現代人達は山に入る 6
大広間にはみんなが揃っていた。
広間の中央には大きな木皿が置かれ、色とりどりの新鮮な野菜がこれでもかと盛られている。
数十匹のハムスター達が木皿を取り囲み、頬袋をパンパンに膨らませながら食事を楽しんでいた。
そんなハムスター達を暖かな眼差しで見つめるヨーコに彩、そして勇太。
犬達も飼い主と同じ優しい眼差しを向けている。
高座に目をやれば、幸姫の姿と側に控えるアサヒが居て、白く長い髭を生やしたハムスターとドレスに身を包んだハムスターの姿があった。
こちらは木皿の方のほんわかしたムードとは違い、何やら真面目な話をしているようだ。
幸姫が何かを語る度に、二匹のハムスターがうんうんと相槌を打っている。
「歩くんおはようッ!」
「歩兄おはよう~」
「・・・おはよう」
歩の姿に気付いた犬友達が口々に挨拶をする。
「おはよう」
と挨拶を返した歩は、チョイチョイと勇太を手招きした。
「?」
少年は頭の上にクエスチョンマークを浮かべながらも、歩の元へとやってきた。
勇太の誕生日にプレゼントをした【鉄騎士戦隊アイアンジャー】のパンツ(税込み2、980円)が眩しい。
「勇太、布団にズボンを忘れていたよ」
「おお~」
勇太はズボンを渡されるといそいそと足を通した。
その最中「どうりでお股がスースーしたよ」とか「パンツまで忘れないで本当に良かったよ」と言っていたが、最後には「歩くんありがとう」と満面の笑顔になった。
大広間の空気が変わったのは、食事に精を出していたハムスターの一匹がヤトとライに気付いたからだ。
「ハムッ!」
と声を上げ仲間達に何かを伝えると、ハムスター達は食事をやめ、なんとヤトとライの前に整列したではないか。
「ハムッ!ハムッ!」「ハムハム~」「ハ~ムハ~ム」
「ハムハム」「ハムッ~」
ハムスター達は口々に何かを伝えていた。
母に抱かれた赤ちゃんハムスターまでもが「はみゅぅ~」と声を上げた。
ハムスターの言葉は分からないが、彼等はきっと感謝の言葉を述べているのだろう。
追跡する狼に囲まれ、一時は生死の境を彷徨ったハムスター族にしてみれば、ヤトとライは災厄を振り払った英雄であった。
「いえいえどういたしまして。お腹が減っているのでしょう?この地にはみなさんに危害を加える者などおりません。どうか食事を楽しんで下さいな」
「ワオンワオン。ワフワフ」
ヤトとライのコンビがそう答えると、ハムスター達は嬉しそうに「ハム~ッ!」と返事をし、木皿の方へと戻って行った。
ー ゴールデンハムスターにジャンガリアン・・・ロボフスキーにキンクマに・・・ハムスター族とは聞いていたけど、本当に色々な種類が居るんだな・・・。
歩は変な所に感心していた。
「歩にヤト、それにライも来たようじゃな。ささっ近う寄るがよい」
ハムスター族に目を奪われていると、高座から声がかかった。
幸姫の隣に座る二匹のハムスターは、ヤトとライの方へ深々と頭を下げ、次いで興味深そうに歩を見つめた。
「あたちのお父たまとお母たまなのハム~」
歩の頭の上にいるハムちゃんがそう教えてくれた。
ハムちゃんのお父たまとお母たまということは、ハムスター族の王様と皇后であり、ハム神様である。
歩はすっかり恐縮していた。
高座の前で歩とヤトが正座をした。
小心者の歩などは座るや否や「ハハァ~」とひれ伏したものだが、幸姫の「何をやっておるのじゃ?」の一声で頭を上げることとなった。
さて、神様と向かい合うことになった歩であるが、どうにも落ち着かない。
正直にいうならば、今すぐにでもこの場から立ち去りたかった。
歩は極度のあがり症で、自らに注目が集まることを好まない傾向にあった。
緊張するのが苦手なのである。
見知らぬ誰かに心臓を鷲掴みにされたような、あの感覚が嫌いなのだ。
通常、緊張とは一度は高まるものだが、徐々に鎮静してくものである。
しかし、歩にはそれがない。
セリに出された高級魚が、青天井で値段が吊り上がっていくかのように、歩の緊張も青天井であった。
さらに彼は恐るべき習性を持ち合わせていた。
緊張が鎮静していくためには、幾つかの要素があると思うが、その薬のような作用さえ、歩に取っては毒薬になり得た。
今でいうならば、ハム神様と皇后様と相対することは確かに緊張を伴うものなのかもしれない。
しかし、彼等の外見は可愛らしいハムスターであり、さらにハムちゃんのお父たまとお母たまなのである。
普通の人ならばすぐに冷静になり、愛くるしいその姿に口元が緩んでしまうだろう。
が、歩は違った。
歩の場合、神様と皇后様という所が頭の中で五回くらい強調され、ハムちゃんの両親ということで少しばかり緩和されるが、再び神様と皇后様という所が十回くらい強調されてしまうのだ。
その思考回路とは、次々と石炭を補給されて速度を上げていく蒸気機関車のようであった。
むろん、停車駅などない。
実をいうと、彼は幸姫と話す時でさえいまだに緊張していた。
神様やお姫様などは雲の上の存在であり、特別な出自を持たない自分などが軽々と接して良い相手ではないと思っていた。
なんとも卑屈で権威主義的な思考ではあるが、染みついた考えとはなかなか抜けないものなのである。
ー 一体・・・何を言われるんだろうか・・・。
歩はドキドキしていた。
「貴方がアユマレーザさんですね?」
ハムちゃんのお母たまで皇后様が口を開いた。
「・・・?」
しばしの沈黙が流れたが、ハムちゃんが「お母たま、ご主人たまの名前はアユマレーザではなくて歩なのハム~」と訂正すると、
お母たまはヒマワリの種が描かれた扇子を口元に当て「あらあら私としたことが」と目を細めた。
ー 名前を覚えるのが苦手であらせられるのかな・・・?
