンとかだったもんな」
神殺しなんてものもあるが、あれは漢字だったからカッコ良さが勝ってたんだよな。
「そしてドラゴンスレイヤーはこの国では特に大きな意味を持ちます。わかりますか?」
「……最初のスタンピード事件のアレか?」
「はい。『上級ダンジョン』から現れたドラゴンは、当時の人々からしてみれば隔絶した存在でした。そんな存在を討伐した者達は大きく称賛されたのもご存じでしょう。そんな彼らを国民はドラゴンスレイヤーと褒め称えたのです。いわば、口伝での称号ですね」
「で、俺は自称でも他称でもなく、システムが認めたものと」
「はい。今までご主人様は、ダンジョンボス戦の動画だけは公開しませんでした。当時はなんとなく決めた事でしたでしょうし、今となっては他のホルダーに対して情報を見せない為に継続している事だと思います。ですが、もしもこれを公表すれば……」
「……ふむ。ただ一般には公表はしなくとも、支部長達には見せる必要があるよね」
「はい。間違いなく彼らは大喜びするかと」
「……想像に難くないな」
義母さん達の反応は見てみたくもあるな。あの2人やリュウさん辺りは、当時のスタンピードを戦い抜いた事で今の座に納まった経歴があったはず。言わば、先程出て来た他称のドラゴンスレイヤーは彼らの事を指すのだ。まあ、直接ドラゴンを屠ったのが誰かまでは知らないんだけども、関係者であるのは間違いない。
「彼らに見せる時は俺も参加するから、日程決まったら教えてね」
「今日ですよ」
「今日なのか……」
まあでもそうか、スタンピードを平定して、次の日に緊急記者会見までして、俺が属しているはずの支部長がまだ何も知りませんじゃおかしな話だもんな。陰で暗躍する連中を捕えるために色々と動いてくれてたから、本当に何も知らない訳はないんだけども。
「ところで、エスやミスティにはこの称号は生えて無かったのか?」
「残念ながらね」
「ん。とどめを刺したのはショウタ。だからなくても不思議じゃない」
「そうか……」
『龍脈』のスキルが有用だった場合、またドラゴンと遭遇した時はその時のメインメンバーの誰かにトドメは譲るべきかもな。
「ご主人様は、あまり嬉しくは無さそうですね?」
「嬉しいかと言われると嬉しいんだけど、なんか小恥ずかしいというか……」
「……ふむ。ドラゴンを撃破した英雄と称えられるのは、ご主人様的にアメリカで記念日扱いされるのと同じ感覚という訳ですか」
「そういうことになるかな」
「なるほど。ですが諦めてください。世間に伝えるかはさておき、一部の人達は知っておく必要がありますので」
「……だよな」
逃れられない以上、腹をくくるしかないか。
「……さて、それじゃ、そろそろスキルの鑑定を始めるか。アイラ、俺が直接見てないスキルの中で、価値の高そうな奴とか、改めて見ておく必要がありそうなもの、全部リストアップして」
「畏まりました。……こちらですね」
『金剛腕Ⅳ』『金剛鎧Ⅳ』『力溜めⅣ』『竜鱗Ⅲ』『冷気耐性Ⅱ』『灼熱耐性Ⅱ』『状態異常耐性Ⅱ』『知覚強化Ⅱ』『竜爪術LvMAX』『重力抵抗Lv3』『空間把握Lv4』『天の聖印Ⅳ』『神の聖印Ⅳ』『ウェポンブレイクⅢ』『アーマーブレイクⅢ』『水深圧殺Ⅳ』『神通力Ⅴ』『浮遊術Lv1』『龍言語Lv3』『魂圧Ⅱ』
「……多いなぁ」
「想像のつく効果のスキルもいくつかありますが、それらもガチャから出たのが初出で、今まで直接見れなかったものもありますからね」
「3割くらいはそうだな」
んじゃ、上から見て行くか。
名前:金剛腕Ⅳ
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:ブーストスキル
説明:使用者の腕力を6.5倍にする。効果時間3分。再使用時間5分。
名前:金剛鎧Ⅳ
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:ブーストスキル
説明:使用者の頑丈を6.5倍にする。効果時間3分。再使用時間5分。
