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ガチャ667回目:エネルギー補給

「お兄さん、おきてー」

「ショウタ様、起きてくださいまし」

「んぉ……」


 左右から優しく揺すられ、ゆっくりと目を開けると美女が2人映り込んだ。これがうちの彼女達なら、ノータイムに抱きしめてるところだが、片方は義弟の彼女で、もう片方はまだ彼女(仮)だ。危うく伸びそうになっていた手を引っ込めた。


「んー? 遠慮しなくても、お兄さんなら別に良いのに」

「いやいや、俺にだって常識はあるんだぞ?」

「ふふ。……うん、ちゃんと目が覚めたみたいだね。ご飯の準備はできてるわよ。ミスティも連れてきてね」


 シルヴィは部屋から出ていくも、クリスは残り続けていた。


「ん? どうしたクリス」

「ショウタ様、本当に宜しいんですの? まだお部屋に入られてから3時間ほどしか経過しておりませんわ。ダンジョンボスとの疲労もありますし、無理に今戦わずとも、迎え撃つのは体調を整えてからでも……」

「それは、明日の朝方、連中が日本近海に姿を現すまで待つとか?」

「国民を不安にさせないために、見えないところで戦う気概は素晴らしいものですが、ショウタ様のお身体の方が大事ですわ」

「そういうんじゃないさ」


 クリスのこの言葉は、純粋に心配から来ているのは間違いないが、言葉の節々にどうにもクリスは……。いや。他の3人もそうかもしれないが、俺に幻想を見てる節があるんだよな。

 友人とかそういう軽い関係性の間で夢見るのは勝手だが、その先に進むとなればいずれ邪魔になりかねない感情だ。


「クリス。心配してくれてるのは伝わっているが、1つだけ言っておく事がある。俺は聖人君子でもなければ、使徒でもないし勇者でもない。俺がやりたいようにやってるだけで、別に誰かのために戦ってるわけじゃないんだ。ただ、行動の結果そうなってるだけだ。だから、神聖視するのは無しだぞ」

「ショウタ様……」

「ん。ショウタは欲望に忠実。それがめぐりめぐって世界のためになってるだけ。そこを勘違いしちゃダメ」


 ミスティが起き上がってクリスに言ってのけた。

 なんだ、起きてたのか。


「……ならばどうして、ショウタ様はすぐに戦われるのです?」

「そんなの決まってるだろ」


 息を呑むクリスに、俺は正直に言ってやった。


「1日で2つもスタンピードを平らげるとか、面白そうだからだ!」


 それを聞いたクリスは、しばらくの間唖然とするのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「あはは。お兄さんがそんな事言ったのー?」

「ん。ショウタらしい言葉」

「そうだね。兄さんらしいや」

「そんなに可笑しいか?」


 現在時刻は日本時間で19時半頃。本来なら晩飯どきのタイミングであるのと、激戦の後ということもありメチャクチャお腹が減っていた。その結果、用意されていた本来の2食分くらいをペロリと平らげてしまった。

 彼女達は、俺達4人が1週間腹を満たせる分としてこれらを用意してくれていたみたいだけど、このペースでも3、4日は保ちそうだな。もしかしたら彼女達は、クリスなんかのイレギュラーが参戦したり、俺が暴食する事も加味して、1週間分なんて大容量を用意してくれたのかもしれないな。

 ほんと、出来た彼女達だよまったく。


「……」


 クリスは食事中、黙々と食べていたが何やら考え事をしているようだ。


「クリス、俺についていく事を取りやめるか? 今なら間に合うぞ」

「えっ? そんな事、考えていませんわ! ただ、ショウタ様は本当に、わたくしの知る冒険者とは違う方なのだと、理解させられただけですわ」

「はは。兄さんの価値観を知り合ってすぐに把握するのは難しいよ。ただ、さっき兄さんが発した言葉、それが行動原理の全てじゃないことは把握しておくべきかな」

「それは、どういうものですの?」

「ん。ショウタの婚約者全員の心と身体を守るために、戦ってる。安心させてあげたいから、なるべく早く終わらせたいとも思ってる」

「お兄さんは愛妻家だからね」

「それはエスだってそうだろ」

「えへへ、そうなのよー」


 シルヴィが嬉しそうにはにかんだ。


「それとミスティ。後ろを任せてきた10人だけじゃなく、お前のこともだぞ。戦力であると同時に、大事に思ってるからな」

「ん。それは私も一緒。だから頑張ろう」

「ああ」


 ミスティの頭をわしゃわしゃする。


「本当に、羨ましいくらい仲がいいんですのね」

「何言ってんだ。これからクリスも、そこに入る事になるんだぞ。覚悟はできてるか?」

「……! ええ、楽しみにしていますわ」


 ……ふむ。

 これが彼女達なら抱きしめるなり撫でるなりしていたところだが、クリスとの関係はまだまっさらだからな。手を伸ばしかけたところでどうしたものかと思いとどまり、近くにいたアグニを撫でる事にしたのだった。


『キュイー』

『ポポ』

『ゴー』

『♪♪』

『プル』


 そうしてアグニを撫でたら、他の子達もナデナデをご所望され、順番に撫で回したところでシルヴィが立ち上がる。


「お兄さん、そろそろだよ!」

「お、了解だ」

「それじゃ兄さん。このまま世界初の、1日でスタンピード2箇所同時平定の偉業を達成しようか」

「ん! ショウタの伝説の1ページ更新!」

「わたくしも、その伝説の末席に加われるよう、微力ながらお手伝いいたしますわ」

「ああ、行こうか!」


 日が変わるまであと4時間か。

 どうせなら、平定ついでに『1099ダンジョン』も支配下に置きたいところだなー。

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― 新着の感想 ―
2つのスタンピードを囮にして何か仕掛けてくるなら、とっとと収めて敵を迎え撃ってやりたいしね。
[一言] 「誤字報告」しておいたけど、「聖人君子」という熟語ならあるけど「聖人君主」という熟語はないよ。
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