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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第三十一章 雲海の先へ

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ガチャ1139回目:浮遊ダンジョンの洗礼

「おー……画像で見たまんまの岩だな」


 エスの力で近くに運んでもらっても、出てくる感想はそれだけだった。


「中央の本体と、それに付随するように展開されるビットのような小岩の群れ。さしずめ、土の精霊を極限まで巨大化させたみたいだね」

「あー、確かにな」


 周囲を衛星のように浮かぶ岩塊共はどいつもこいつもゴツゴツしていて、人が降り立つ事など微塵も想定していないような作りだった。

 けど、中央の岩だけは少し異なるようで、平らな場所が少なからず存在しているようだった。割合で言えば全体の数%程度しかないが、それでもあれだけの広さがあれば輸送機で降り立つ事も可能かもしれないな。


「エス、変な磁場とか出てるように思うか?」

「うーん、特に感じないかな。兄さんはどう?」

「この浮かぶ岩塊がどんなエネルギーで浮かんでるのか全く分からないが、それでも他への影響はないように思える」

「そうだね。迎撃機構とかも備え付けられてる訳じゃなさそうだし、兄さんの考えすぎだったかもね」

「だな。まあ、実際に目視してない以上は『直感』も機能しづらいし、警戒するに越したことはないさ」

「はは、全くだね」

『なんでも良いが、早く降りて欲しいのじゃー』

「「おっと、そうだった」」


 考察はほどほどに、とりあえず見かけた平らな場所へと降り立つ。空気は薄いし寒いことに変わりはないのだが、不思議と飛行時に感じていた強風はなくなっていた。まあそれも、俺達の防壁が全部防いではいてくれてたんだが。


『くふー、御主人、そこそこ♡』


 空いた手でタマモを撫で回しつつ、周囲を見渡す。十分な広さの空間に、ダンジョンの入り口と思しき、岩の下へと伸びる階段。


「あの輸送機なら、2、3台は行けそうだな」

「そうだね。兄さんは、全部で5つある空中ダンジョンの内、幾つかは他の人の手に任せるつもりなのかい?」

「俺たち以外にクリアは難しいだろうけど、スタンピードを食い止め続ける程度の間引き作業はできると思うんだよな」

「そうだね。この中はどの程度のレベルかにもよるけど、ぶっ飛んでなければ行けるんじゃないかな?」

「ただ、()()()()()()美味しそうなダンジョンは俺がもらうけどな。『ワールドマップ』を見る限り何の反応もなかったダンジョンは、低レベルそうだし、そこを回そうかなと」

「確かに。秘宝も何もないダンジョンなんて攻略の旨みは薄いし、その分難易度は下がってるか」

「そゆこと」


 さて、ここの確認は済んだし、そろそろ入るとしますかね。


「タマモ、人型に――」

『くふー♪』


 ううむ、反応がない。撫ですぎてへそ天からの完全服従モードだ。まあ良いか、しばらくはこのままで居させてやろう。


「んじゃ行くか」

「うん」


 そうして俺達はダンジョンへと潜っていった。



◇◇◇◇◇◇◇◇



「おー……中もだいぶカオスだな」

「コレはなかなか、難易度が高そうだね」


 そこは『696ダンジョン』の第四層でお馴染みの浮島を主体としたステージだった。だが向こうと違うのは、空は曇天としており、浮島の下も真っ暗だった。幸い、ダンジョンによる補正か陽の光がなくとも遠くまでハッキリとは視えるのだが……浮島もまた問題を抱えていた。

 移動する為の足場は地続きではなく、飛び石のように点在する浮遊する足場を経由して、主要とする島々へと移動する必要がありそうだった。足場は真っ直ぐ一列に伸びているとかでもなく、時折蛇行しながら次の島に伸びていた。そして何人も同時に通れるように、横並びに3つだったり4つだったり足場が並んでいたりもするが、その全てが不均等で、サイズも配置もバラバラだ。

 そして一歩でも踏み外せば、真っ暗な空間へと真っ逆さま。油断すれば即、死に繋がる超危険なアスレチックのようだ。

 今俺たちがいる島を含めて、主要な島は見える範囲で4つ。その島々を浮遊する足場が繋いでいるが、その距離は目算で300メートルくらいはある気がする。高所恐怖症なら一歩も動けずに終わってたな。まあ俺達には魔法があるんだが……嫌な予感と同時に変な違和感を感じる。


「なあエス」

「なんだい兄さん」

「このダンジョン、全階層でこうなってると思うか?」

「どうだろうね。他の階層はちゃんとした地面があることを祈るよ」

「……どうする? こんな危ないとこだと、嫁達を呼ぶのも憚られるぞ?」

「そうだよね……もういっその事、僕達だけで攻略しちゃうかい?」

「それもワンチャンありだよなー……」


 しかし、ここで2人だけで悩んでいても仕方がない。一旦はタマモを起こして考えるか。


「おーいタマモ、そろそろ起きろ」

『クゥ?』


 ああ、ヘヴン状態が効きすぎて退化しちゃった。


「人の姿に戻ってくれるか?」

『仕方ないのじゃ~。……むん?』


 地面に降りたタマモは、何か違和感を持ったのかキョトンとしている。そのまま自分の身体を確認するようにくるくると回転し出した。

 まるで自分の尻尾が気になって気になって回り続ける小動物のようで可愛い。


『お、おかしいのじゃ!? スキルが使えぬのじゃ!』

「何だって?」


 エスに目配せすると頷き返してくる。互いにスキルを確認しようとするが……。


「『アトラスの縮図』は起動するぞ?」

「『風』も問題ないね」

『な、なんでなのじゃ~!?』


 んー? ヘヴン状態が抜け切らずにスキルが行使できない可能性はないでもないが……元とはいえNo.001のボスだ。そんなヘマはすまい。多分。

 だから現状考えられる可能性でいえば……。


「タマモ、その変身は『妖狐魔法』のスキルだよな? 品格はなんだっけ?」

『『遺産(レガシー)』なのじゃ!』

「なるほど」


 となれば……ふむ。


「品格が『高位伝説(ハイ・レジェンダリー)』の『エレメンタルマスター』も発動するな。『神速』も問題ない。そして『空間魔法』は……発動しない。って事はこのフィールド、『伝説(レジェンダリー)』未満のスキルに対して、スキル封じの呪いか何かが展開されてるのか」

「へぇ。それは厄介だね」

『と、とんでもないのじゃー!』


 初っ端からコレか。

 中々面白いことしてくれるじゃないか。

 

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