やっぱ、ブースト系の5段階目のⅣまでくると、取り回しが楽になる感じだな。再使用間隔が短い。
名称:力溜めⅣ
品格:≪最高≫エピック
種類:ブーストスキル
説明:力を込める動作のまま2秒以上維持する事で威力を最大3倍にする。武技スキルの場合3.5倍にする。
こっちは、チャージ時間がⅡの時から1秒短縮されて、威力も上昇と。相手の力量が上がれば上がるほど、長時間の溜め動作は命取りになるから、それの短縮は本当にありがたいな。
名前:竜鱗Ⅲ
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:パッシブスキル
説明:身体の一部を意識的に硬化させる事で竜の鱗が顕現する。ドラゴンの種族特性をスキル化したもの。被ダメージを大幅に減少させる。
あったら便利なスキルだな。『硬化』だけでは防げなかった攻撃も、これならワンチャンあるかな? まあ、咄嗟に張れなきゃ意味ないし、回避しつつ『竜鱗』を起動できるよう意識付けておかなきゃな。でないと、『風の大精霊』戦の時みたいに、耳が吹き飛ぶ。
一応強化機で育てたい気持ちはあるけど、『伝説』の重ね掛け系だし、ドラゴン系ならなんでも持っていそうな雰囲気がするからなぁ。保管しておく必要性は薄いかな。
名前:冷気耐性Ⅱ
品格:≪遺産≫レガシー
種別:パッシブスキル
説明:冷気に対する耐性を向上させ、それに類する攻撃や環境に適応する事で、影響を少なくさせるスキル。
名前:灼熱耐性Ⅱ
品格:≪遺産≫レガシー
種別:パッシブスキル
説明:灼熱に対する耐性を向上させ、それに類する攻撃や環境に適応する事で、影響を少なくさせるスキル。
こっちはまあ想定通りの効果だな。
名前:状態異常耐性Ⅱ
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:パッシブスキル
説明:一般的な状態異常に対して高い耐性が得られるスキル。
うーん、その耐性についての詳細が知りたかったんだが、書いてないな。確率で防ぐとかなら、俺はもうこのスキルがあるだけで発症率80%だろうが90%だろうが、無理やり0%にできるんだろうけど……。「一般的」ってのも気になるよな。サクヤさんのアレとか、絶対一般的じゃないし。
まあ、とりあえずこれについては、入手経路の確約は難しいから、MAX化させるために一旦保管がベストかな。
名称:知覚強化Ⅱ
品格:≪遺産≫レガシー
種類:パッシブスキル
説明:五感を限界まで研ぎ澄まし、第六感までも負担なく向上させるスキル。能力の上昇幅は本人の資質によって変化する。
うん、まあこれは以前見た時と書いてる内容に変化はないか。
名前:竜爪術LvMAX
品格:≪伝説≫レジェンダリー
種別:パッシブスキル
説明:ドラゴン独自の技術スキル。ドラゴンの爪が無ければ効果を発揮できない。
これは……モンスター専用ではあるだろうけど、その中でも特に使用対象が限られるパターンだな。さすがに誰もドラゴンの爪は持ってないしなぁ。
『プルプル!』
「ん? そうなの?」
『プルル!』
「アイラ、『上級ダンジョン』関係のオークションに、ドラゴンの爪とか出品されたりする?」
「はい。タツノリ氏のチームが帰還時に時折出品されていらっしゃいますね。今のところ加工が難しく、特にこれと言った使い道はないとされていますが、コレクター目的で購入される方々がいらっしゃいます。今季ではもう、全て売れてしまったかと」
「む、そうか……。それ、なんとかして手に入れられないかな。イリスがさ、爪さえ取り込めればこのスキルも使えそうって言ってるんだ」
「なるほど、それは戦力アップに繋がりそうですね。では、今晩の会議にて聞いてみますか?」
「ああ、リュウさんなら持ってるかもしれないのか」
じゃあ、ダメもとで聞いてみるかな。
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