思考の中でさえ敬う姿勢を崩さない歩であったが、極度の緊張から心臓は波打ち、額には玉のような汗が浮き出し、体中が麻痺したかのような感覚に包まれていた。
歩がどれだけあがり症であるのか少し話をしたい。
彼が小学四年生の時の話である。
朝から浮かない表情で、もそもそと朝食を食べる孫の姿が気になった源次郎は「どうかしたのか?」と歩に問うた。
すると歩は今にも泣きそうな表情で「学校に行きたくない」と答えた。
「苛められるか?」と聞けば違うという。「勉強が嫌か?」と聞けばそうではないという。
源次郎には孫を悩ませる問題が何か分からなかった。
黙って歩の顔を見ていると「描いた絵が表彰された」という。
聞けば、図画工作の時間に書いた絵が、県のコンクールで銀賞を取ったようで、学校の集会で全校生徒の前で賞状を渡されるのだという。
「歩・・・そりゃぁ・・・」
めでたいことじゃないか。と源次郎は声を弾ませた。
今夜は贅沢をし、豪勢な夕食を拵えてやらねばと考えた所で、得も言われぬ違和感に包まれた。
絵が銀賞を取り、全校生徒の前で表彰される名誉を前に、孫の顔の何とも浮かぬことか。
これから拷問を受ける重罪人のようでさえある。
「・・・たく・・・ない・・・」
「ん?なんだって?」
「みんなの前で表彰されたくない・・・。緊張するし・・・恥ずかしい・・・」
源次郎は開いた口が塞がらなかった。
目に涙を浮かべた歩は「爺ちゃん・・・今日学校休んで良い?」と祖父に縋った。
源次郎は少し考えた後「駄目だ・・・学校に行け」と威厳を込めた口調でキッパリと言い放ち、歩はガックリと肩を落とした。
そして・・・。
源次郎の元に小学校から電話が入ったのはお昼前のことだった。
なんでも校長先生から表彰状を貰った歩が、立ったまま気絶したとのことだった。
源次郎は電話越しに、自分は何か冗談でも言われているのかと思ったが、事実らしく、今は保健室で眠っているとの報告を受けた。
皺の寄った彼の口が、しばらく閉じることはなかったという。
「歩殿ッ!」
「ひゃッひゃいッ!!」
ハムちゃんのお父たまで王様でハム神様に名前を呼ばれた時、歩には限界が近付いていた。
いや、限界を超えていた。
心臓はF1マシンのエンジンの如く高回転で鼓動し、油断をすれば口から飛び出し地平の彼方へすっ飛んでいきそうなくらいだった。
ー も・・・もう・・・無理・・・。
歩の顔は能面のように固まり、目からはハイトーンが消え、体は石像のようにピクリとも動かなくなった。
「ハムちゃんから話は聞いておるぞい?歩殿はハムちゃんの飼い主なのじゃな?」
「そうなのハム~」
歩の頭の上のハムちゃんが元気よく答える。
「美芳の地の窮状については姫君から聞かせてもらった。犬神殿が逝去されたことも・・・その後の惨憺たる状況もな・・・」
「涙なしでは聞けぬ話でした・・・」
「ご主人たまも『その通りです』と言ってるのハム~」
ご主人たまが本当に「その通りです」と言っているのかは分からないが、どうやらハムちゃんは歩の代わりになるつもりらしい。
「そしてこことは違う、ハムちゃんが住んでいた世界からやって来たことも。お主達がこの地の再興のために身を粉にして働いていることもな」
「立派ですわアユフレッドさん」
「ご主人たまは『自分に出来ることをやっているだけです』と言ってるのハム~」
「エライッ!それでこそハムちゃんの飼い主よッ!」
「エライですわアユリンストンさん」
「ご主人たまは『お褒めに預かり光栄です』と言ってるのハム~」
「礼儀だけでなく謙虚さまで身に付けているとは、気に入ったぞ歩殿ッ!」
「気に入りましたわアユマドーラさん」
「ご主人たまは『過分なお言葉を頂き恐縮です』と言ってるのハム~」
歩とお父たま、お母たまのやり取りを聞いていた幸姫は、頼もしい家臣の姿に満足そうに頷くと「ハムスター族のみんなも美芳の再興に力を貸してくれるそうなのじゃ」と興奮しながら告げた。
