表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

73/1110

ガチャ062回目:覚悟を決めた

(2/2)

 支部長が出て行った会議室は、静まり返っていた。

 アヤネはニコニコしてるし、アイラは会話に参加する気がないのか目を閉じている。アキはぶすっとしているし、マキは……こっちを見ていた。


「ショウタさんは、どうされたいですか?」

「ごめん。俺は、どうすればいいかわかんなくてさ。2人に相談したかったんだ。突き放しても軽く受け流されるし、こんなに積極的な子は初めてだし、2人の知り合いみたいだから無視するわけにもいかないし……」

「わかりました。では……ショウタさん、正直に答えてください」


 そう言ってマキが、俺の手を握った。


「彼女達の事は、嫌いですか?」

「……いや、嫌いではないよ。アヤネのへこたれない所は好感が持てるし、アイラの強さは努力の証だ。俺以上に頑張って来たんだろうし、素直に尊敬してる」

「では、好きですか?」

「それはちょっと、わからない」

「では、彼女達が同行することに、デメリットはありますか?」

「……隠したい事を見せたくない。今のところアキにもマキにも教えていない事だから。もし伝えるなら君たちを第一に優先したい」


 そう言うと、彼女は笑みを深くし、後ろからアキがしな垂れかかって来る。


「それと、経験値が減るのは困る」

「では、メリットはありますか?」

「……まず、アイラの隠密能力と移動能力が凄まじい。俺の全力狩りに平気で付いてきて、アヤネを抱えながら素材を全部回収して見せた。2人が以前言っていたように、運び屋(ポーター)としての能力で見れば、彼女は優良物件だろう。あとアヤネの『回復魔法』。俺は今のところ怪我らしい怪我は負ってないけど、それはこの3年間で1度も無いんだ。だから、重傷を負った時にとっさの判断が鈍る可能性がある。もしもの時に、正確に『回復剤』が使えるか怪しいんだ。『回復魔法』の効能は知らないけど、それがあれば、俺の生存能力は上がると思う」

「そうですね、どちらも大事なことです」

「あと、2人に『統率』を覚えさせたら、俺のステータスも上がるんじゃないかと気にはなってる。そんな感じかな」

「……はい。ありがとうございました。ショウタさんの気持ちはよくわかりました」

「ん」


 不思議だな。

 マキに手を握られていると、心の内がスラスラと出てくる。彼女相手だと、心から安心して委ねてしまえている。


「では私から見たメリットとデメリットを伝えます。メリットは、ショウタさんの言う通り、あなたの安全面が向上します。咄嗟に怪我をした際、治療してもらう際にはアイラさんは優秀な壁になって下さるでしょう。そしてアヤネちゃんの『回復魔法』は『回復剤』の比ではありません。文字通り、一瞬で治療出来ます」

「そうなんだ」

「それと、アイラさんは……超が3つつくくらいの、レアなアイテムを所持しています。彼女が持つ、世界に数個しかない鞄です」

「鞄? 素材を入れてたあれ?」


 そういえば『極小魔石』や『鉄のナイフ』が積み重なってたけど、なんだかまだまだ入りそうだったな。


「はい。袋には『空間拡張』という未知の技術が付与されていて、この部屋の広さくらいならアイテムを詰め込めるらしいのです。上級ダンジョンの宝箱から、本当に稀に排出されるほど貴重なもので、その価値は計り知れません」

「うわ……。あ、じゃあアイテム回収役は」

「はい。彼女以上に的確な方はいません」


 なるほど。護衛としても運び屋としても最上位と。


「次にデメリットですが……。アヤネちゃんは、まだショウタさんと結婚したいのよね?」

「そうですわ! 最初は、まだフリーだと思ってましたの。でも、もう先輩達が先にお付き合いされている上愛し合っているのでしたら、正妻の座は譲りますわ。だから、3番目で構いませんわ!」

「そこに愛はある?」

「最初はその、打算しかありませんでしたわ。わたくしの夢の為に、一番必要になるのは旦那様しかいないって。けど、今日のダンジョンで、旦那様はよく知りもしないわたくしを、見返りを求めず全力で守って下さいましたの。今まで出会ってきた殿方とは、あまりにも違い過ぎましたわ。それからもう、旦那様にメロメロですわ!」


 あー、『ジェネラルゴブリン』の話か。


「……はぁ。愛も無しにというのなら跳ね除けてましたけど、本気で好かれてしまったんですね」

「ご、ごめん……?」

「謝らないで下さい。ショウタさんは見ず知らずの人がピンチでも、きっと助けてくれるでしょうから。ですが、本気になった彼女は、言い出したら聞きません。なので、彼女に関しては私達からは何も言えません。ショウタさんの判断に従います。好きになるようでしたら迎えてあげてください。嫌いになるようでしたら、きちんとそう伝えてあげてください。嫌われたのなら、彼女はしっかり身を引いてくれるでしょうから」


 マキはアヤネを見てそう言った。


「嫌われるのは悲しいですわ。でも、嫌われたまま迫ることはありませんの。その時は大人しく引き下がりますわ……」

「マキは、それでいいの?」

「はい。冒険をしていく中で、彼女達の力が必要になるでしょう。恋人が1人増える事で、ショウタさんの安全が買えるのなら……安い物です。私と姉さんを大事にしてくださるのであれば、私は大丈夫ですから」

「マキ……」


 そこまで、俺の事を中心に、想ってくれているのか。


 ……決めた。


「姉さんは何かありますか?」

「あたし、この子苦手なのよねー」

「……姉さんと違って、積極的だもんね」

「そ、そうよ。……でも、苦手だけど嫌いじゃないわ。ショウタ君があたし達を立ててくれるなら、構わない。けど、全員よく聞きなさい。マキを泣かせたら許さないから!」

「肝に銘じますわ!」


 アキは相変わらず、マキを最優先だな。


「あと、あんまり放置されると、泣いちゃうからね」

「ああ、わかってる」


 アキの頭を撫でる。

 こんなにも俺の事を理解して、俺の為に行動してくれて、信頼もしてくれてる彼女達だ。

 アキにも、伝えよう。


 彼女達の誠意に応えて、2人には『レベルガチャ』の事を話そう。

読者の皆様へ


この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、

ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版第四巻 12月20日より好評発売中!
レベルガチャ1巻表紙絵 2巻表紙 3巻表紙絵 レベルガチャ4巻
コミカライズ第二巻 12/15より発売決定!予約受付中!!
コミカライズ1巻 コミカライズ第二巻
― 新着の感想 ―
[気になる点] いやおかしいやろ...。まあガチャは話さずにいて欲しかったけどそこは自分の好みやし、話すとしてもしゃーないかで終わるけど、会ったばかりの人を好きになる、それも自分はついこの前別の人に告…
[一言] イカレてる。 数時間付け回されて主人公含め全員が恋愛対象になり得るって考えるところがもう異質すぎる。 ここまで酷い展開ってなろうでも珍しいです。
[良い点] ここで、好きですか?と聞かれてわからないって答える意味がわからん。会ったばかりの人を好きかもって思うの正直気持ち悪い。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