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ガチャ061回目:報告しに帰還した

(1/2)

 俺は『迅速Ⅱ』を使い、全力でダンジョンを駆け抜け、協会へと戻って来た。

 時刻はまだ昼前という事もあり、協会内に冒険者の姿は少ない。


 いつも行列の出来ている7列の査定用カウンターは、閑散とした様子で受付嬢たちは皆暇を持て余しているようだ。ここに来てまだ1週間も経っていないが、俺はアキとマキの専属という事もあって、彼女達からは顔も名前も知られている。

 なので業務中の人達以外は皆笑顔で手を振ってくれた。ちょっと精神的に疲れていたので、これはちょっと嬉しい。


 でも俺としては、本命に癒されたいという事もあって、彼女達へは軽く会釈で済ませ、速足に専属窓口へと向かった。

 そこでは、いつもの様にハナさんが座っていて、隣には支部長の姿があった。何か打ち合わせをしてるんだろうか。でもまあ、丁度良かった。報告の内容的にも、支部長には連絡を入れたほうが良いだろう。


「支部長、ハナさん」

「アマチ君? 随分早いのね。あの子達なら……って」

「あらあら、モテモテねえ~」


 2人の視線が俺の後ろに注がれた。やっぱり支部長も知り合いだったか。


「そういうことなんで、2人を呼んでもらえますか。それとは別件で支部長に報告もあるので同席してもらえると助かります」

「わかったわ。いつもの部屋に行きましょう」

「いってらっしゃ~い」


 ハナさんに見送られながら、マキ用の会議室へと向かった。



◇◇◇◇◇◇◇



 部屋で待機をしていると、数分もしない内にアキとマキが飛び込んできた。


「アキ、マキ」


 2人が何かを言う前に、こちらから2人まとめて抱きしめる。


「「ふぇ!?」」


 ああ、なんか安心する。


「まあ、見せつけますわね」

「あっ。あんたは!」

「ア、アヤネちゃん……」


 アヤネを見つけた2人は、アヤネに対抗するように俺を抱きしめ返してくれた。これもまた嬉しい。マキはちょっとムッとしているし、アキはネコ科の動物みたいに威嚇している。どうどう。


「ありがと、落ち着いた」


 そう言って離れようとするも、今度は彼女達が放してくれず、仕方がないのでそのまま席に着いた。両隣は姉妹が陣取り、正面にアヤネとアイラ。上座に支部長といった構図だ。


「まずは支部長に報告が」

「その前に、1つ良いかしら」

「なんでしょうか」

「彼女達はいつ、アマチ君と合流したのかしら」

「ダンジョンに入った瞬間から付け回されて、第二層で一息ついた時に声を掛けられました」


 そう告げると、支部長は盛大にため息を吐いた。


「なら、どうしてその時に報告しに戻ってこなかったの? そんな時は迷惑行為として協会に報告しても良いのよ?」

「え? いや、つけ回されるのは()()()経験があるので、よくある事なのかと。それに、()()()()()()()検証がしたかったので、まあいいかなと。ただ、それでも彼女達は諦めずについてくるし、この状態がずっと続くのは2人に対して悪いかなーと思い始めて。それもあって気が削がれて来たので、区切りが良いタイミングで戻ってきたんですよ」

「……」


 支部長は俺の解答に唖然としていた。

 俺、なんか変なこと言ったかな?


「お母さん、ショウタ君はこういう人なの」

「デートよりも、狩りを優先しちゃう人ですから」

「あ……。あの件は、その……ごめん」


 思い出すと申し訳なくなる。

 でも、同じ場面が来たら、俺はきっと同じことをするだろうな……。


「ふふ、気にしていませんよ。ダンジョンの事を考えるショウタさんの事が、その……好き、ですから」

「あたしも! す、す……好き!」

「はは、ありがとう、2人とも」

「はぁ……あなた達がそれで良いなら良いわ。マキ、以前にもあったという話だけど?」

「先日の件でしたら、ショウタさんが必要ないと仰ってたので、口頭注意だけに留めておきました」

「そう。それじゃ、アマチ君、報告をお願い」


 何を言おうとしてたんだっけ? 

 えーっと。……ああ!


「『ホブゴブリン』撃破後、懸念していた事象に遭遇しました。次のレアモンスターが出現したんです」

「……なんですって?」

「名前は『ジェネラルゴブリン』。ステータスはこんな感じです」


 端末にメモしていた内容を全員に見せる。他の報告についてはアヤネがいるので躊躇われたが、支部長曰く彼女達は全て把握しているらしい。支部長の許可も下りたので、煙に関する報告と、重ね掛けの件も報告した。


「了解したわ。とにかく、今後は『怪力Ⅱ』と『統率』をオークションに出せる可能性があるという事ね。ちなみに、娘達からはもう『お願い』の詳細は聞いていると思うけど、これは1度もオークションに出していない物は、出品を優先した方が良いわ。未知のスキルが出たときの為にも、まずは値段を決める必要があるもの」


 なるほど。それもそうか。


「ショウタ君の検証が上手くいって『怪力Ⅲ』になったら、また結果を教えてね。報酬ははずむわ」

「任せてください」


 俺の返事に支部長は頷いて席を立った。


「それじゃ、私は戻るわ。あとはあなた達で解決なさい」

「え? 止めないんですか?」

「アマチ君とは短い付き合いだけど、誓った事を破る人だとは思わないわ。だから、大事な検証を中断してまで戻って来てくれたんでしょう? そんな君が、誓いを踏まえた上で下す判断なら、私からは異論はないの。あと、3人ならBランク。4人ならAランク必要だから。なにが、とは言わなくてもわかるわね?」


 そういって支部長は部屋から出て行った。

 つまり、2人の幸せを最優先にするなら、それ以上は干渉しないということか。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 「未知のスキルが出たときの為にも、まずは値段を決める必要があるもの」 そんなにお金を必要としているとは、思わなかったけど、金金と拘るのは大金を必要としているのだろうな。しかし、それだ…
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