ガチャ1019回目:カエルの集団
『ゲコッ』
「よっ」
『ゲコッ』
「ほっ」
『『ゲココッ』』
「よい、しょー」
と、そんな感じで次々と現れるカエルを煙に変えながら、洞窟のマップ埋めを進めていく。道中には、クリスの情報通り他の冒険者達の姿があり、彼らはしっかりと装備を身に付けて戦っていた。流石にこの空間で水着を着てる奴らは居ないみたいだな。
それにしても、水中通路を抜けた先はモンスターの姿はなく安全圏っぽい感じだったのに、わざわざ奥に入って狩りをするって事は……何か、俺の知らない法則があるみたいだな。例えば――
「クリス、カエルが敵対する条件に討伐数と経過時間があるって話だったが、あれってもしかして、トドメを刺した人間だけか?」
「はいっ、その通りですわ!」
どうやら正解を引き当てたらしい。満面の笑みが返ってきた。
「んで、カエルはしばらく経てばまた恨みを忘れてこっちを無視するようになるんだな?」
「その通りですわ」
でなきゃ、定期的な狩りなんてできるわけがない。
『ゲコッ』
「よっと」
『ゲコッ!』
『ゲコゲコ!』
「お?」
そんな話をしていたら、周囲のカエル共が俺を目掛けて突撃してきた。今ので80体目だったんだが、中途半端な数字で襲ってくるんだな。
「ふんっ」
纏まってきた4体を蹴散らし、周囲を確認するが、少し先にいたカエル連中は無反応だった。明らかにこちらに視線を向けてる奴もいるんだが、感知できてないってことは目が悪いのかな?
「クリスー。恨みを忘れるのは何日くらいかかるんだ?」
「最短12時間で、最長は72時間ほどですわ」
「ほうほう。80に到達する前に12時間経過したら、また79体は倒せるって計算か?」
「仰る通りですわ」
「なるー」
それで4、5人くらいでチームを組んで動いている冒険者達が多いんだな。けど、このカエルを倒したところで旨みが無さすぎる気がするんだがなー。スキルは『チャージアタック』だけだし、ドロップも肉と『小魔石』だけだもんな。
「……もしかして、肉は結構需要があったりする?」
「はい。この国全体に広まるぐらいには人気がありますわ」
「なるほど」
カエル肉は鶏肉みたいな感じだと言われてるし、それが第二層という低い階層で簡単に獲得できるとなれば、代用食品として人気が出るのも頷けるな。問題があるとすれば恨みシステムのおかげで、安全に狩りができる数が限られている点か。
そういうことなら遠慮なく狩りまくろう。俺はカエル程度に絡まれようと、何の問題もないしな。
「おっ」
そうして狩りの効率が上がる中、割と簡単に100体討伐が完了すると同時に煙が発生。中から出てきたのは全身にイボイボのような身体を持ったガマガエルのような奴だった。
こちらは通常版よりも2回りほど巨大で、大体高さが1メートル、長さは3メートルくらいはある奴だった。うーんデカい。
『ゲゴッ!』
*****
名前:ケイブビッグフロッグ
レベル:66
腕力:560
器用:700
頑丈:400
俊敏:300
魔力:100
知力:120
運:なし
【PBスキル】統率
【Aスキル】チャージアタックⅢ、悪食Lv2
★【Eスキル】軍隊指揮、ぬめりアーマーⅢ、毒腺、丸呑み
装備:なし
ドロップ:ケイブビッグフロッグの肉塊
魔石:大
*****
『ゲゴゲゴッ!!』
『ゲコッ!』
『ゲコッ!』
レアの鳴き声に呼応するように、周囲に残っていた雑魚連中がわらわらと集まってきた。カエルの軍団かー。『統率』もあるし、周囲のカエルも湧きやすい様子だからか、一般の冒険者がコイツ目的とするにはちょっと難易度高めかもしれないな。
まあでも、通常カエルもレアカエルも、遠距離手段はないから『チャージアタック』にさえ気をつければやられる心配はないかな。カエルの足の構造上、走るとかは出来ないからどうしても直線的な動きしかできないし。
「ふーむ」
『ゲゴゲゴッ!』
「どうしよっかなー」
『ゲゴゲゴッ!!』
突撃させてくる雑魚カエルを煙に変え、痺れを切らしたレアの突撃も片手で押さえ込みながら思考を巡らせる。
『ゲゴー!』
「はいはい」
『マスター、どうしたの?』
レアを軽く押さえつけていると、アズが楽しげに顔を覗かせてきた。そんな近いと危ないぞと言いたいところだが、アズなら問題ないか。
「いやー、せっかく雑魚を集めるスキルがあるんだし、どうせならレアを複数体湧かせられるか試してみたくなっちゃってさ」
『なるほどねー。第一層では試さなくて良かったの?』
「よぎりはしたけど、遊び場が別の意味でこれ以上賑わうのもどうかなーと思ったから一旦スルーした。まあ、攻略後は一括して変更するつもりだけどね」
『んふっ、了解よ。キュビラ、ここら一帯の人間とモンスターの気配見てくれるー?』
『畏まりましたっ』
『どうせなら人のいない場所でやりましょ♪』
「そうだな、じゃあそっちは任せた。クリスも、もし人の狩場と被りそうなら折衝を頼む」
「はいっ、お任せください」
さーて、レアは何体まで同時に湧かせられるかなーっと。
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