ガチャ1108回目:検証すべきか否か
俺は得られたスキルと、それにより何が増えたのかを彼女達に説明した。
「新しいレアリティですか!」
「黒に金箔とか、豪華な感じがして良いわね~」
「ん。中身も別格だった」
「一部のモンスター限定スキルだった『限界突破』ですか……。今までもこのスキル持ちは何が変わったのかよくわかりませんでしたが、これで検証できると良いですね」
「それに『スキルガード』も素晴らしいですわ。きっと、あの者のスキルに対抗するために、ガチャから選出されたに違いありませんわ」
『効果が分かりやすく強い分、デメリットが無いのかも気になりますね。マスター様が検証するべきか悩む理由がよく分かります』
『使い捨てならアイテムとして出るはずですし、1回キリとは思えないですねー』
『んふ。それにしても20連したとはいえ、1回のガチャで全ステータス+5200されるとか、マスター強すぎ♪』
『キュー。キュキュー!』
ガチャの結果に皆が喜びを見せるが、やっぱり問題は『スキルガード』の詳細な性能だよな。ガチャから出て来たスキルオーブは『鑑定』系が機能しないし、直接ドロップするモンスターは当然として、リアルにこのスキルの情報は誰も持っていない訳だ。確かめるには自ら検証するしかない訳で……。
そういや、所持スキルに応じてオーラの色が変わるスキルがあったな。そこから何か情報が得られないか確かめてみるか。
「アズ、キュビラ。2人の『覇色の魔眼』で俺を視た時、何か変化は有るか?」
『んー? ちょっと待ってねー』
『少々お待ちください』
2人がじっと俺を見つめて、まずアズが首を傾げた。
『マスターからは複数の『幻想』スキル持ちの反応はあるけど、いつからこうなのかは分からないわ。あんまりこのスキル、同じ対象に連続で使う事はなかったし』
「まあ、情報更新に使う事は滅多に無さそうだよな、普通は」
俺は頻繁にスキルを獲得する分、更新頻度は高いが、普通はスキルなんて滅多に増えないからな。今の日本だとそう珍しい事でもなくなったが、それでも高品格のスキルなんかは前とそんなに変わってないはずだ。
だからこそ先程のスキル獲得で、『覇色の魔眼』を通す事でオーラが虹色に見える『幻想』スキルが増えているかどうかが分かれば、色々と推測も捗るかと思ったのだが……。
「キュビラはどうだ?」
『はい。マスター様から発せられる虹色のオーラの総量が、以前よりも増しているように思えます』
「そうなの? ちなみに以前ってのは、どのくらいのタイミングでの話?」
『ええと、結婚式や、子供たちがお生まれになられた際に何度か見させていただきました……』
子供が生まれたのなんて、つい10日ほど前のことじゃん。
なんでそんなに頻繁にソレで俺を視ているのか気にならない事もないけど、今は重要じゃないな。
「で、『幻想』スキルの反応が増えていたってことで良いのか?」
『はい。ただ、マスター様が所持されている『幻想』スキルは普通に考えてもかなりの数がありますから、見間違えかもしれません……』
「ふむふむ」
まあ、このダンジョンにいる間に取得した中に、『幻想』に近しい『高位伝説』のスキルをゲットしてたしな。『根源の矢』とか。
自前で開発したスキルがその域に達せられるのなら、その内『幻想』枠の『武技スキル』も開発できたりして。……それは流石にぶっ飛び過ぎかな。
「じゃあ仮に『スキルガード』が『幻想』枠だったとしてだ。この品格なら効果も信用できるし、再使用までのリキャストもそう長くは無いと思いたいところだが……。問題はリキャストが3日以上だった場合だな」
「何が問題なのでしょう?」
「まず、俺の予想だが皆が警戒していた例の犯罪者だが……居るとすれば恐らく外で待ち構えていると思う。そいつは俺が『幻想ダンジョン』や『悪魔のダンジョン』を攻略した時の情報も知っているはずだ。クリア通知が世界に流れてから数時間後に、俺がダンジョンの外に出てくるという分かりやすい行動予測がな」
「かの者がダンジョンに一向に入ってこない理由は、外で待ち構えていると予想されているからなんですねー」
まあ、そもそもそれが杞憂であって最初からそいつはこの付近にいない可能性もあるんだが……。俺も、あの視線からはかなりの危険性を感じたからな。今では未来のためにも、完全に芽を摘む必要があるくらいには認識してるし、むしろ来て欲しいと思ってるくらいだ。
「では、今から協会へ連絡して、クリア通知を流した後に不審者が出ないか周囲を見張らせますか?」
「いや、その必要は無い。そいつは大犯罪者なんだろ? なら、シェイプシフターがドロップしたキャンディみたく、姿形を自在に変貌させるアイテムを大量に保持していても不思議じゃないし、その手の警戒には敏感なはずだ。外はいつも通りの空気感であるべきだろう。そいつに関しては俺がやる必要があると思ってるし、俺を狙ってもらう必要がある。その為には、そいつに先手を譲りたいとも思ってる」
「「「「「『『『!!』』』」」」」」
『キュ~?』
全員に緊張した空気が流れるが、すぐに弛緩した。それもそのはず。今回手にしたスキルは、それを可能とするスキルのはずだからだ。
『マスターが先手を譲るのは、相手を特定する為ね?』
「そういうこと。あといくら悪逆非道な相手だろうと、なにもされてないのにいきなり一方的にボコボコにするのは、醜聞がよろしくないしな。だからまずは相手に先攻を譲って、スキルを受ける必要があるんだ」
『それで、先に検証する事の何が問題なの?』
「このダンジョンの安全については、コアルームに行って通知なしの無力化をしてしまえば問題はないんだが、あまり時間を掛け過ぎるとそいつがこの街から離れる可能性があるだろ。そしたら、今後遠征する際、いつそいつと遭遇するか分からないストレスに晒される事になる。そんなん、攻略に集中出来る訳ない」
「ん。その手のストレスは身に覚えがある。あまり気分も良くない」
「早めにケリを付けたいところですよねー」
「それでショウタはどうするの?」
「う~ん……」
機会を失う事の面倒くささを皆に説明をしたが、それでもやっぱり皆の安全が第一にすべきだよな。
今のはある意味、みすみす見逃してしまった場合の言い訳をしていたようなものだ。
「……やっぱり検証はしよう。皆、手伝ってくれるか?」
「「『OK』」」
「「「『『はいっ』』」」」
『キュ~!』
リキャストが長かったら、その時はその時だ。
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!











