表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
708/1112

ガチャ664回目:短期決戦

「サポートしますわ!」


 クリスがそう言うと、カメが浸かってる海水が一瞬にして凍りついた。この手の怪物を暴れさせるのは不味い。速攻で削るつもりで行く!

 コレを使うのはぶっつけ本番だが……!


「『一刀両断』!」

「『ワールドカッター』!」


『ズガアアン!!!』


 『伝説(レジェンダリー)』武器の専用武技スキルに加え、クピドの翼を切断したエスの魔技スキル、そして『アイルトータス』を貫いた弾丸だ。

 どんなに頑丈な身体をしていようと、これが効かないなんてことはありえない。


『ヴウオオッ!?』


 正面から攻撃したせいか、俺の攻撃で奴の首を飛ばす事こそ叶わなかったが、奴の顔面は上から下にパックリと裂け、首元は半分ほど不可視の刃によって血飛沫が舞い、片眼は貫通弾により全損していた。

 頭という急所への集中攻撃だったが、煙ではなく血をだしているということは、死ぬほどの怪我ではないということだ。


「なるほど、大剣も悪くないな」


 使うのは初めてだが、『剣帝』のおかげか、まるで今まで共に戦い抜いてきたかのような、手に馴染む感覚を覚えた。これなら安心して、フルブースト状態でも武技スキルが使えそうだ。

 俺かエスの攻撃がもっと奥まで入っていれば、今ので倒しきれたんだろうがな。


『ヴウオオッ!!』

「もう保てませんわ!」


 クリスの悲鳴にも似た声が聞こえると同時に、奴の身体を封じていた氷が粉々に砕け散った。


「ナイスだクリス。後ろで休んでいろ」

「了解しましたわ!」

「このまま押し込むぞ! フルブースト!」

『ヴウオオオ!』


 俺がブーストスキルを全開にしたことを察知したのか、相手もブーストを掛けたらしい。とんでもない重圧がのしかかってくる。

 パンドラは変身した姿でも2メートルちょっとの、少し大きい人間だったが、『アクーパーラ』は体高40メートルくらいありそうな怪物だ。圧系スキル3つと、『神意のオーラ』は、どうやら相手の物理的なサイズに比例して影響力がデカくなるらしい。

 『恐慌の魔眼』がなくとも、それに類する感覚を覚えた。『恐怖耐性』がなかったら、間違いなく足に来てたな。


「おおらっ!!」

『ヴオオ!』


 真っ先に吶喊し、大剣を振り回すが奴の顔には軽微な傷しか与えられなかった。攻撃力と防御力が拮抗し合っているようだな。反撃で噛みつきや魔法が飛んでくるが、こちらの攻撃範囲が大きいお陰か防ぐことは容易だった。しかし、相手の攻撃が重く激しい為、ワンテンポ遅れる武技スキルを使っている暇がないのが難点か。

 そして奴の攻撃の起点は頭だけではなく、氷結から解放された前脚も存在した。一応そちらはエンキとエスが相手をしてくれているので戦線を保てているが、致命傷を与えるには遠い。

 エンリル、セレン、アグニ、イリスも俺達の邪魔にならないよう応戦してくれているが、微々たるダメージしか通らないようだった。

 俺は前を向いて戦いながらも、背後で弾丸を装填する気配を感じ、声をかける。


「ミスティ、平気か?」

「ん。私のスキルは耐性も完備してくれてる。それにショウタが前にいるから、怖くないよ」

「頼りになるな!」

「んふ」


『ズガアアン!!!』


 銃弾は奴のもう1つの眼を狙ったが、『超防壁Ⅶ』が咄嗟に張られたのか防がれてしまう。さっきのアレがあったからか、ミスティの攻撃は警戒されてるな。


「エス、『神降ろし』無しで放てる大技はあるか?」

「あるにはあるけど、チャージ時間が欲しい!」


 エスの代わりに前衛を任せられる仲間がいないんだよな。コアⅥになったエンキですらギリギリなのに、軟体ボディのイリスに任せるのは不安が残るしな。他のメンバーも中衛から後衛だし、代役を務められる人間がいない。


「手詰まりか……? あ、そうだ。クリス!」


 俺は『マジックバッグ』から取り出した『魔力貯蔵のネックレス』を、背後にいるクリスに向けて投げ渡した。


「ショウタ様、これは?」

「魔力を10万まで肩代わりしてくれるネックレスだ! それを使って、もう一度奴の動きを封じられるか!?」

「!! 10万もあれば、10分くらいは余裕で封印できますわ! セレン様、サポートを!」

『~~♪』


 セレンが呼び寄せた海水が奴の脚と尻尾を包み込み、クリスの魔力が奴の全身に降り注ぐ。


「『アイスコフィン』!!」

『ヴオオッ!?』


 先ほど海水で封じ込めた時よりも強力な力で『アクーパーラ』が封じ込められた。自由なのは頭と、甲羅くらいのものだ。


「エス! 同時に行くぞ!」

「ああ! ミスティ、テンカウント!」

「ん! 10、9、8……」


 エスが両腕に魔力を集め、腕を交差させた。

 俺も剣を振りかざし、この攻撃に全身全霊を込める。今から使うのはただの『一刀両断』じゃない。あの技は、1回使っただけで完璧に理解することができた。だから今から放つのは、フルブーストを乗せた、俺なりの『一刀両断』だ!


【武器に備わった武技スキルへの理解度がMAXになりました】

【武技スキル・一刀両断を取得しました】


 はは、システムも俺の理解度を認めてくれたか。

 これで、ちゃんとした技が放てる!


「6、5……」

『ヴオオッ!』


 邪魔をするためか、『アクーパーラ』は必至にあがき、いくつもの魔法を行使する。しかしその悉くをエンキ達によって防がれ、失敗に終わる。

 クリスには十分な魔力を渡したが、これがいつまで保つかはわからない。この一撃で終わらせる!


「2、1……0!」

「『デッドエンド』!!」

「『閃撃・一刀破断』!!」


 エスが腕を振り切ると、2本の可視化された『風』の力が出現し、進路上の全てを斬り裂きながら飛翔する。そしてそれを追いかけるように、全てを断ち斬る『閃撃』が『アクーパーラ』を襲った。


『斬ッ!!』


 奴の顔面は『風』によりXの字に斬り裂かれ、最後の『閃撃』により6分割され、今度こそ血ではなく煙を吐き出した。そして消える間際にうっすらと見えたが、どうやら俺の新技は、圧倒的な頑丈さを誇るはずの甲羅にも、ひびを入れさせたようだった。

 単純な物理攻撃技としては、最高峰の威力だな。


【管理者の鍵(1097)を獲得しました】


【レベルアップ】

【レベルが162から650に上昇しました】


 ああ、まーたレベルが600台に行っちゃったよ。

 しっかし、『アクーパーラ』のレベルでも思ってたけど、実は1097って、上位ダンジョンだったりするのかね?

読者の皆様へ


この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、

ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
書籍版第四巻 12月20日より好評発売中!
レベルガチャ1巻表紙絵 2巻表紙 3巻表紙絵 レベルガチャ4巻
コミカライズ第二巻 12/15より発売決定!予約受付中!!
コミカライズ1巻 コミカライズ第二巻
― 新着の感想 ―
[一言] 適切にボスが強いところを選んで暴走させてるんだろうなぁ なお
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