ガチャ1145回目:山盛りリソース
煙は奴の死と共に、すぐに霧散してしまった。どうやらあのコウモリはレアⅡで打ち止めらしいな。
『ふむー。御主人、さっきの『閃撃』はもしかして無理矢理発動させたのじゃ?』
「まあそうなるな。スキルとしての『閃撃』が発動しなかったから、ステータスの力押しで『閃撃』っぽく仕上げただけだ」
『くふ。スキルシステムの恩恵もなく、そんな器用な真似ができるのは御主人くらいのものじゃ。流石なのじゃ~』
「確かにね。取得した『武技スキル』は普通にスキルで使った方がずっと楽なのに、それをあえて自前の力量だけで発動させるとなると、至難の業だ。僕で例えるなら、『風』を使わずに『魔技スキル』を発動させるようなものだよ」
「それは……聞いてるだけでしんどいな」
まあでも、俺が持ってる『武技スキル』の中では、『閃撃』が一番単純な構成をしていて、再現がしやすい技だからこそできたんだろう。最初に覚えた『紅蓮剣』なんて、不可能に近い。
見た目で言えば剣の周りに炎を纏わせるだけの話なんだけど、アレの実態はそんな生優しいものじゃない。剣には悪影響を与えず、それでいて斬撃の威力を一切殺さずに、強烈な火傷と斬撃を同時に喰らわすなんて……どう考えても無理だ。俺には仕組みも理解できんし、真似できん。
「そういやエスの『魔技スキル』はどうなんだ? 発動できないものはあるか?」
「それなんだけど、元は『幻想』の『風』から誕生したスキルだからね。全部問題なく発動できたよ」
「まあ『幻想』だもんな。そりゃそうか」
最低でも『伝説』くらいあってもおかしくないし、なんなら全部『幻想』でも不思議じゃないな。
「しっかしさっきのレア、なんか意味ありげに待ち構えていたけど、撃破しても目に見えた変化は起きてないな……」
宝箱を落とすでもなく、鍵の欠片を出すわけでもない。ドロップの素材も全て素材で、トリガーになりそうなものも何もない。100体討伐で出た訳でもないし、なんだったんだ?
「いや、そうでもないさ。ここからだとあの木が邪魔でよく見えないけど、奥に道が出現したみたいだよ。どうやら、あのモンスターを倒さないと道が開かないのかもしれないね」
「へぇ、そりゃ面白いな。こっちか?」
大木の向こう側を除いてみれば、木々の間に小道が存在していた。レアとエンカウントしてから碌にその場から動かなかったから、向こうの状況とかまるで確認できていなかったけど、エスが言うなら間違いないな。
「しかし道が開けるか……。もし道が無い状態で進んでいたらどうなっていたかとか確認してみたかったな」
「うーん。ボスが存在する特殊空間みたいに、無限ループするのかもしれないね?」
『もしくは入った場所に戻されるとかもありうるのじゃ~』
「ふむふむ。どれも面白そうだな」
流石に島の外に吐き出されて真っ逆さまなんてオチはないだろうし、次の島でも同様なら試してみようかな。
そうして俺達は森の小道を潜り抜けると、開けた場所に出た。そこから先にはもう木はなく、草原が広がっており島が途切れていた。代わりに、次の島へと続いているであろう足場が伸びている。ふと視線を横に動かせば、最初の初期島からこの島へと続く道が視界に入った。
「ん? まっすぐ進んできたつもりだったんだが……いつUターンしてきたんだ? それに、こんな道は来た時には無かったよな?」
「そうだね。感覚としては先ほどの小道を進んでる途中で、いきなり場所が変わったような気がするね。もしかしたら、ワープしたのかもしれない」
『凝った造りなのじゃ~。こんなの、リソースが有り余っておらんと出来ん所業なのじゃ~』
タマモがダンジョンボスらしい感想を述べる。確かに、こんなに序盤の段階でギミック盛りだくさんで、リソースは尽きないんだろうか。『バトルアリーナ』にも分けて欲しいところだ。
環境的にも出来上がって来たし、そろそろ複数チームによる『極大魔石』や『中魔煌石』を対象としたレイド戦だとか、本物のスタンピードを想定して、途中参戦機能とかほしいところなんだよな~。今のところ俺達の頑張りで日本の安全地帯は拡大しているが、それでも年1で増加していくダンジョンの数には対応しきれていないのだ。その内、数年もしない内にどこかしらでスタンピードが頻発してくるだろうし、日本が巻き込まれない保証はどこにもない。今のうちに強敵と戦う機会は確保しておきたいところだし、安全に戦える経験は欲しいところなんだよな……。
ソロである必要は無いけど、チーム、もしくは複数チームによるレイドで、『ステュクスリザード』程度なら倒せるくらいの集団が複数いてほしいところだ。それなら、もしこの先俺が動けない状況に陥ったとしても、耐え凌ぐ事ができるだろうし。
「……どうやら、足場の大きさや間隔は、1回目と同じみたいだね。多分奥に行けば、また途中で消えたりするだろうけど」
と、思考から戻って来たタイミングでエスが声を掛けて来た。エスもなんだかんだで俺の事分かってるからな~。
そしてタマモはいつの間にか服の中に入り込んでいた。
「なんなら次は、真ん中辺りで一定ゾーン透明になるかもしれねえぞ?」
「ありうるね。兄さん、覚える時間は必要かい?」
「もう覚えた。エスはどうだ?」
「僕も大丈夫さ。初っ端から消えても問題ないよ」
「流石。んじゃ、行こうか」
そうして俺達は足場へと飛び乗った。
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