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ガチャ1040回目:スキル配り

 撃破した『ソードフィッシュ』4体の煙はその場で新たな煙を生成した。まあ、こんなに狩りやすい連中がただのレアだけで終わるわけないよな。

 ただ、やっぱりすぐには出てこないみたいなので待ち時間が発生していた。そういや、さっきは普通のレアですら湧くのに待ち時間が存在していたな。普通はそんなのなく即座に出現するか、特定のポイントに移動しての出現がデフォだと思ってたのに……。

 もしかして、このフィールドの特性上、大量の雑魚に囲まれる事になるから、その温情で数分のタイムラグが存在したのか? はたまたその逆で、煙を知らない連中を罠に嵌めるために、不意打ちさせるために時差を作ったのか?

 今までのダンジョンの作りからして、どちらもあり得てしまうのが困りどころだよな。ま、見えてる俺には関係ないか。


『キュ、キュ』

「お、そうだな。じゃあ皆も興味があるなら、ルミナスに餌やりして良いぞー」


 俺は満足したしな。


「あ、あたしやってみたい!」

「私もやってみたいですー」

「では順番にあげていきましょうか」

『キュ~』


 そうして嫁達とルミナスが戯れあっている様子を眺める事数分。煙が膨張を開始し、4つの煙から新たなモンスターが誕生した。


「おぉー?」


 ニードル、ソードと来て何が来るかと思ったら、カジキみたいなのが出てきたな。


*****

名前:ブレードフィッシュ

レベル:180

腕力:1800

器用:1200

頑丈:1600

俊敏:2000

魔力:1200

知力:500

運:なし


(ブースト)スキル】剛力Ⅳ、怪力Ⅳ、阿修羅Ⅲ、俊足Ⅳ、迅速Ⅳ、瞬迅Ⅲ

(パッシブ)スキル】身体強化LvMAX、剣術LvMAX、水泳LvMAX

(アーツ)スキル】チャージアタックⅤ

(マジック)スキル】濁流操作Lv5


装備:なし

ドロップ:ブレードフィッシュの赤身肉、ブレードフィッシュの刃

魔石:極大

*****


 うん、赤身肉って時点で完全にカジキだわコレ。


『『『『……!!』』』』


 『ブレードフィッシュ』はニードル・ソードと同様にコチラを見つけ次第突っ込んできた。


「……っとぉ!」


 そのステータスとスキルを十全に活かしたスピードは、今まで以上の速度であったものの、知覚できない程ではなかった。なので同様に掴んで止める事に成功した。

 ただまあ、素手で掴むのは流石にダメージが入りそうな気がしたので、『魔導の御手』を使ったが。こっちもちょうど4本出せる状態で助かった。


『『『『……!!!』』』』


 ビチビチと元気に動いてるけど、頭を押さえられて逃げ出す事はできないようだ。てかこいつら、真っ直ぐ直進でしか動けないのかね。


『んふ。普通の人間なら、貫かれて終わりよマスター♪』

「ん。一般的な銃弾よりも速かった」

「それをあっさり捕まえちゃうあたり、流石よねー」

「しかも、自分の手ではなくスキルで動かす仮想の手ですからねー」

「タイムラグもあるはずですが、完璧なキャッチでしたわ」

「ショウタ様、これは食べさせてみますか?」

『キュー?』

「んー……」


 いくらルミナスが巨体だからといって、このカジキの方が長いしデカい。流石に丸呑みは不可能だし、齧り付くにしても……。


「ルミナスの歯って、噛みちぎるための用途のもの、無かったよな?」

『キュー……』


 困り顔をするルミナスの口をツンツンつつくと、恥ずかし気に口を開けた。

 ……うん、犬歯しか無いな、歯。嚙み千切ったり、そういうのには使えなさそうだ。その辺は普通のアザラシと一緒か。


「じゃあこいつは普通に倒しちゃおうか」

『キュ!』


 まずはレベルをスキルに還元してアズに放り投げる。

 続けて『魔導の御手』の位置や向きを揃えて、大剣でぶった斬る。特に技を発動させる必要もなく、『ブレードフィッシュ』はあっさりと煙に変わるのだった。


【レベルアップ】

【レベルが120から244に上昇しました】


 よしおっけー。

 そんじゃ、レアⅢは……出るっぽいな。煙が集まり、消える気配はない。問題があるとすれば4体でも問題なく湧くかどうかだな。今までの傾向からして、1体で次に移行しない場合の最低値は2体同時で、最大は4体だったはず。だから条件は満たしてるはずなんだが……どうなるかな。

 とりあえず、レベルはスキルに変えておこう。


『キュー? キュキュ、キュキュキューキュキュ?』

「ん?」


 なんて?

 何かを不思議がってるのは分かったが、またしても情報量が多すぎて理解ができなかった。


『んふふー。マスターはね、上位のモンスターを自在に呼び出せるのよ』


 それはちょっと語弊がないか?

 二度目以降ならまだしも、初見は手探りだぞ。


『キュー!? キュキュー!』

『ふふ。そんな人間初めて見たって言ってるわ』

「そりゃそうだろうよ」

『それからマスター、今作ってくれた『解析の魔眼』のスキルで、合計11個目。つまり、最初の4個を除いてこの場にいる7人分のスキルを用意出来たことになるわ』

「お、そうなのか。じゃあ皆、覚えてみるか?」

「ん! 前々から興味あった」

「早い段階から慣れておいた方が良さそうですね」

『キュ~?』

「ルミナスは危ないからお預けな」

『キュ!』


 そうして皆が取得したところで、スキルの注意点を伝えていく。


「まず、このスキルを使用すると世界に内包されている魔力が数字で視えるようになる。慣れればその数字がどういう種類の魔力か理解できるんだが、最初はパニック間違いなしだ。だから、最初は世界全体を見たりせずに、地面を見ながらスキルを使って慣らすようにな」

「勇者様は、このスキルを覚えたときはどのように使ったんですか?」

「あーっと……『キメラ』戦だったか?」

「ん。永久回復する『キメラ』の正体を見破る為に頑張ってた」


 懐かしいなぁ『キメラ』。あのときは苦労したもんだが、今やればどうなるかな。

 まあでも、アイツには多分グングニルや手持ちの『武技スキル』なんかの大技でも倒すことはできないだろうから、結局何度も殺しきらなきゃならなさそうなんだよな。

 そうして懐かしんでいる間、ミスティが代わりにその時の事を説明してくれたのだった。

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