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ガチャ198回目:二人の決意

 マキは姉と並んで、自室のベッドに腰掛けていた。


「急に二人っきりで話がしたいなんて、どうしたのよ」

「それはその……」


 マキが言い淀んでいると、アキはくすりと笑う。


「なーんて、理由はもうわかってるけどね。ネックレスの件でしょ」

「うん……。やっぱり、何もしていないのにレベルが上がってしまうのは、ズルしてるみたいでやりきれないの。でも、彼がダンジョンに行ってる間、このネックレスを外すなんてこともしたくない」

「そうね。初めての彼からの贈り物だもん。それを外すなんて、不貞をする訳じゃないけど裏切るみたいで嫌だわ」

「だからね、その……ゴニョゴニョ」


 マキは抱えていた想いを姉に伝える。それを聞いたアキは、喜びを隠し切れずに驚く。


「……そう。覚悟、決まったのね」

「うん。それにね、理由はそれだけじゃないの。さっきのアイラさんが、その。羨ましくて……」


 先ほど労いという名のご褒美を、心から堪能するメイドの姿が二人の脳裏に浮かぶ。


「あー……。まあ、ね? そっかそっか。まあ良いんじゃない? 理由が申し訳なさよりも、嫉妬の方が勝ってもさ。むしろ健全だよ」

「そう、かな?」

「そうだよー。よし、そういうことならあたしも準備しないとだし、お母さんに連絡入れないとね」

「ありがとう姉さん、私のワガママに付き合ってくれて」

「大事な妹だもん、気にしないで。なんなら、ショウタ君との時間を分けてくれても良いわよ?」

「それとこれとは別! ……ふふっ」

「あははっ」


 笑い合う姉妹の扉を、遠慮がちなノックの音が響く。


「あの、先輩。今いいですか?」

「アヤネちゃん? どうぞー」


 現れたのは、お風呂上りといった様子のアヤネ。まだ髪も満足に乾いておらず、慌てて着替えたかのようだった。


「お邪魔しますわ。……あの、お母様からお電話がありまして、お二人を呼んでますの」

「お母さんから?」

「なんだろ」

「いえ、違いますわ。わたくしのお母様ですわ」

「え、サクヤさん?」

「サクヤさんがあたし達に?」

「はい。ビデオ通話ですので、わたくしのお部屋に行きましょう」



◇◇◇◇◇◇◇◇



 俺は今、エンキとゴーレム達に囲まれて報告を受けていた。


『ゴ』

「そうかそうか。色々教えて貰ってたんだな」

『ゴ!』

『!』

「……あ、そうだ」


 そこでふと思いついたことがあり、試してみたくなる。


「『ゴーレムコア』にもローマ数字が付いてるんだよな。スキルみたいに『圧縮』できるかな?」

『ゴ? ゴゴ』

「お、サンキュー」


 エンキは()()()リヴァちゃん達から抽出した『ゴーレムコア』を手渡してくれた。そう、本日『ストーンゴーレム』を4匹狩ったことで得た『ゴーレムコアⅡ』と、全員交換したのだ。

 可能かどうかは半信半疑だったのだが、コアを2つ取り込み、意識を高性能な方に乗り換える事で、懸念していたような問題は起きなかった。リヴァちゃん達の意識が途絶える事も無く無事に移行出来てホッとしたよ。

 ちなみに改めて彼らを『真鑑定』で覗いたところ、通常コアはスキルが2個まで。『Ⅱ』はスキル4個まで取得が可能だった。となれば、『ゴーレムコアⅤ』ともなれば10個も覚えられるという事だが、あれより上のゴーレムと戦いになれば、苦戦を強いられるのは間違いない。という訳で、先んじてコアを確保するというズルが可能か試して見たくなったのだ。


「んじゃ『圧縮』を……」


 だが、試してみるも何も変化は起きない。


「んー。ダメ、か? 4個でダメとなると、もっとまとまった数ならどうだろうか。よし、誰かアイラからバッグか現物を借りて来てくれるか?」

『!』


 リヴァちゃん達が勢いよく手を挙げ、部屋を出ようとしたとき、扉が開いた。


「お呼びですかご主人様」

「お、アイラいいとこに。……ん? 皆一緒にどうしたのさ。寝る時間にはまだ早いけど」

「ショウタさん、お話があります」

「真面目な話よ」

「あ、はい」


 思わずベッドの上で正座してしまう。


「ショウタ君が畏まる必要はないわ。むしろそうするべきなのはあたし達の方」

「ん?」

「ショウタさん、一度はお断りした話で申し訳ないですが、お願いがあります」

「う、うん」

「……私達を」

「ショウタ君の……」


 そこまで言った所で二人は同時に息を吸い込む。


「「冒険に連れて行ってください!」」

「……えぇっ!?」


 冒険!?

 いや、マキは戦うのが怖い的な事を言ってた気がするし、アキはそれに付き添う形でついてこないって話だったはず。何か心境の変化でもあったんだろうか。


「ど、どうしたの急に。てか、2人は協会から俺のサポートをしてくれるんじゃなかったの?」

「だめですか?」

「駄目じゃないよ。2人が協会で待つんじゃなくて、一緒についてきてくれるって事でしょ? それは嬉しいけど、なんで急に」

「じゃあ、ついていってもいいのね?」

「う、うん」

「わ、やった!」

「頑張りますね!」

「先輩、これからもよろしくお願いしますわ」

「「こちらこそ、よろしくね」」


 どうやら、彼女達との間ではもう話し合いは終わってるらしい。何が何やらだが、まあ……賑やかになりそうで悪くは無いかな。

 その後、アキからは待ってる間寂しかったこととか、マキからは戦いへの恐怖よりもアイラとのスキンシップが羨ましかったこととかを聞かされた。なんだか他にも理由がありそうな気がしたけど、今は5人で再びダンジョンを攻略できることを楽しみにしていよう。

読者の皆様へ


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