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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十二章 秘密の園

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ガチャ1170回目:名付け

 嫁達から飼育の許可をもらった俺は、子犬を抱っこしたまま大岩の前へと戻ってくる。そこでは宴会がまだ続いていたが、続投組は居残りという事で良さそうかな。


「ついてくるのは第二チームの7人と、アズとキュビラとリリスとリリアナの4人って事でいいのか?」

「うん、やっぱり一度任された以上、このダンジョンは私達も攻略に参加したいもんね」

『あたし達は単純に、前回の冒険についていけなかったからねー』

『前回はずーっとお姫様が可愛がられてましたから、今回は私達の番ですっ』

『ですですっ!』

『ショータが頑張ってるとこ、間近で見させてもらうねっ!』

「ふむ、そうなったか」

『わっちはお留守番なのじゃ』


 ちょっと寂しそうなタマモを撫で回す。


『くふー』

「エスも留守番でいいのか?」

「うん。僕達はここで親睦を深めることにするよ」


 どうやら、こっちはこっちでリリムとリリィの吸血鬼姉妹と打ち解けるために時間を使いたいらしい。まあ俺も打ち解けるためにも色々なダンジョンに連れていく予定ではあったし、親睦の深め方はそれぞれだよな。


「けど、何かあったら呼んでくれ。すぐに駆けつけるから」

「ああ、頼りにしてる」


 エスと拳を突き合わせていると、ミスティが駆け寄って来た。


「お、どうした?」

「ん。大変なことに気付いた。でもネタバレになるかもだから、いうべきか悩む」

「いや、言っていいぞ。俺とミスティの条件はイーブンだ。その状況下で俺が気付けてないんなら、しばらく気付けない可能性もあるしな」


 気付きの勝負に負けたのだから、素直に受け入れるべきだろう。


「ん、分かった。端末のライトが付かない」

「……まじで?」

「ん。マジ」


 試しに端末の電灯機能を使用してみたが、何度起動を試そうとうんともすんとも言わなかった。それに、画面も暗いままだ。

 マジか。明かりが失われてるのか……?


「あ、そういうことなら勇者様。私もいいですかー?」

「いいよ」

「ありがとうございます! 実は、光を灯す魔法の類も全て発動しなかったんですよー」

「火は出せるのに?」

「そうなんです。それに火を出しても全然明るさを感じないんです。焚き火を点ける時や焚き火そのものは明るいのに、不思議ですよねー」


 ふむ、となると……。

 俺はそのまま端末を使って連絡を入れた。


「もしもーし」

『どうしたの?』

「拠点の電気がつくか試してもらっていい?」

『え、良いの? 分かった、ちょっと待ってねー』


 そうしてしばらく待っていると、遠目に俺らがいつも使っているのと同型の拠点らしき影が出現するのが見えた。なんだかんだで使いやすいから、専用の業者に頼んで、あの型で量産してもらってるんだよなぁ。


『……うーん、ダメみたい。電気系統は問題ないはずなのにうんともすんとも言わないわ』

「そっか、ありがと。恐らくここをクリアするまではずっとこんな感じだと思うから、適当なタイミングで引き上げて良いからね」

『分かったわ、その時はタマモに連れてってもらうわね。んじゃねー』


 通話終了っと。


「つーわけで、このダンジョンもいつ終わるか分からん規模感が出て来たから、帰る時は地図持ちと一緒に帰っててくれな」


 現状攻略側に地図持ちが4人いるけど、居残り組にも一応いるしな。タマモは子供達の帰還用に使われるけど、その時に一緒に帰っても良いし、新たに管理者権限を得たエスとシルヴィもいるのだ。まあこの2人が離れることは滅多にないし予備戦力扱いだから、地図ワープの回数としては実質タマモの1回分ではあるが。


「そんじゃ、改めていってきまーす」


 そう言って俺たちは次の階層へと降りていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「あー……ここも暗いな」

『けど、マスターが見つけたように完全な闇ってわけでもなさそうね。マスターの顔くらいならなんとなく見えるわ♡』

「よいしょっと」


 ドスンと、カスミが入口に電波塔を設置した。


「こいつは光を発する訳じゃないから、録画機能と同様にきちんと動作しているみたいだな」

『そのようですね。ただ、こちらは『幻想(ファンタズマ)』ですから、発光機能を持っていたとすれば発動していたかもしれませんが』

「あ~……。それはそれで見たかったかもな。灯台みたいで」

『キュウ~ン』


 俺達の会話にワンコが悲し気な声を上げた。

 ペット枠じゃないし感情も伝わってきたりはしないが、この子はこっちの言葉をほぼほぼ理解している節があるからな。それを考えると、今のは「そんなことされたら立つ瀬がない」って言ってるのかもしれない。知らんけど。


「それでお兄ちゃん、その子だけど……飼うんだよね? 『テイム』はしないの?」

「いや、最終的にする予定ではあるけど今はまだな。なんせ、この子は天照大御神ご本人か、エスの言うように他の神か……なんにせよ、それに関連する子としてダンジョンに設定されてるはずだ。ルミナスが『深海ダンジョン』のギミックに組み込まれていたみたいにな。あの時のルミナスは『テイム』後も元の設定通りの機能が発揮されてたけど、この子の場合階層の一部じゃなく、この二層……下手するとダンジョン全体に及ぼしてる可能性がある訳だ。そんな根幹に食い込んでる存在を『テイム』したりしたら、下手すると攻略不可能になる可能性がある。だから、それをするのは最後の最後と思ってる」

「なるほどですね」

「流石の判断力です、お兄様」

「兄上の判断に従います!」

「僕もお兄さんの考えにさんせー!」

「わたくしもですわ」

「それでもお兄様、結局飼うなら名前付けてあげなきゃ。いつまでもワンコや子犬じゃ可哀想でしょ☆」

「ああ、それはそうだな」


 名前ねえ。本来の名前から手を加えての名づけとなると、アズ以降ほとんどしてなかったんだよなぁ。イクサバ以降基本的にそのまんまか、ルミナスみたく省略するかの二択だった。今回はどうするか……。うーん。


「そもそもお前、オスなの? メスなの?」

『クゥ?』


 ワンコを持ち上げてみたが、そこには何もついてなかった。

 ()()()、だ。


「イクサバと同じ感じか」

『キャン!』


 でも、飯は食うのに排泄はしないのか……。まあそこはいいや。

 名前はそうだなぁ……。天照大御神は女神だし、なにも付いてない時点で違う可能性が出て来た訳だが、それ関係の名前を付けて違ったらアレだしなぁ。白い子供の犬だし、ここは……。


「コハクだな」

『キャウ?』

「お前の名前だ、コハク」

『キャン!』


 嬉しそうに尻尾を振ってコハクは一鳴きした。心なしか、世界が明るくなったように思えた。……いや、マジで明るくなってないか!?

 正確には明るさ-90くらいに。どうなってやがる。

読者の皆様へ


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