「姫のおっしゃる通りじゃ。我等ハムスター族も力を尽くすことをここに約束しよう。歩殿、共に手を取り合い頑張ろうではないかッ!」
「・・・」
歩が反応しないでいると、隣に座っていたはなちゃんが飼い主の体に頭を当て、軽く揺すった。
すると歩は、糸の切れた操り人形のようにこっくりと頷いた。
「うむ。決意を前に言葉は不要ということじゃな。ますます気に入ったぞ歩殿」
「ますます気に入りましたわアユデモードさん」
ハム神様と皇后様は、頷いたまま首の戻らない歩に柔和な笑みを向けた。
「話も落ち着いたようじゃな。ハム神様にはヨーコの力を見て欲しいのじゃ」
「ふむ。成長促進・・・といっておったな。なんでも植物が驚くべき速度で成長するとか・・・。是非この目で見てみたい」
「見てみたいのですわ」
その返事を聞くと、幸姫は勢い良く高座から飛び出し、大皿を取り囲むヨーコの背中に抱き付いた。
「わッ!びっくりしたッ!幸姫様、どうしたの?」
「ハム神様にヨーコの力を見せてあげて欲しいのじゃ」
「私の力?別に良いけど・・・」
「うむうむ。では母上の畑にれっつごぉ~なのじゃ」
「どこでそんな言葉覚えたの?」
「彩に教えてもらったのじゃ」
ヨーコは慣れた手付きで幸姫をおんぶする。
その頃にはハムスター族の食事も終わっていて、畑と聞いて彼等はつぶらな瞳を輝かせた。
あまり知られていないことだが、ハムスター族は自らの手で畑を耕し、そこで野菜を育てている。
その野菜は自分達で食べるのは勿論のこと、世界中を飛び回り、様々な樹々の種を集めて来る鳥達との物々交換にも使われていた。
ハムスター達にとって畑とは、日々の恵みを与えてくれる場所であり、より豊かな生活を与えてくれる神聖で大切な場所であった。
ハムスター族の輪の中に、ハム神様と皇后様が加わった。
それを待っていたかのように幸姫が「母上の畑にれっつごぉ~なのじゃ~」と音頭をとる。
「れっつごぉ~」
「れっつごぉ~」
「ワンワン」
「にゃわん」
「ハムハム」
幸姫をおんぶしたヨーコの後にハムスター族が続き、彩と勇太達も続いた。
無邪気な行進の目的地は母上の畑で、そこでハムスター達が驚きと歓声を上げることは間違いないだろう。
大広間には歩達が残された。
珍しいことにそこにアサヒの姿もあった。
アサヒは心配そうに歩を見ては、隣に座るヤトに「大丈夫なのか?」と視線を送った。
確かに今の歩の状態は「大丈夫」そうには見えない。
顔は能面のようで精気を失っていたし、頷いた首が戻る気配もない。
歩の意識が戻るまでずっと隣に座っていようと考えていたヤトだが、アサヒがあまりに心配そうな表情をみせるので、行動を起こすことにした。
まずは遠慮がちに肩を叩いてみるが、意識は戻らない。
次に脇腹をツンツンしてみるが、これもダメだった。
「ワンワン」『お姉ちゃんそんなんじゃ歩は起きないよ(提案)』
「ではどうすれば良いでしょうか?」
「ワオンワンワオ~ン」『頬っぺたをつねり上げてやれば良いのよ(小悪魔的微笑)』
「頬っぺたを・・・つねる・・・」
ライの小悪魔的な提案を受けると、ヤトの頬に赤みがさした。
ヤトと歩の日頃のコミュニケーションとは会話のみであり、実は体に触れるのも今回が初めてだった。
緊急を要する事態であったために、肩を叩いたり脇腹をツンツンしてみたが、ヤトの内心はドキドキであった。
そんな彼女に対して、ライはさらに過激な提案(小悪魔的微笑)をした。
ー 歩さんの頬っぺたをつねるだなんて・・・。いえ、これは歩さんを目覚めさせるために必要なこと・・・。歩さんを目覚めさせるために必要なこと・・・。
自己暗示的に自分を言い聞かせると、親指と人差し指で歩の頬を摘まんでみる。
初めて触れる歩の柔らかい頬に、感動を覚えると共に「もしも今、歩が目を覚ましたらどうしよう?」という疑問が浮かんだが、当の歩は微動だにしない。
