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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15より好評発売中!】  作者: 皇 雪火
第三十二章 秘密の園

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ガチャ1165回目:八尺鏡野ダンジョンへ

 カスミ達の記者会見の翌日。俺達はリビングに集まっていた。『アトラスの縮図』持ちを中心とした範囲内なら、何人でも一気に転移できる機能を持っているが、それでもこんな大人数での移動は初めてだからワクワクするな~。

 皆もこの日を心待ちにしていたのか、とても賑やかで笑顔に溢れている。そんな中、一際心配なのかアヤネがそわそわしながら聞いて来た。


「旦那様旦那様、本当にこの子達を連れて行って大丈夫なんですのね?」

「ああ。『直感』も特に問題ないと言ってるし、危険な場所に連れてくわけでもないからな。なあイズミ、何度も聞くけど、最初の階層は安全な空間なんだよな?」

「うん、そうよー。『ハートダンジョン』の第三層みたいな感じで、モンスターはいなくて、一部の景色は眺めの良い場所なんだから☆」

「な? 大丈夫だって」

「わたくし達は、旦那様が帰ってくるまでピクニックを楽しめばいいんですのね?」

「そうなるな。それに、うちの子達は胆力が凄いからちょっとやそっとじゃビビらんだろ。地震が来てもぐーすか寝てるんだし」

「ほんと、たくましい子達よね~☆」


 イズミがカナデのお手手をニギニギすると、嬉しそうに鳴いた。


「にぃ~」

「んふふ~☆」

「なあイズミ、第一層の特徴って他に無いのか?」

「ネタバレ除いて?」

「除いて」

「うーん……なーんにもないよ♪」


 聞けば聞くほど不思議なダンジョンだな。なのにどうして、『ハートダンジョン』みたく、人気にならないんだ?


「それは色々な問題があるようですが、ひとまず現地に行ってからお伝えするのが良いかと」

「そうだな。んじゃ、皆準備は良いか―?」

「「「「「「「「「「「「「「『『『『『はーい!』』』』』」」」」」」」」」」」」」」

「「「「『『OK!』』」」」」

『『『『うむ!』』』』

『ゴゴ!』

『ポ~!』

『プルプル』

『キュイ~』

『♪』

『『キュ~!』』


 今回、家族全員で出かける訳だが、赤ちゃんのお世話の為にエンキ達は勿論、ルミナスにモル君、ついでにベリアル達も参加していた。あいつらのスキル稼ぎは、満足の行くレベルというには程遠いが、それでも積み重ねればそれなりの稼ぎにはなる。だからと言って連中は機械でも何でもないので、常にダンジョンに放り込んでいれば良いというわけにもいかない。時折休みは必要だし、今回の『浮遊ダンジョン』攻略は半日で終わってしまったので、せっかくなので彼らも今回のプチ旅行に連れて行くことにしたのだ。

 まあ、ダンジョンで羽を伸ばせるかは人によるのだが。


「それじゃ、しゅっぱーつ☆」



◇◇◇◇◇◇◇◇



「おー、ここがダンジョンNo.164『八尺鏡野ダンジョン』か……」


 俺達の前に広がっていたのは何もない平坦な草原に、空高くに浮かび上がる疑似太陽。そして奥には怪しげな大岩と、その背後に続く海だった。

 地平線の見える位置からして、あの大岩の後ろは崖になっているのか? それともどこかに階段でもあって、海岸に行けるんだろうか? 気になる所はそのくらいで、他に目ぼしいものは見当たらなかった。

 なにせこのダンジョンは……。


「滅茶苦茶狭くね?」


 横幅の直径は目算100メートル程度しかなく、後ろを振り返ればダンジョン壁と外に繋がっているであろう階段。そして前方と左右に続く草原はひたすらに平らで、花もなければ森もない。奥に行けば謎の大岩と、その背後に海は見えるものの、本当にそれだけだ。

 ダンジョン壁さえ見えなければ、奇岩のある地球上のどこかと言われてもなんら違和感もない空間だった。


「これは確かに人気でないわ」

「その上、ここは和歌山県の南東部に位置します。500番までは基本的に都市部を中心として出現する傾向が多かったのですが、八尺鏡野は伝承的な由来こそあれどさほど目立った土地でもなく……」

「人が集まる下地が無かったと」

「そうなりますね」

「ふむ……」


 こういう時はアズに聞くのが一番良いよな。


「アズー」

『ネタバレしていいの?』

「ここに出現した理由についてな」

『そうねえ。最初の500番までは、人の多い土地を優先するように設計されていたのは間違いないわ。けど、それ以外にもダンジョンの設計によって出現しやすい土地もあったのよ』

「ダンジョン側の設計……」

『そ。タマモやキュビラの狐族集落と『妖怪ダンジョン』が京都に出現した件や、ベリアルの『悪魔のダンジョン』が聖地に出現した事もそういった理由ね』

「ああ、なるほどな。ダンジョン側の設計に類似する土地が選ばれやすくなってたというわけか」

『そういう事』


 あー……だから日本はダンジョン出現率が高いのかもしれないな。多種多様な文化や神話による下地は勿論の事、主要目的である人口密集度の高いエリアもまた分散してるし。

 そういう意味では、神話とか多かったり、特徴的な地域や土地を持つほど国ほどダンジョンの数が増していくわけだ。逆に、ダンジョン設計に引っかからないような新興国には、ダンジョンは出現しないことが多いと。

 まあ、今アズが語ってくれたのはほんの一部だろう。俺が聞いたのはこのダンジョンについてだけだし、その2つの要因が全てであるほど生優しい仕組みじゃない。


「とりあえず、『八尺鏡野ダンジョン』なんて付けられてるからまさかとは思ったが、アズの言っていた理由も加味すると……やっぱりあの大岩は、天岩戸の設定を引用されたギミックである可能性が高いな」


 神話では確か、スサノオがやらかして、それでアマテラスが引き籠って、神々がドンチャン騒ぎして引っ張り出したって話だったよな。それになぞるなら同じくあの岩の前でプチ宴会開けば良さそうに思えるが……この土地の冒険者やカスミ達がそれを試さない訳がない。

 ああ、ここも面白そうなダンジョンじゃないか……!

読者の皆様へ


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― 新着の感想 ―
確かあの伝説って最後に岩戸に覗き穴程度に開いた隙間を力づくで抉じ開ける要員が 必要だった筈だから同じ様な事出来る奴が居ないと突破困難なギミックなのかもなぁ
人が増えて<はーい>が大変なことに… そんなショウタ君も大好きです
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