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レベルガチャ~ハズレステータス『運』が結局一番重要だった件~【コミカライズ第3巻 4/15に発売決定!】  作者: 皇 雪火
第二十九章 深海ダンジョン 後編

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ガチャ1103回目:主従パス

「……お?」


 景色がガラリと変わった。無機質なドーム状の空間から、明るく広々とした世界に。だがまあ、ダンジョン以外でこのような空間など存在はしないだろう。

 足元には余すところなく水が張ってあり、後方と左右には流れが存在しない水の壁。恐らくアレはこのフィールドの壁としての役割の他に、ボス部屋特有のループ機能が組み込まれていそうだ。……いや、もしくは本当にただの壁の可能性もあるか?

 そちらも気にはなるが、やはり何よりも不安にさせるのがこの足元だろう。水のダンジョンなのだし、足場が水没しているのはまだ良い。だが、足場であるはずの地面そのものが、視認できない透明度を持っているというのが恐怖感を煽って来る。これでは、この先も本当に地面が続いているのかも分からないし、水上歩行ができない者は前に進むことすら困難だろう。


「クリス。感知できる範囲内に……クリス?」


 なんか、珍しく落ち着かない様子でキョロキョロしている。


「あっ、はい。失礼しましたわ」

「どうしたんだ?」

「えっと、その……。『水』を手に入れた時も、このようなフィールドに辿り着いたのですわ」

「ほぉ」


 ということは、ボスフィールドに呼ばれたのか。そういやエスも第五層で『風』を手に入れたんだったか。そういう意味では、ボスが出る階層orボスが出る特殊フィールドで四属性が土水炎風が手に入ると見るべきか。今度フリッツにも聞いてみるかな。


「それはそれとして、この階層の地面に落とし穴や段差は存在するか?」

「……残念ながらありますわ。ここら一帯には無いようですが、かなり奥の方にショウタ様が仰ったような初見殺しゾーンが存在しています」

「どのくらいの距離がある?」

「300メートルほど先ですわね」

「じゃ、そこがボスが出てくる辺りとみて間違いないか」


 ただ、道中に何もないと確定した訳じゃないし、気を引き締めていくべきだな。

 そう思い、引き続きこのフロアの特性を探ろうと周囲を観察したり感知を飛ばしたりしていると、ルミナスがそわそわしているのが目についた。


「ん?」

『キュ~? キュキュ? キュキュ~??』


 多分さっきみたいに転がりたくてたまらないんだろう。あの広間は危険が無いと分かったから皆気を抜いていたし、ルミナスはその空気感を察知して自由気ままにしていたんだろうが、今は皆適度に緊張感を持っているからな。空気が読めるんだか読めないんだかよく分からんが、危険かどうかはある程度判断できるのかもしれないな。


「ルミナス、ここは一応危険地帯だから、無暗に動き回っちゃだめだぞ」

『キュ!』


 お、素直だな~。


『マスター。ルミナスは空気を読んでるというより、マスターがピリピリしてるのが分かってるから、動かないだけよ~』

「そうなのか?」

『ペットである私達は、マスター様のそういった感情がダイレクトに伝わって来るんです♡』

『はいです!』


 知らんかった。


「それってさ、どんなに離れてても伝わるもんなのか?」

『どうなのかしら? あたしはペットになってからずっと、マスターの近くにいるからわかんないわ』

『私もですね』

『わたしもですー』

『キュ?』


 ダンジョン探索に出ていない時は、買い物に行くときに多少離れるくらいはあるけど、言うほど距離がある訳でもないし、旅行に行って何人かとデートの為に離れたとしても、基本的に同じ街にいるからそう距離が開く事もない。思えば、彼女達は『テイム』してからずっと俺の傍から離れる事はなかったな。

 まあダンジョンは地上とは地続きだけど『コアルーム』は位相が違う気がするから、離れる事があったとしてもあれくらいのものか。


『今度タマモに聞いてみれば良いんじゃない?』

「そうするか。つっても、タマモも今ではサクヤさんのペットではあるんだけど。……なあ、その感情ってどの程度伝わるんだ?」

『簡単に言うと、喜怒哀楽がふんわりと伝わってくる感じですね』

『距離が近ければ近いほどに強く届く気がしますっ』

「ほーん。……じゃあ、ムラつきも?」

『『『♡』』』


 そうなのか。


「じゃあ、仮に距離減衰が無かったとすると、アズの喜怒哀楽どころかムラつきまで、ベリアル達に伝わるって事だよな」

『!?』


 考えもしていなかったんだろう。アズは衝撃を受けていた。あまりの衝撃にしばらく声が出ないくらいに。キュビラとリリスも、あの3人の主人が誰だったのかを思い出し、何とも言えない表情をしていた。

 それは周囲を調べながらも俺達の会話に耳をそばだてていた他の嫁達も同様だった。皆、一様に憐れみの目でアズを見ている。


『帰ったらアイツらをぶっ飛ばすわ……!』

「かわいそうに」


 謂れのない罪で殴られるなんてな。

 そして『テイム』の主従関係の間に通る感情のパスに距離減衰が仮に働いていたとしても、多分殴られるんだろう。理不尽である。


『あいつら、ずっとあのダンジョンに閉じ込めておくべきかしら』

「それはやめたげて」

『むぅ……』

『ではお姫様に、感情ブロック用の何かを作って頂くのはどうでしょう』

『お、それ良いわね。採用!』


 またタマモの知らない所で負担がとんでもない事に。その一端は俺にもある訳だし、帰ったら労わってやるか。

 そんな会話をしつつも俺は弓を使って壁に打ち込み、どんな反応をするのか試したりしていた。まあ、結果は最初の想像通り、左に打ち込んだ矢は右から現れて無限にループし始めたので、手で掴んでキャンセルさせたが。


「ん。ショウタ、面白いことしてる」

「ここでしかできない遊びだな」

「あたしもやりたいわ!」

「ん。ボス戦終わったら、今ので遊んでて良い?」

「勿論いいぞー」


 ああ、こういう面白要素もうちの『バトルアリーナ』に欲しいところだよなぁ。ちなみに他にもいろいろと試したが、全部空振りに終わったので俺達は先に進む事にした。

 奥へと進んでいくと、果てに巨大な生物が鎮座しているのが視えてくる。あれがボスで間違いなさそうだな。

今年1年も、書籍・コミカライズ合わせて、レベルガチャをよろしくお願い申し上げます。

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