ガチャ1038回目:海流の外側へ
ルミナスはしっかり残り2枚のメダルと一緒に通行証を吐き出してくれた。
この通行証がもしも1個につき1人までしか対応していないとかいう面倒仕様だった場合は、我が家にある『マジックバッグ』を経由した通行証の使い回し戦法を使わざるをえないんだよなぁ。
それはちょっと面倒というのが1点。そして育児をしているアイラ達に手間を掛けてしまうから避けたいのが1点だ。
『キュキュ。キュキュー』
『先に行ってるそうよ』
「おう」
ルミナスは尻尾で水を蹴って上空へと飛び上がると、勢いよく入水してその速度のまま海流へと飛び込んだ。そのまま海流の奥へとスイスイ突き進んでいく。
流石は『海流の王』。自身の能力と入水の勢いを利用して一気に突破していったな。
「そんじゃ、改めて俺達も行こうか」
氷と岩の足場を片付け、俺達は海へとダイブ。そのまま海流の前へとやってきた。
「とりあえず……これで良いのかな?」
『ボコッ!』
『海流の通行証』を掲げると、十数メートルほど離れた場所の地面が突然陥没し、中から空気の泡がぶくぶくと漏れ出た。
なんだなんだと近寄ってみれば、そこには小さな空洞が開いており、視界を飛ばしてみれば海流の外側にある別の空洞へと繋がっているようだった。
「どうやって通らせるのかと思ったが、そう来たか」
「ん。面白い」
「でも合理的ね」
「これも海流がシステムに登録されてから追加されたのでしょうか?」
「まだまだダンジョンは分からないことだらけですねー」
「ま、基本的に融通が効くように設計されてるんだろ」
「ふふ。ショウタ様の知見を世界に公開したら、学者達はひっくり返りますね」
まあでも俺の考え方は別にマイノリティって訳じゃなくて、実際にはそういう発想に至ってる人はそれなりの数はいそうなんだよな。けど、実行に移したり調べられるだけの実力がなかったり、結果を掴むための『運』が足りなかったりするんだろう。
だから俺の名で、このダンジョンの法則やら攻略の仕方やらを発表すれば、俺とその身内が攻略をし続けるよりも、もっと数百倍もの速度でダンジョンの解明が進むんだろうけど……。それじゃあ俺の楽しみは奪われてしまう。
だから、限界まで遊ばせてもらおう。俺の冒険心が尽きるまで。
「とりあえず、俺が先に通ってみる。問題なさそうなら合図を送るから1人ずつ来てくれ」
そうして出現した空洞を通って海流の外側へと辿り着くと、そこは内側とはまた違う景色が広がっていた。内側は珊瑚礁で深いところでも6、7メートル程度の浅い空間だったが、こっちは見るからに深い。
中央の島から離れれば離れるほどに水深が深くなっていくようだな。深い所は目算で、15メートルほどといったところか。そんな深いエリアが用意されているという事は、それが必要になるほどの巨体モンスターが現れるということだろう。
あのカメや『クラーケン』も十分デカいモンスターだと思うんだがなぁ。
『キュー♪』
ルミナスは俺を見つけると、甘えたいのか頭をぐりぐりとしてくる。可愛いんだが、いかんせんでか過ぎて押し潰されそうになるな。
「あっと、そうだ合図合図」
俺は空洞に向けて、視界を飛ばすのと同時に顔に纏っていたバブルアーマーを伸ばした。海底での会話は、バブルアーマーを使用していても距離が空くと途端に届かなくなる。けれど離れた仲間に言葉を届けるにはどうすれば良いか。
そう考えた末に、顔に纏っているバブルアーマーを仲間の元にまで伸ばせば声が届くのではと思ったのでやってみたのだ。ぶっつけ本番ではあるんだが、成功しなくても得られるものはあるし、やるだけやってみようと思ったのだ。
まあ、結果として成功したんだが。
「というわけで、問題なさそうだからこっちに来てくれ」
「「「「「『『『はーい』』』」」」」」
アーマーを通じて嫁達の声が届く。飛ばした視界から見える彼女達の口の動きからしても、タイムラグはなさそうだな。
『キュー?』
「ルミナスは、俺たちがくる前の食事はどうしてたんだ?」
『キュ、キュキュ、キュキュキュー』
身振り手振りと、ふわっとした感情でなんとなく言いたいことが伝わってくる。
「ふーむ。外側にいたモンスターや棲みついてた魚類を時折食ってた。で、合ってるか?」
『キュ!』
「そうなのか。同じ食べ物ばっかりだと飽きてきそうなもんだけど、大丈夫だったか?」
『キュー?』
飽きるって何? みたいな感情が伝わってきた。
まあでもそうか。味覚は少なからずあるだろうけど、基本は腹が減ったから食べるとか本能的なものであって、食べること自体にそれ以上の楽しみを見出したりはしてないか。
でもせっかくうちの家族になるんだから、食事は楽しくしてほしいところではあるんだよな~。……そういやイリスも、スライムなのに味覚がしっかり備わってるのって、『悪食』を覚えたからとかじゃないよな?
……可能性ありそうだな。後でスキルをチェックし直してみるか。
「……お」
などと考えつつルミナスを撫でていると、少し先を細長い魚影が横切った。見た事のある形状の魚だなと思ってたら、どうやら雑魚モンスターらしい。あれがルミナスの主食か~。
*****
名前:ニードルフィッシュ
レベル:55
腕力:400
器用:350
頑丈:150
俊敏:450
魔力:50
知力:50
運:なし
【Bスキル】俊足、迅速
【Pスキル】水泳Lv4
【Aスキル】チャージアタックⅡ
装備:なし
ドロップ:ニードルフィッシュの切り身
魔石:中
*****
その姿はダツみたいな細長い直線状の魚型モンスターで、見たことあるなと感じた理由はこいつのレアモンスターを『1097ダンジョン』のスタンピードで見たからだった。確か名前は『ソードフィッシュ』だったかな?
こいつのレアもそれが出るんだろうか?
読者の皆様へ
この作品が、面白かった!続きが気になる!と思っていただけた方は、
ブックマーク登録や、下にある☆☆☆☆☆を★★★★★へと評価して下さると励みになります。
よろしくお願いします!










