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ガチャ681回目:2度目の記者会見

 今回も、通達してから3時間くらいしか経っていないはずなのに、間借りした会場には満席になるくらいの記者やテレビ局が詰めかけていた。前回帰国した際の会場の数倍は広いところを押さえてもらったはずなのになぁ。

 それだけ、今回のスタンピード騒動は注目の的というわけか。今か今かと待ち望んでいる彼らを、俺達は別室のカメラ越しに眺めていた。


「前回罰を与えた関係各社はいなさそうだな」


 まあ、正面玄関にデカデカと、名指し付きで入館禁止の立札を設置してたから、入りたくても入れないか。


「当然ですね。アレに参加していたいくつかの記者はクビになったようですし、ところによっては部署や会社ごと潰れた事例もあったようです」

「容赦ないなぁ」

「甘い対応をした結果、免罪符を得たと勘違いして調子に乗られても面倒ですし、倫理観の欠如した団体には消えてもらわなければ」

「いなくても世界は回るもんねー」


 ダンジョン攻略が邪魔されなければ何でもいい……と、少し前までなら思っていたが、今はそこからちょっと増えてるんだよな。

 うちの大事な家族に、負担をかけそうな連中は軒並み掃除しておかないと。


「んじゃ、あんまり待たせてもあれだし、行こうか」

「ん」

「ねえお兄ちゃん。本当に私たちも一緒で良いの?」

「旦那様の第二チームですもの。当然ですわっ」

「そーそー。だから胸を張りなさい☆」

「そういうことだ」


 そうして俺たちは大量のフラッシュを浴びながら、14人全員が席に座った。ちなみにエンキ達は、テーブルの上に座ったり俺の肩や頭に乗ったりと好きにさせた。


「今回は突然の呼びかけにも関わらず、お集まりいただきありがとうございます。みなさん俺に聞きたいことがあるかと思いますが、まずは事実から。日付が変わった頃、協会からも通達があったと思いますが、1097と1099の海底ダンジョンは俺含めたSランク4人の急造チームが、第二エリアにある『鳥取砂丘ダンジョン』はうちの第二チームである彼女達が、スタンピードを平定するついでに攻略しました」


 そこまで言って一区切りつけると、フラッシュが大量に焚かれた。

 そして落ち着いた頃に口を開ける。


「では今回の件について、疑問点があればお答えします。順番にどうぞ」


 やはり今回も順番が決まってるんだろう。目の前にいる人が立ち上がった。


「アマチ様。今回のスタンピードですが、国民は2箇所同時に起きたこと。そしてそれら全てが日本に向かってきていた事に不安を覚えています」

「ああ、そうみたいですね」

「この件について、アマチ様の方でわかっている情報などがあれば、教えていただけるとありがたいです」


 うーん、めちゃくちゃ下手だ。

 普通記者会見って、基本丁寧だけどグイグイ来るイメージが強いのに。それもこれも例の粛清の影響か、はたまた俺が国に愛想を尽かして出て行かないようにと懸念しているからか。

 まあここは、そのまま答えるとしよう。


「その件についてですが、とある2国が関与している可能性が高いと見ています。いや、自供は取れたしほぼ確定ですかね。あと、片方は国というより組織かもですが」


 そこまで言ったところで会場内がどよめいた。

 この情報を伝えて良いかどうかで、今回の記者会見の意味が変わってくるからな。記者会見を開いて欲しいというサクヤさんからの要望が届いた段階で、許可を取ろうと思ったくらいだ。

 けどまあ、俺の考えなんて想定済みだったらしく、サクヤさんから即座にOKが出たが。何ならこの後、宝条院家からの爆弾映像も公開される予定なのだ。


「実は前回、俺が攻略した『696ダンジョン』で、とある組織に喧嘩を売られたんですよね。今回の騒動もその連中が関わっているらしく、昨日はスタンピードを起こしたダンジョンでその一味を捕える事に成功したんです」

『おお……!』

「その組織のボスは俺と同じで、アメリカにあるダンジョンを1箇所平定はしているみたいなんです。そこまでは良いんですけど、人格に難があるみたいで、協会や国とかに管理を渡さず自分の城みたいに独占を始めたそうです。そしてその力と権限を振りかざして、周囲を脅したり他者から大事な物や人を奪ったりと、長年蛮族の王様みたいに君臨して人々を困らせてるようです。まあようするに、好き放題してるクソ野郎ってことですね」

「そんな危険な人物がアメリカにいるんですね。アマチ様は、その人物に恨まれることとなった原因など、心当たりはあるのでしょうか?」

「あー、いくつかあるかと思いますが……。そいつが無理やり手籠にしようと狙ってた女の子を、俺が掻っ攫ったからですかね。良い迷惑ですよ」


 そう言ってミスティを手招きし、抱き締める。するとミスティはドヤ顔Vサインでアピールしていた。流石ミスティ、肝が座ってる。


「それともう一国は、以前俺が生意気なSランクをワンパンKOした動画があったと思うんですけど、それの所属国ですね。こっちは国全体か一部の組織かは知らないですけど、関与してるのは間違いないかと」

「今回の事件は、彼らがどう関わっていると……?」

「スタンピードを人為的に引き起こせるアイテムを所持していたようです。これも犯人がゲロってくれましたが、詳細はまだ調査中のようです。ただ、そんなに数は多くないみたいですね」

「か、回答ありがとうございました」


 そう言って一人目が着座した。続いて2人目……と続くはずが、今の話がインパクトデカすぎて、誰も彼も飲み込むのに時間がかかっている様子だった。めちゃざわざわしている。

 まあいいか。その間暇だから、エンキ達を順番に撫でておくか。


「ん。私は?」

「席に戻ってなさい」


 終わったらいっぱい撫でてやるから。今撫でたら、他の子も欲しくなっちゃうからね。


「……ん。わかった」


 ミスティは俺の頬にキスをしたあと席に戻って行く。抜け目のない記者の何人かはシャッターチャンスを逃さなかったみたいだが、ここは写真を撮られる場所だ。それに関してどうこう言うつもりはない。

 さて、そろそろ良いかな。


「では次の方~」

「は、はい! ではアマチ様――」


 そうして俺は次々と飛んでくる質問に丁寧に答えていった。さすがに、ホルダーになる為の条件だったり、スタンピードとダンジョン平定の関係性なんかの、根幹的質問は飛んでこなかったが。

 やっぱその辺は、事前に質問が決められてるとかかな。それでも十分、国民だけでなく、世界中に伝達はされただろう。俺の世界への貢献度と、その有用性が。

 ちなみにこの記者会見の最後に、とある爆弾が投下された。そう、サクヤさんの能力によって骨抜きにされてしまった犯人が、自らの罪を悔い改め、計画の全てを吐き出す謝罪動画だ。これでもう連中は知らぬ存ぜぬとスルーするなんて真似はできないだろう。

 俺も、決着をつける覚悟を決めておくか。

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