ガチャ965回目:ただの経験値
弓で行くとなれば、まずはいつもの一発をお見舞いしなくちゃな。
「『雷鳴の矢』」
『バチバチバチッ!』
練度が上がったおかげか、今の俺が全力でこの技を放つと、『雷鳴の矢』は威力だけでなく速度も限界を超えていた。その結果、飛翔速度は本物の雷に近付きつつあり、音速に至る日もそう遠くはないと確信している。敵にしてみれば、放つと同時に着弾したと認識する事だろう。俺ですら、発射された『雷鳴の矢』の軌道を視る事は難しいほどだ。
『ズバァンッ!』
その紫の輝きは易々と『キングアシッドスライム』の身体を貫き、中央のコアを撃ち抜いていた。やっぱり、散弾で適当に撃つよりも、一点集中で標的を撃ち抜く方が性に合ってるな。うん。
【レベルアップ】
【レベルが155から248に上昇しました】
「お。終わりか」
ガチャを回すか、『スキル生成』で『解析の魔眼』を生成するか悩ましいところだな。なんて思っていると、奴の身体が2つに分かたれ、元の『ヒュージーアシッドスライム』へと戻っていた。
『『ブルブル……』』
合体したキングを倒したら、ここのは戻るのか? 改めて視直しても、レベルもステータスもスキル構成も……いや、『自動融合Ⅲ』が消えてるな。もう合体はできないという事か。
謎が深まるばかりだが、目の前に存在する以上は受け入れるしかない。そしてレベル180の経験値が2つも目の前に残っている以上、頂かない訳にはいかないよなぁ!
俺は即座に『解析の魔眼』を1つ生成してそれを後ろに放り投げると、『重ね撃ち』で『雷鳴の矢』を2本セットする。そして先ほど同様に放つと同時に着弾し、相手が動くよりも前に連中のコアをぶち抜いたのだった。
『ズバァンッ!』
【レベルアップ】
【レベルが48から214に上昇しました】
よし。240には届いてないし、これも『解析の魔眼』にしておくか? でも、レベルの高いレアが出るようになってきてるし、次のレアの直前までキープしておくか。
「……ふぅ」
キングが消えたからか、ヒュージーも煙になったからかは分からないが、ようやく部屋内を埋め尽くしていた酸性の結界が消えて行ってくれた。あの『酸魔法』、密室だと驚異的な威力を発揮してたな。大物系のボスって基本的に広い空間で戦う事が多いから、こういうタイプは初めてだった。
『マスター、楽しかった?』
「ああ、割と楽しかった」
『♪』
『それは良かったですっ』
「ショウタ、お疲れ様」
「アイテム回収しますねー」
「ん。ショウタ、休憩する?」
「んー、そうだなぁ。……ひとまず第三層の出口まで行くか。そこで改めて考えよう」
そうして復活して弱くなったスライムなんかを適当に倒しつつ、数十分かけて俺達はようやく出口へと辿り着いた。
「テレサ、ここから先が未開の地?」
「いえ、踏破できているのは第四層までです。踏み込めていないのは第五層からになります」
「ふむ。今の時間は?」
「夕方の17時ですわね」
「時間は一気に18時間まで回復しましたよー!」
「おお。キングが良い感じに影響を与えたかな」
やっぱレアや特殊レアを倒すと、延長時間もかなり効率がいい感じだな。正直18時間もあるなら、今日はゆっくりしても問題はないんだろうけど……。
でも正直な所、この程度の狩りじゃ準備運動でしかないんだよなぁ。
「まだまだ満足しきれん。この感覚もダンジョンによるものかどうかは分からないけど、このまま飯食ったら、そのまま第四層に行こうか」
「「「「「『『『はい!』』』」」」」」
『ゴ~!』
『ポポ』
『プル~』
『~♪』
『キュイ~』
◇◇◇◇◇◇◇◇
そうして第四層に降りて来た訳だが……。
目の前には平原が広がっていたが、そこかしこにオブジェクトがあり、まっすぐには通れないようになっていた。そのオブジェクトを一言で表すとするなら……。
「剣山かよ」
「ん。トゲトゲ」
……いや、剣山とは評したが、どちらかというと真っ白な巨大ウニのような感じと言った方が分かりやすいだろうか?
平原のあちこちにそれらが山積みにされていて、ちょっとでもバランスを崩せば転がってきそうな恐怖を覚える。……この恐怖も、もしかしたらダンジョンから与えられているデバフかもしれないな。普段の俺なら、転がって来ても面白そうとしか感じないだろうし。
『ゴ~?』
『ポーポポ?』
『ププルプル』
『キュイキュイ』
『~~♪』
エンキ達はトゲトゲの前に集まって、触っても大丈夫か相談し合ってた。
俺から直接視ても、なんの変哲もない白いウニだし、生物やトラップではなく背景的なダンジョンオブジェクトって感じがする……?
「聞いてた通りのフィールドだけど、本当に聞いていた通りね」
「暗闇、高所、閉所と来て、今度は先端……もしくは集合でしょうか? 人によっては何かしら刺さりそうですわね」
「以前協力しに来た時も、私はここまでが限界でしたね~。懐かしいです」
「あの頃は『回復魔法』の通りが良かったので、マリーの支援は助かりました」
「友達として当然ですっ」
「……ふむ。触っても危険はないはずだが、あまり無茶な事はするなよ」
そう伝えると、彼らは大喜びでトゲトゲで遊び始めた。まずはツンツンつついてみたり、トゲをへし折ったり。エンキに至ってはトゲをガン無視して持ち上げようとしてみたりと、割とわちゃわちゃしていた。
まあ、楽しそうならいいか。
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