ガチャ042回目:初めての報酬
ローファンタジー月間1位の栄誉を賜ったので、
今日も3話です(1/3)
『ピピピ、ピピピ』
「……んぁ」
もぞもぞと手を動かし、アラームを止める。
時刻を見ると、『20:10』
3時間くらいは眠れたかな。
こんな時間に眠るなんて、ここ最近は経験なかったけど、意外とスッキリとした気分だ。
だけど、部屋の電気をつけた瞬間、心臓が止まるかと思った。
「!?」
狭いベッドに、添い寝する女の子が1人。
マキだ。
そろーっと後ろを見るが、そちらは誰もいない。アキはこの場には居ないようだった。
しかし、なんでまた。酒気に当てられたわけでも無いのに……。
とにかく起こさないようにゆっくりと起き上がり、装備を整える。
改めて彼女を見ると、本当にぐっすり眠っているようだ。そっと、布団を掛けなおしてあげる。
ダンジョンの帰りに聞いたのだが、アキは受付嬢でありながら、暇があればダンジョンに遊びに行ったりするくらいフットワークが軽いらしい。なんでも、『鑑定』の能力を用いた、『調査員』という役職もあるとか。
だがマキは、事務仕事がほとんどで基本的に協会から出ない。なので、今日1日ダンジョンで遊び回って……というか俺のアイテム回収に走らされて、かなり疲れたんだと思う。
彼女の寝顔を見納めて、電気を消して部屋を出た。すると、アキが待ち構えていた。
「あら、お目覚めね」
「……最高の抱き枕があったからね」
「そう。……望めば、あの子なら喜んで、毎日なってくれるんじゃない?」
「……それは、この場で俺が言葉にするべきものじゃないな」
「わかってるじゃない」
「ごめん……」
「自覚があるならいいのよ。ちょっと、不安になっただけ」
しんみりするアキ。最近この人のいろんな顔が見えるな。
「アキ。……ちゃんと伝えるから、時間をくれ」
「ん、待ってる。……それじゃ、準備しましょう。作戦会議のお時間よ」
◇◇◇◇◇◇◇◇
俺とアキ、ヨウコさん。それから『鑑定』持ちの受付嬢兼、調査員5名。それを守る熟練のボディーガード役の冒険者15名。
合計23人が、ダンジョンの第一層入り口に集まっていた。ヨウコさんが陣頭指揮を執る。
「皆、良く集まってくれたわ。本日このダンジョンにて、未確認の新種レアモンスターが発見されたわ。動画を見たと思うけど、彼がその発見者であり、今作戦の要であるアマチ君よ。今回の作戦は、内容も、起きた出来事も、外部に漏らすことは一切厳禁とします。また、レアモンスターは彼が倒してくれるそうなので、ドロップしたアイテムも彼の物とします。私の信頼しているメンバーだから、期待を裏切る真似をするなんて、心配はしていないけどね」
こんなに多くの人が俺の考えた案に乗ってくれるのか。そう思うと、少し緊張してきた。
「まず、調査員1冒険者3の4人1組のチームを5つ作るわ。A~D班はマップ端付近の広場で待機。E班はマップ中央の小高い広場で待機を。各チームの調査員はこの専用トランシーバを持って、いつでも返事が出来るようにしていなさい。アマチ君は作戦通り、マップに記した箇所の付近で、レアモンスターを呼び出してみて。今回の作戦、皆不安があると思うけど、『第一本部局長』からの認可も降りているわ。悪いけど、朝まで付き合ってちょうだい」
『はい!!』
「いい返事。それじゃ、皆行動開始よ!」
各チームが走って移動していくのを確認し、ストレッチをしているとアキから座るように言われた。
「なに?」
「はいこれ、ショウタ君の晩御飯」
「ああー……忘れてた」
「全くもう、気を付けなさい。お腹が空いて動けないじゃ、話にならないわよ。これ、マキが作ってくれたんだから、味わって食べる事!」
「マジで? 今もう食って良いかな?」
「ふふ、良いんじゃない? 誰も邪魔する人はいないわ」
「アマチさんの作戦開始は10分後としますから、ごゆっくりどうぞ」
「それじゃ、いただきまーす」
◇◇◇◇◇◇◇◇
やっぱりマキの作ってくれるご飯は活力が出るな。まあ流石に、家じゃないから売店で販売されてるものとかも混ざってはいたけど、それでもおかずの並べ方ひとつで、味や気持ちは変わるものだ。
トランシーバーを持ち、最初のチェックポイントに向かう。
「A班、作戦を開始する。目標地点に問題は無いか?」
『こちらA班。異常ありません』
「了解。すまないが、俺も確実に出現させられる自信はない。場合によっては時間がかかる可能性もあり得る。気長に待っていてくれ」
『了解。合図を待ちます』
マップを展開すると、周囲にモンスターの影がずらりと並んでいる。そして、今日の昼頃『黄金蟲』と戦ったポイントには、しっかりと白点が4つ並んでいる。
このポイントに関してはもう出てくる事は解っている為、本来は試す必要は無いのだが、『一番近い場所に出現する』という法則は俺の経験則から来るものだ。それを全て鵜呑みにするわけにはいかないということだろう。その為まずは、俺の合図と共に本当にレアモンスターが出現するかどうかを、しっかりと目撃してもらう必要がある訳だ。
今回の件、ヨウコさんにはそれとなく伝えたが、『モンスターを一定数討伐すること』が条件であることは伏せて貰っている。いくらお偉いさんの命令や指示があろうとも、人の口に戸は立てられない。なので、『何か特別な方法で討伐する事』でレアモンスターを沸かせる。という流れになっている。
ヨウコさんは信用出来ると言っていたが、それと俺が信頼するかどうかは別の話だからな。そもそも、100匹討伐は大事な2人にすらまだ言ってないんだから。
さて、ここから100匹ずつ狩っていくわけだが……。
「ようやく誰もいない時間になったな」
待ちに待った、ガチャのお時間だ!
念のため、森の外周部にある巨木の裏でスキルを使用する。
そして「10回ガチャ」を押した。
『ジャララ、ジャララララ!』
出てきたのは緑1、赤4、青5だった。
『R 腕力上昇+8』
『R 器用上昇+8』
『R 頑丈上昇+8』
『R 俊敏上昇+8』
『R 知力上昇+8』
『SR 魔力上昇+18』
『SR 知力上昇+18』
『SR 知力上昇+20』
『SR スキル:身体強化Lv1』
『UR スキル:鷹の目』
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名前:天地 翔太
年齢:21
レベル:20
腕力:223(+200)
器用:230(+207)
頑丈:238(+215)
俊敏:249(+226)
魔力:214(+193)
知力:214(+193)
運:518
スキル:レベルガチャ、鑑定Lv3、鑑定妨害Lv5、自動マッピング、鷹の目、金剛外装、身体強化Lv8、怪力Ⅱ、金剛力、迅速Ⅱ、金剛壁、予知、剣術Lv1、投擲Lv2、炎魔法Lv1、水魔法Lv1、魔力回復Lv1、魔力譲渡
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「UR!? なぜ急に……って、『運』が500を超えたからか! やっぱ『運』だよな~。『運』がなきゃ、始まらな、い……ん? 『運』がなきゃ、始まらない……?」
もしかして……。
いや、でも、それしか考えられないよな。
レアモンスターの煙を思い出す。
俺と、アキやマキとの違い。一般の冒険者との違い……。
それしか、ないよな?
「規定の『運』に達していなければ、煙をしっかり目視する事が出来ない……? 場合によっては、既定の『運』に達していなければ、レアモンスターを沸かせることすら出来ないとか?」










