ガチャ1140回目:遠距離通話
ダンジョンのトラップで『遺産』以下のスキルは全て使用不可能。代わりに使えるのが『伝説』以上だけと来た。となると、1歩踏み外せば真っ逆様なこの空間で、保険用のスキルを持ってない嫁達を呼ぶのは避けたいところだな。
「うーん。タマモ、アズやリリスの飛行は、魔法関係なしに飛べるのか?」
『あの2人はバランス取ったり加速したり、色んな場面でスキルを駆使しているのじゃ。じゃから、魔法なしとなるとせいぜい滑空くらいしかできないのじゃ~』
「そうか……」
なら呼ぶわけにはいかないよなー。
「とりあえずいくつか確認したい。まずタマモ、このまま外に出て変身してから入場したらどうなるか試して来てくれ」
『はいなのじゃ!』
「エスはこの階層の情報を探っててくれ。得意だろ?」
「勿論。余す事なく確認するよ」
「んじゃ俺は電波塔設置しとくなー」
◇◇◇◇◇◇◇◇
「あー、テステス」
『もしもーし。こちらショウタ君の愛の巣だよー』
「マイハニー、そこに全員いる?」
『いるよー』
「んじゃ、ちと厄介な事になってな。ここの状況について説明したい」
アキにはスピーカーにして貰い、俺はここで起きた出来事を全て説明した。
『うわ、えげつな』
『初見殺しもいいとこね』
『高レベルダンジョンって、こんなのばかりなのー?』
『スキルが使えると踏んで飛び出したら、真っ逆様ですわ』
『ショウタさんがご無事で何よりです』
『こういうところで慎重なのが、勇者様の良い所ですよねー』
『安心してお家で待っていられますね』
『じゃあショウタは、このトラップをどうにかするまでは3人で攻略するつもりなの?』
「ああ、アズとリリスも飛翔ができないんじゃしょうがないしな」
『それなら仕方ないですね……』
『キュ~』
『ところでマスター、肝心のタマモはどこいったの?』
「あー、そういや遅いな」
流石に外に出たあと、風で転がり落ちてるほど間抜けではないはずだが……。でも今のタマモは毛玉みたいなもんだもんな……。
ちょっと見てくるか?
『御主人~!』
と、腰を上げたところでタマモの声が聞こえてきた。声の方を見ると、小狐の姿で必死に走ってきていた。
その姿は実に愛くるしいが……変身できなかったのか?
「ダメだったのか?」
『無念なのじゃ。外でなら変身できても、中に入った瞬間解けてしまうのじゃ……』
「ほう」
発動そのものを防ぐだけでなく、発動中のスキルや効果をも打ち消すのか。中々に強力な効果だな。
そしてタマモは種族が妖狐なだけあって、この姿が本来の姿であって、人間形態は変身した姿なんだよな。ずーっと人型だから忘れてた。
『そういえばわっちは、この姿が本来の姿だったのじゃ~……』
本人も忘れてたようで落ち込んでる。
タマモらしいな。
『こんな用意周到な真似ができる奴なんて、そうはいないわよ……。けど、浮島かぁ……』
アズには多少なりとも心当たりはあるみたいだが、場所的なつながりが浮かんでこないときたか。
そういや、俺このダンジョンのこと深く調べずにきたな。何番なんだ?
*****
名前:ダンジョンNo.1150
*****
おー、1150か。ちょうどど真ん中だったんだな。No.とかなーんにも考えずに突撃してきたけど、実は他の浮遊ダンジョンにはエンドナンバーとかファーストナンバーとか混じってたりするんだろうか?
皆、俺が番号のことなんて考えてないことくらい余裕で気付いていただろうし、あえて黙ってくれてたんだろうな。
『ん。ショウタがダンジョンNo.のことを考えてる気がする』
『そんな気がしますね』
『電話越しなのに不思議な感覚ですわ』
『お兄様、気配ダダ漏れだからね☆』
「……」
『あ、不服そうな感じ』
『分かりやすいわね』
『ふふ、ショウ君可愛いわ♡』
もう好きにしてくれ。
「はぁ、とにかく、進展があったらまた連絡するから、それまでのんびり待機しててくれ」
『えー? 繋いだままにしないのー?』
「集中できないからダメ」
『マスターのけちー』
「はいはい。あとでな」
『ご主人様』
アキやアズのブーイングを軽く聞き流していると、アイラが割って入った。
「ん?」
『タマモにカメラの装着をお願いしますね』
「あ、そうだな。けど小狐状態のタマモには装着が難しくないか?」
『たった今調整し終わりましたので、問題ないかと。後ほど確認をお願いします』
「流石アイラ」
喋らないなと思ったらそんなことしてたのか。
『恐縮です』
『あ、お兄ちゃん。私たちは予定通り、日本海側にできた海底ダンジョンを攻略しに行くねー』
「ああ、頼むぞ。こっちもいつまで掛かるか分からんから、クリス達もそっちに行って良いぞー」
『ん。向こうで暴れてくるね』
『じゃ、あたしも久々にカスミ達と遊ぼうかな』
『じゃあ勇者様、予備のナンバーズを人数分持って行きますね~』
「おう」
『では、ショウタ様。手が必要になればいつでも呼んでくださいね』
「ああ、勿論」
そうして電話を切った俺は、『魔法の鞄』から機器を取り出すと、腕の中でゴロゴロし続けているタマモの頭に装着させた。
『ふおぉ、恐ろしくフィットしているのじゃ!』
「流石アイラクオリティー。タマモ、その状態でも地図は開けるか?」
『やってみるのじゃー。御主人、全開放を試しても良いのじゃ?』
「ああ。けど、見る時は俺の後ろとかでしてくれな」
『承知なのじゃ!』
タマモが地面に広げた地図をぽちぽちし始めたので、俺は空に浮かんで風を感じていたエスを手招きする。それだけで、微細な動きを感じ取ったエスは、俺の隣へと降りてきた。
「どうだった?」
「そうだね。ここからじゃハッキリ見えないけど、向こうにある3つの島にはそれぞれ何かしらの生命体がいるのは間違いないね。恐らく、島に乗り込まないと見えない仕掛けなんじゃないかな」
「なるほど」
「それと一番奥の島だけど、感触的に構造物のような何かがあるみたいだ。詳細は不明だけどね」
「ほほー」
それはそれは。メチャクチャ気になるじゃないか。
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