ガチャ656回目:かつての強敵
『クラーケン』が氷山に上陸するのを待とうと思ったが、奴は100メートルくらい離れたギリギリ湾の外といえる場所に陣取り、イカスミを使った遠距離攻撃を仕掛けて来た。
「やっぱそれがあるか。仕方ない、直接叩くぞ! セレンはミスティの足代わりになってやってくれ。エンリルとイリスは、ドロップ回収のためについて来てくれ!」
『~~♪』
『ポポ!』
『プル~ン』
俺は『水渡り』を駆使し、エスは飛翔し、ミスティは高速移動するセレンの上に乗って直進する。そうして各々でイカスミを避けながら直進したところで、『真鑑定』の射程に入った。
*****
名前:クラーケン
レベル:222
腕力:2400
器用:2600
頑丈:1800
俊敏:800
魔力:9999
知力:2500
運:なし
【Bスキル】剛力Ⅴ、怪力Ⅴ、阿修羅Ⅳ、怪力乱神Ⅱ、鉄壁Ⅴ、城壁Ⅴ、金剛体Ⅳ
【Pスキル】身体超強化Lv2、水耐性Lv5、物理耐性Ⅳ、貫通耐性Lv3、自動回復Ⅳ、再生Lv3、体術Lv8、格闘術Lv6、弁天術Lv2
【PBスキル】破壊の叡智Ⅲ、水の聖印Ⅱ
【Aスキル】気配感知、危険感知、反響定位、粘液生成、暗視Ⅲ、衝撃Ⅲ
【Mスキル】水魔法Lv4、濁流操作Lv4、海魔法Lv3、宵闇魔法Lv4、混沌魔法Lv4、魔力回復Lv5
★【Eスキル】墨弾、超速再生、超軟体
装備:なし
ドロップ:クラーケンのゲソ、ランダムボックス
魔石:極大
*****
「うーん……。ちょっと強くなってるかな?」
前のは確か、ギリギリ200未満だった気がする。
レベル200ガチャ的には1体ずつガチャを回したいところだが、今はそれよりも気になる事を優先したいところだな。
「エス、ミスティ。後続はいるだろうけど、コレがレアⅡになるかも調べたい。できるだけ同時に倒そう」
「ん。了解」
「兄さんに合わせるよ」
「じゃあ、悪いけどちょっと遊ぶな」
あの時はそれなりに苦戦した相手だが、今戦えばどうなるかを試したいんだよな。まあ、あの時は『空間魔法』で足場を作りつつ、アイラはピアフロートを設置してその上で逃げながら戦っていたな。
今回は足場を気にする必要はないし、どうなるか。
「おっと」
悠長に考え事をしていると、こちらを叩き潰そうと、『クラーケン』が複数の触手を振るってくる。俺はそれを弾くためにちょっと強めに剣を振るってみたのだが……。
『斬ッ!』
3本の触手は全て両断されてしまった。
「あれ? 脆いな」
『プルンプルン!』
イリスが待ってましたと言わんばかりに切り離された触手に飛びつき、一気に吸収する。なんだか、「ズゾゾゾゾッ」って音が聞こえるような勢いで吸い込んでいったな。
まあモンスターは死ねば煙になるのはダンジョンの内外関係ないし、いくら生命力の強い『クラーケン』の触手でも、本体から切り離されては1分も保たないだろう。だから急いで食べる必要があったんだろうけど、何も3本全部食べなくてもいいのに。
『ピギィィィ!』
「お前、鳴き声あったんか」
触手はすぐに再生され、今度は6本が纏めて襲い掛かってきたが、軽く振り抜けば簡単に切断できてしまった。
うーん、これは俺が強くなり過ぎたというのもあるが、武器がグレードアップしたおかげだよな。あの時は武器レベル33の『ハイ・ミスリルソード』の二刀流だったが、今では武器レベル50の『双貌血牙の蛇腹剣』と、武器レベル41の『リザードマンの英霊剣+5』の二刀流だ。品格も武器レベルもあの時よりは上である以上、『頑丈』1800程度じゃ問題にもならないか。
この程度じゃ、天罰を出すまでもないな。
「エス、ミスティ」
「ん。ショウタ、満足した?」
「ああ……って、酷いなそっちは」
ミスティは銃を撃つ手は止めずに顔をこちらを向けていた。対する『クラーケン』は全ての触手が根元から撃ち抜かれており、再生する度に破壊され、身動きが取れない様子だった。残る攻撃手段はイカスミくらいだが、奴の行動ルーティーン的に、目の前の敵には使わないらしい。
まあ、使ったところで足場役に徹しているセレンが防ぐんだろうけど。
「トドメはどうする?」
そしてエスも、同じように余裕綽々といった感じで、『クラーケン』の頭の上でプカプカと浮いていた。対する『クラーケン』は触手こそ無事だが、見えない『風』の力で押さえつけられているようで、ピクピクとしか動けていなかった。
クラーケンの活き締めか?
てかお前、拘束技とかあったのかよ。パンドラ戦で使われてたらヤバかったろ。後でお説教だな。
「トドメは……そうだな。カメラに映ってるし、せっかくだから俺がやるよ。一列になるように移動して……っと」
……この辺かな? 多少中心点外れてるけど、まあ問題はないだろう。
「ブーストなしの……『閃撃・剛Ⅲ』!」
蛇腹剣から剣閃が飛び、3体まとめて両断した。
【レベルアップ】
【レベルが96から323に上昇しました】
「ふむ、ぼちぼちだな」
『ポポ!』
『~~♪』
『プル……』
3体の『クラーケン』の死骸は即座に霧散し、煙となって消えていった。そしてバシャバシャと海に落ちていくドロップを、エンリルとセレンが搔き集めてくれる。
俺同様レアⅡの出現を望んでいたイリスは、見るからに落ち込んでいた。
「よしよし。ゲソは3体分大量にドロップしたみたいだから、帰ったら皆に調理してもらおうな」
『プル~……』
ぐんにょりしているイリスを抱きかかえ、改めて正面を見る。
多少遊んだが、第三陣が来るまでにはもう少しかかりそうな気がするな。
「ん。次は雑魚みたい。小さいのがチョロチョロしてる」
アイテム回収を終えたセレンが、お立ち台のように触手を真上に伸ばし、それに乗ったミスティが偵察をこなしていた。ほぼ一方的な意思疎通しかできないのに、2人の関係は良好そうだな。
「んじゃ、一旦戻ってガチャするか」
「了解だ」
「ん。わかった」
今回は雑魚、中ボス、雑魚、大ボスって流れなのかな?
それとも、スタンピード発生地点から距離があるせいで、順番が入れ替わったか? けど、そもそも『俊敏』の数値的に『クラーケン』の方が速いのに、『マーマン』や『ソードフィッシュ』より遅く到着したってことは、移動に全力を尽くすやつもいればマイペースに動くやつもいるって感じかもな。
気になる所だが、検証のしようがないしな……。今は結果だけ見て満足しておくか。
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