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ガチャ1037回目:通行証

「で、アズ。ルミナスとは話はついたんだっけ?」

『ええ。何から知りたい?』

「じゃあそうだな……。何となく察しはついてるけど、海流を作ってひたすら泳ぎ続けてた理由を聞こうかな」


 心優しいルミナスの事だ。きっと、外側にいるモンスター連中が危ないから人間が近付かないように、水の結界を張ったんだろう。そんな水流をものともしないようなレベルの人間でなければ、海流の外を悠々と泳ぐレアには太刀打ちできないと判断して。


『マスターの考えてる通りよ。この子、このダンジョンに組み込まれてから、ほとんどの時間を泳ぎ続けていたみたい』

『キュ~!』

「そうなのか。やっぱりお前は良い子なんだな~」

『キュ~♪』


 頭をなでてやるとルミナスは嬉しそうに目を細めた。滅茶苦茶デカいけど、やっぱり可愛いなコイツは。

 ちなみにルミナスが離れた今も、海流は変わらずに流れ続けている。このダンジョンが発生した当初はこの階層に海流は存在しなかったそうなのだが、ルミナス曰くいつの間にか海流の発生を意識しなくても海流が定着していたらしい。恐らく、ルミナスが発生させ続けた結果環境が変わり、海流そのものがダンジョンギミックとして登録されたんだろうな。環境の書き換えは俺もやった事はあるが、維持し続ける事でそれが()()()()としてダンジョンに認識される事もあるんだな。思えば、環境の書き換えは久しくしてないよなぁ。また機会があれば試してみたいところだ。


『それとねマスター。あの海流だけど、ルミナスも想定していなかった効果があったらしいのよ』

「それってどんな?」

『ほら、このダンジョンって階層型スタンピードじゃない? けど、この階層ではあまり狩りはされてないでしょ。特に海流の外側』

「ああ、確かに。……もしかして」

『そゆことね♪』


 クリオネは第二層から第四層までの通り道にも存在しているからそれなりに討伐はされてるけど、それだけじゃ階層スタンピードを抑えることはできない。

 『696ダンジョン』の第三層では、地下洞窟エリアそのものが解放されていなかったからスタンピードの対象外になっていたけど、こっちは全部が繋がっている海エリアだ。クリオネだけ倒していても、外側の連中の増加はしっかり発生し続ける事になる。

 ルミナスの海流結界は、外側のモンスターが溢れた時の間引き機能としても活躍していたという事か。


『キュ~』

「おまえは本当に優秀だな~」

『キュ~♪』


 直接的に救うだけじゃなく、間接的にも救っていたとは。

 まあ、海流の外側に流されてしまった不運な連中もいただろうが、この海流が無ければもっと多くの犠牲が発生していただろうし、そもそも目視可能で見るからに危険な、露骨に罠っぽさ全開の分かりやすい海流に流される奴が悪い。こんなのあったら、普通は近付こうとは思わんだろ。

 という訳で、この件に関してルミナスは無罪で良いだろう。てかまあ、ルミナスが海流を発生させていたことは言わなきゃバレないだろうが……黙っているよりも公開しておいた方がルミナスのためにもなるか? まあその辺は嫁達に任せよう。


「で、肝心の話なんだが、ルミナスがメダルの指し示す先だった理由は分かったのか?」

『それがね、ちょっとよくわからなかったのよ。ルミナス自身心当たりがないみたいなの』

「そうなのか?」

『キュ~』

『ただ、メダルそのものに心惹かれるみたいよ。だからさっき、分かりやすく手に持っていたあたし目掛けて突っ込んで来たのよ』

「ああ、なるほど」


 てっきり人間が集団でいたからとか、もしくはアズと顔見知りだとかで突っ込んで来たのだとばかり思ったが、メダルに釣られたのか。


「で、ルミナスはこのメダルをどうしたいんだ?」

『キュ? キュキュ。キュキュ~』


 手をパタパタさせて口を開けて見せた。と言っても、顔の割に口が小さいのでそんなに大きくは開かなかったが。


『食べてみたいって言ってるわよ』

「みたいだな。ほれ」


 メダルを指で軽く弾いて口の中に放り込んだ。

 普通なら迷うかもしれないが、俺らにとってはメダルなんて、やろうと思えばいくらでも取れるからな。


『キュ~♪』


 ルミナスはメダルを飲み込むと、しばらくしてから光の球を吐き出した。なんだこれ?


『キュ? キュキュ! キュキュ~!』

『何か出てきたって言ってるわ』

「本人も分かってないのか」


 光の球は岩の足場の上をコロコロと転がり、俺の足にぶつかると動きを止めた。そして皆でしばらく見守っていると光が薄まって行き、その姿が露わになって行く。

 透明な……オーブか?


 名前:海流の通行証

 品格:≪遺産≫レガシー

 種類:アイテム

 説明:ルミナスシールに認められた証。これを持って海流に近付くと、道が開ける。


『キュ~……けぽっ』


 ルミナスは突然むせて、先程のみ込んだメダルを吐き出した。メダルは返却されるのか。となると、別の使い道があるということになるんだが、メダルの示す先がルミナスになってるんじゃあな。


「……お?」


 先ほどまでルミナスを指し示していた光の線は、明らかに別の方向へと向かっていた。情報が更新されたのか?


 名前:メダル【クリオネ】

 品格:≪最高≫エピック

 種類:トリガーアイテム

 説明:グラスノーチラスを討伐した証。

 ★しかるべき場所に奉納することで道が開ける。

 ★海流の王の力が宿っている。


 あ、説明文が追加されてる。


「ってことは他の2枚のメダルは……」


 こっちは相変わらずルミナスを指している。ということは、1度ルミナスを介さないと別の用途に使えないという事か。


「ルミナス、悪いけどこっちの2枚も1回飲み込んでくれるか?」

『キュ? キュキュ~』

『良いけど、ちゃんとした食べれるものも欲しいって言ってるわ』

「おう、あとで食わしてやるからな」

『キュ~!』


 ところでルミナスって、何を主食にするんだ? ……やっぱり、魚かな?

 ルミナスのサイズなら、大きめの魚くらい余裕で丸呑みしそうだよな。

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