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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第三十二章 秘密の園

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ガチャ1173回目:見えない弊害

 そうしてゆっくりと外周を進み、1時間ほどかけてマップの外周を半分ほど埋めたところで虎型モンスターを100体撃破を達成。

 お目当てのレアモンスターが出現したのだが……。


『ゴガアアッ!!』

「くそ、こいつもか!」


 またしても『鑑定』で視れないモンスターの出現に、出鼻を挫かれる。

 今までの経験からして、奴の咆哮には圧系のスキルがあるのと、気配の強まり方からして『(ブースト)スキル』の存在はほぼ確定。そして奴の見た目は通常モンスターと同じ黒い影を纏った虎ではあるが、体高2メートルの大虎だ。その身の丈に合ったスキルや攻撃方法を持っていてもおかしくはない。


『ゴガア!』

「んにゃろっ!」


『ガキンッ!』


 後ろ足を使った跳躍からの、両手の爪による同時攻撃。それに対してこちらも2本の短剣で受け止めた。

 相手には『ウェポンブレイク』のスキルが備わっているかもしれないが、マインゴーシュは『固有(ユニーク)』といえど武器レベル44もある武器だ。そう簡単に破壊されはしまい。


『ゴガ!』

「ふぅー……」


 どうする?

 この力の強さからしてレベルは100から150前後。『腕力』も基礎値は『(ブースト)スキル』で増幅している為元の数値は不明だが、レベルから算出できるのは1200~1600幅。ここにトリッキーなスキルが加わって来るとなると、大技で決めようとすれば足元をすくわれる可能性があるな。遊ぶにしても手の内が視えない相手じゃ――。


「……ん!?」


 力と力の真っ向勝負と見せかけて反撃の手段を模索していると、視界の外から嫌な予感を検知した。


「くっ!?」

『ガッ!?』


 咄嗟に奴の腹に蹴りを入れて距離を取ると、鋭利な物体が俺のいた場所を左右から串刺しにしていた。

 視界が悪い中の死角からの攻撃か。今のは影を操ったのか? それとも魔法系のスキルか? ああクソ、相手のスキルが見えないと考えなきゃいけない事が多すぎる!


『マスター、手助けはいるー?』

「まだいい!」


 と言ったはいいものの、あのスキルの詳細が分からない以上、接近戦は難しい。新技の『絶空』なら倒す事自体は可能だろうが、あの時は世界が闇に包まれていようと、足場が平坦だったからできた技だ。どんな落とし穴があるか予想もできない場所では、迂闊に使用する事はできない。

 ……くそ、できれば最初からこんな手に頼りたくはなかったが、仕方ない。


「『天罰の剣』!」

『グガ……?』


 俺の正面に、1本の剣が出現。いつもなら光を受けて神聖な輝きを見せてくれるこの剣も、今日はひどく暗い存在感を放っている。だが、見た目はどうあれ性能はピカイチだ。


「行け」

『ゴガァ!』


 5本は流石にオーバーキルがすぎるから、まずは手始めに1本呼び出した訳だが……やっぱりこいつは単純に強いな。俺の意志を汲んで手加減はしつつもレアモンスターの攻撃を完全に受け流し、それでいて空を自在に駆け巡っては相手に裂傷を負わせている。

 時折奴は、先程見せた影のような攻撃を駆使して剣に反撃をしているが、相手が人間である俺とは違って、剣の当たり判定は非常に細く小さい。その特性を生かして、インファイトを続けながらも影による攻撃は全て避け、爪攻撃には受け流しを行い、時折反撃を繰り出していた。

 こうして後ろから戦況を見ていると、ようやくあの大虎との戦い方が分かって来た。やはりこいつは、パワー型と見せかけて影を使った不意打ちを得意とするモンスターらしい。


「もういい、戻れ」

『ゴガァ!!』


 『天罰の剣』を下がらせ、再び前に躍り出た。すると待っていたかのように奴は両手の攻撃と、影による攻撃を同時に使用してきた。それに対して俺は『跳躍』を選択。そして空中で反転し、空を蹴って短剣を頭蓋に叩き込んだ。


『ゴ、ガァ……』


 大虎は崩れ落ちながら煙へと変わって行った。


【レベルアップ】

【レベルが224から225に上昇しました】


 あー、まあレベルが上がっただけ良しとしよう。疑似太陽なんて経験値すらくれなかったからな。


「はー……。予想以上に疲れた。今の戦法構築が戦いながら出来てたら良かったんだが……」

『んふ。マスター、お疲れみたいね?』

『マスター様の修業は、相手の能力を見抜いた上での算段が下地になっていますから、仕方がありません』

「それができないとなると、どうしても後手後手になっちゃうよね☆」

『でもでも、おにいさんならできるはずですっ!』

「ああ、ありがとうな」

『しかし、主君が苦戦するのもわかりますぞ。常に見えない環境というのが、これほど辛いとは』

「仮に某達だけで第一層を越えられたとしても、この暗さは鬼門となっていたことでしょう」

「完全に見えない訳じゃないから進めはするけど……不安を煽る造りだよねー」

「今回はお兄様が先行してくださってるおかげで進めてはいますが、この調子が続くとなると、やはりどこかでギブアップしてたと思います」

「そうですわね。わたくし達だけでの攻略は、結局失敗の2文字で終わっていたと思われますわ」


 何を弱気なと言いたいところではあるが、普通に考えて難易度高すぎだよな、ここ。視界のデバフに続いて頼みの綱の『鑑定』も『暗視』も不可と来たもんだ。戦いの場の整地すらままならないのに、拠点を建てても明かりの1つも満足に利用できないとなると、精神的に参ってしまう……。


「お兄ちゃん。このダンジョンが何層も続いてた場合だけど……」

「ああ。日を跨ぐときは外で休みを取るのもやむなしだな」

『クゥ~ン……』

「あ」


 そうか、コハクはまだ『テイム』していない以上、このダンジョンとの繋がりは絶たれていない。だから外に連れ出すことはできない。もし仮にこのダンジョンがスタンピード設定がされていなかったとしても、リリアナとは違って異界の住人ポジションじゃないから、連れ出す事もやはり難しい。

 イリスの件もあるから一概に不可能と断ずることはできないけど、あれはかなり特殊なケースだからな。真似をして消失なんてことになったら悔いても悔い切れない。


「そうだなー……。転移先は第一層にしておこう。コハクをこんなところに1人でいさせてやる気は無いしな」

『キャン!』

『ショータ、優しいね』

「1人ぼっちは寂しいもんな」

『うん、そうだね!』


 リリアナも、もし俺が来なかったときの事を想像したんだろう。姉妹との交流通路があるとはいえ、あんな屋敷で1人で過ごすのは辛かったはずだ。

 受け入れた以上、当然コハクにもそんな寂しい思いはさせるつもりはない。

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