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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第三十一章 雲海の先へ

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ガチャ1143回目:初エンカウント

「到着っと」

「やっぱり、外からでは分からないくらい、結構広くつくられてるね」

「だな」


 入口近辺から見えた感じだと、大体直径300メートル程度の規模感しかなかったのに、実際にはその数倍はありそうな気もする。島の地面には草原が広がり、奥には緑豊かな木々が生い茂っている。一見平和な空間っぽく見えるが、空が曇り空な影響か、とてもどんよりとした空気が流れていた。一言で言えば不気味である。


「タマモー、マップだと最初から大きかったか?」

『なのじゃ!』

「そっかそっか」


 さて、では最初のモンスターにお目にかかりたいところだが、草原地帯には何もいないな。

 となると……。


「兄さん」

「ああ。どんより空に相応しい奴らがいるな」

『陰湿そうな奴らがいるのじゃ』

『……』


 さて、チェックと。


*****

名前:ロッキーバット

レベル:30

腕力:210

器用:200

頑丈:70

俊敏:340

魔力:250

知力:80

運:なし


(アーツ)スキル】反響定位

★【(エクス)スキル】毒の牙


装備:なし

ドロップ:ロッキーバットの翼

魔石:小

*****


「お、弱いな」

「大した事ないみたいだね」

『所詮雑魚なのじゃー』

「兄さん、どうする?」

「どうするったって、今のお前じゃ倒したところで『運』の恩恵受けられないだろ。俺が倒すよ」

「あ、そうだった」


 エスが撃破して『運』が参照されるのは、シルヴィ経由で『運』を借り受けているからに過ぎない。今のエスは、攻撃力だけは世界最強クラスだが、それ以外はエスなのだ。任せるわけにはいかない。


「そういう事なら、シルヴィだけでも連れてきた方が良かったかな? ほら、彼女は僕が運べば良いんだし」

「まあ最悪それもありだが、結論を出すならこの階層が全部終わってからだな。この階層以降も同じトラップが続くんならシルヴィだけを呼ぼうと思う」

「そうこなくっちゃ」


 ほんとこいつは、シルヴィのことが大好きだなー。焚き付けたの俺だけど。


「んじゃタマモは――」

『このままでいいのじゃ。特等席なのじゃ!』

「そっか。まあ大人しくな」

『くふ♪』


 俺は武器庫からリヴァイアサンダガーを取り出す。いやー、武器庫も『伝説(レジェンダリー)』以上で助かった。これが機能しなかったら素手で戦うか、外で事前に出してから持ち込むしか無かったもんな。

 残念な点があるとすれば、実戦デビューの相手としては少し物足りない点だが……『バトルアリーナ』でのシミュレーションではなく本物の相手との戦闘だ。数だけはいるし、浮遊しているタイプの敵でもある。練習相手としてはそこまで悪くはないかもな!


『リィン……!』


『キィ!』

『キィキィ!』


 水を纏ったダガーを振るうと、振動が音となって伝播する。耳の良いこいつらには結構な騒音となって聞こえた様で、木々に留まっていた連中が一斉に動き始めた。

 そうして近寄ってきた連中を、斬って斬って斬りまくる。ダガーそのものの切れ味もそうだが、水を纏う事で発生している効果も侮れない物で、本来の刀身が2倍近く伸びただけでなく、触れた物をいともたやすく両断する力も秘めていた。

 そんな切れ味と共にリーチが実際の剣と同等であり、俺の意識一つで長さも調整できるから取り回しだけで言えば過去最高の武器とも言えた。

 惜しむらくは、短剣は1本しかないせいで片手が常にフリーである事だが……。まあ、こいつら相手に『二刀流』は必要ないよな。


『御主人、見事な短剣術なのじゃ! すごいのじゃ!』


 全てのコウモリを撃破し終えたところで、タマモが興奮したように尻尾をブンブンした。尻尾がお腹の辺りをモゾモゾするから、くすぐったいのでやめていただきたい。


「よいしょっ」

『ふぬ? 御主人??』


 これ以上腹を撫で回されたら辛いので、頭の上に乗せる事にした。タマモなら多少動いても落ちたりしないだろ。最初からこうしておけばよかったか。

 いやでも、足場移動の時は危ないから、その時はまた胸元に仕舞い込むか。


「さてタマモ、今俺は何体倒した?」

『ふぬ~。ざっと60体なのじゃ』

「モンスターの反応は?」

『奥の方にまだまだわんさかいるのじゃ!』

「じゃ、奥に行くか~。エスも、アイテム回収ありがとな~」

「どういたしまして」


 そうして俺達は、コウモリを蹴散らしながら奥へと進むのだった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「うーん……」

「湧かないね」


 どれだけ奥に進んで雑魚を蹴散らそうとも、レアが出てくる気配が無かった。試しに、連中が落としたロッキーバットの翼を視てみたが、特に何の変哲もない素材であり、トリガーにはなりそうになかった。

 そしてタマモはだんまりを決め込んでいるらしくさっきから何も喋らない。喋るとボロが出るとわかってるんだろうなぁ。タマモは嘘が苦手そうだし。とりあえず撫でておこう。


『クフ~♪』

「……お?」


 そのまま森の中を進んでいると、一際大きな木が生えている事に気付いた。その木からはそこそこの気配を感じるし、もしかしたら時間か、条件で湧くレアモンスターがいるのかもしれないな。

 それはともかくとして……。


「エス、あんな木あったか?」

「僕が見ていた限りでは無かったね」

「なるほど。となると、近づかないと視えない系が多いのなら、次の島に行く前に根こそぎ島は全踏破したほうが良いか……?」

「そうだね。じゃあ、アレは後回しにするかい?」

「そんなまさか。時間ならもう1度戦えるチャンスが来るかもしれないし、今やっておくよ」

「流石兄さん。貪欲だね」


 目の前の木にぶら下がっているのは、体長1メートルを超す巨大コウモリだ。周囲に子分はいなさそうだし、じっくり遊んでみるか~。


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