ガチャ1158回目:怒涛の通知ラッシュ
「兄さん……僕もホルダーになったよ」
「みたいだな。おめでとうと言っておこう」
「ありがとう。……さて、リリム、リリィ。改めて僕の名前はエルキネス。好きに呼んでくれて構わないけど、親しい人はエスと呼んでくれている。それから、重力は解いたからそこに座ってくれないか」
『『はい、エス様っ♡』』
2人のヴァンパイア姉妹は起き上がると、ビシッと正座の体勢に移った。どんだけ惚れこんでるんだか。
「改めて、君達が僕を襲ってきた理由を聞こうか」
『『はいっ!』』
そうして彼女達は『1150ダンジョン』の通知が来た瞬間から、エスに制圧されるまでの流れを事細かに説明した。
まず、誰かに支配されたことを察知してすぐさま自身のダンジョンから繋がるポータルへと飛び込み、このダンジョンへとやって来た事。続いて探知を広げたところ、館にはリリアナの気配がなく動転していたところに、異変を感じたエスが奥の謁見の間から飛んできた事。そしてエスがリリアナを殺したと判断して、襲い掛かった事。 それから支配された今、流れ込んでくる感情からリリアナとは戦ってすらいない事を知った事。
『『本当に申し訳ありませんでした、エス様!』』
「まあ、分かってくれたなら良いよ」
『それでその、エス様……。リリアナはどこに行ったかご存じありませんか?』
『あたし達、それだけが心配で……!』
「そこは後ろを見ればわかるんじゃないかな」
『『えっ?』』
そこでようやく彼女達はリリアナが近くに居た事を認識したようだ。こんなに近くにいるのに気付けないなんて、本当に動転してたんだな。
『『リリアナ!』』
『リリム姉様! リリィ!』
美しい姉妹の抱擁を前に、エスは心ここに在らずといった様子だった。あれは多分、今後シルヴィと2人っきりになるのは難しい事を懸念してるんだろうな。俺からすれば、2人増えたくらいなら全然問題ないと思うけどな。特に、エスの場合誰を一番に据えるかを明確にしているのなら、尚更だ。
まあでも、今まで一途だったエスに割り切れと言うのも酷か。もう少し黙って見ていよう。
「タマモ、おいでー」
『はいなのじゃ』
そしてあの3姉妹とエスは時間が掛かりそうだし、しばらくモフっているとしよう。
◇◇◇◇◇◇◇◇
『『あの……』』
「ん?」
タマモをモフッたり吸ったりしていると、いつの間にやら姉妹が目の前にいた。この感じからして、タマモに挨拶すべきか俺に挨拶すべきかで迷っている気がするな。
とりあえずタマモを前に出すか。
『むん? なんじゃ、抱擁は終わったのじゃ?』
『申し訳ありません、タマモ様!』
『タマモ様、大変失礼しましたっ!』
『くふ。良い良い、わっちのことは気にするでない』
タマモが手を振ると、彼女達は明らかにホッとした表情を浮かべた。
やっぱり彼女たちの中でタマモの方が格上なのか。力量的にも立場的にも。特に力の方は、俺の恩恵で凄まじい事になってるし。
『そんなことより、この方にご挨拶せい。わっちの偉大な御主人であり、大切な番なのじゃぞ』
タマモの紹介により、まるで殿様を前にした家臣のように、彼女達は一斉に頭を下げた。リリアナも一緒に。
『お初にお目に掛かります、吸血鬼種・リリ派代表のリリムと申します!』
『同じく、三女のリリィと申しますっ!』
『えと、次女のリリアナですっ』
「うむ。くるしゅうない」
が、そういうのは求めてないんだよなぁ。ノリで返したけども。
「リリアナ、大体の事情は話したか?」
『話したよ。……えっと、やっぱりわたしも『テイム』された方がいいかな?』
「俺としてはどっちでも良いかな。だからしたいならすれば良いし、迷ってるならするべきじゃない」
『うん……』
リリアナの姉と妹は初手で敵意と害意を抱いたせいでこうなったが、リリアナは最後まで俺に対してどちらも持たなかった。それがこの結果なのだし、そう簡単に今の立場は捨てるべきじゃない。
「んじゃタマモ、今からエスと一緒に2つのダンジョンを追加で連結してくる。その間、改めて彼女達に説明を頼むぞ」
『了解なのじゃ。終わったら連れて帰るのじゃ?』
「その予定だ。リリアナは姉妹と一緒に残ってて良いぞ」
『うん、分かった』
共有化した関係で、今ならこのダンジョンのコアルームに入るのに、リリアナの同行は必須じゃなくなったからな。
「んじゃエス、行くぞー」
「了解、兄さん」
◇◇◇◇◇◇◇◇
早速エスと共有化で繋がり、改めてエスのステータスを見るが……俺の知らないスキルが複数個存在していた。効果はスキル名から読み解くしかないが、この膨大な数……手当たり次第に取っているようで、どれも理に適ったスキル構成のような気もするな。
興味深いが、あまり見ない方がよさそうだ。
「知らん間に、色々増えてんな」
「出会うモンスターからスキルを確定でもらえるからね。今までなら得られぬ物と捨てて来たスキルも多いから、兄さん並にスキルが増えたんだ」
「確かに。スキルの数だけでいえば俺に追いつきそうではあったな」
もう記憶の隅に追いやったので、どんなスキルがあったかはほとんど覚えていないが。
「ガチャが無いから、その分の差はどうしても存在するけどね。何か欲しいスキルはあるかい?」
「分かってて言ってるだろ。こういうのは、自分で取ってこそだ」
「やっぱり?」
「お前こそ、俺のラインナップで共有しておきたいスキルはないのか?」
「そうだね……以前兄さんがくれた『解析の魔眼』だけど、僕も高性能版が欲しいかな。見える情報が増えるみたいだし」
「おっけ、Ⅲな。んじゃ、それと『魔眼適性Ⅲ』と、ついでに『アトラスの縮図Ⅲ』と『魔力超回復LvMAX』もオマケでつけてやるぞ」
「はは、至れり尽くせりだね。ありがと兄さん」
そんな風にのんびりと会話しつつ、俺達は世界に新たな通知を流したのだった。
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