「ワンワンワン『摘まむだけじゃダメだよ。もっと引っ張らないと(小悪魔的提案)』
「歩さんの頬を・・・引っ張る・・・」
ライに促さるまま、歩の頬を引っ張った。
頬はまるで餅のように伸びたが、しかし歩は目覚める素振りを見せない。
面白いもので、初めは遠慮していても、慣れというものを経験してしまうと、人の行動は大胆になるようで、歩が目覚めないことを良いことに(今がチャンスとばかりに)ヤトの行動はエスカレートしていった。
彼女は歩の正面に座ると、今度は両手を使って歩の頬を左右に引っ張った。
それを上下に持ち上げてみたり、回転を加えたりしていると、不意に歩の目に光が戻った。
「はッ・・・!?」
意識を取り戻した歩の目の前にはヤトの顔があり、彼女はたちまちの内に顔を真っ赤に染め上げた。
「ぼ・・・僕は一体・・・」
「ワ~イ。ご主人たまが起きたのハム~」
「ワオンワオン」
ハムちゃんとはなちゃんの姉妹が嬉しそうに声を上げた。
「ハム神様との会話の途中で歩殿の様子が変わったのでな・・・。皆、心配していたのだ・・・」
アサヒがそう説明してくれた。
確かに自分はハム神様と皇后様と対面していた訳だが、どうにも途中から記憶がない。
極度の緊張のために気絶していたのだと、自分のことながら歩はすぐに理解することができた。
「どうにも緊張する場面が苦手で・・・。失礼だったんじゃないだろうか?」
「ハムちゃんが歩殿の代わりに受け答えしていたぞ」
「あたちにお任せなのハム~」
「ありがとうハムちゃん」
頭の上のハムちゃんにお礼を言い、冷静になってくると自分の現在の状況が見えてきた。
取り合えず、聞きたいことがあったが、それは一旦置いておいて、姿の見えない幸姫やハム神様の質問をしてみることにする。
「あの・・・幸姫様やハム神様は・・・?」
「ヨーコ殿の力を見るために畑にな・・・」
「ご主人たま、ハムスター族も美芳の再興をお手伝いするのハム~」
ー 僕が気絶をしている間にそこまで話が進んでいたとは・・・。
驚きはしたが、ハムスター族が再興の手伝いをしてくれるのは心強い。
気絶している間の出来事をすっかり復習し終えた歩は、一旦置いておいたことを聞いてみることにした。
「それで・・・その・・・ヤトさんはどうして僕の頬を引っ張っているのでしょうか・・・?」
その疑問は尤もで、現に今もヤトは白魚のように細い指で歩の頬を引っ張っていた。何よりも顔が近く、彼女の顔は熟れたトマトのように真っ赤で、つられて歩の顔も赤く染まった。
思えばヤトの美しい顔がこんなに近い距離にあったことなど一度もなく、先程とは違う種類の緊張感で、歩の心臓は高鳴り出した。
「ワンワオン」
「『歩が気絶してたからお姉ちゃんが起こそうとしてたんだよ~(説明)』と言ってるのハム~」
ライの言葉をハムちゃんが翻訳してくれた。
「そ・・・そうだったんですね。ヤトさんありがとうございます・・・」
気絶をしていたのは自分であるし、そんな自分を起こそうとしてくれたヤトには素直に感謝すべきだろう。
何故、頬を引っ張っているのか疑問は尽きないが、そうせざるおえない流れみたいなものがあったのかもしれない。
ヤトに感謝の言葉を述べてみたものの、何やら様子がおかしい。顔を真っ赤に染めたヤトは、中世の高尚な彫刻のように固まり、ピクリとも動かない。
そして、歩の様子もおかしかった。
彼は浅い呼吸を数回繰り返すと、やがてヤトと同じ様にその活動を止めた。
「ワオン。ワンワン?『お姉ちゃんお疲れ様(労い)。もう指を放して良いんだよ?(天使の微笑み)』」
ライが話しかけるが、ヤトは動かない。
白銀の狼は、ピンク色の肉球でヤトの頬をプニプニとつついてみるが、微動だにしない。
「ワオッ!?ワンワンッ!?『ええッ(驚き)!?お姉ちゃん目を開けたまま気絶してるッ(驚愕)!?』」
どうやらヤトは、息が触れ合う程の至近距離で歩と目が合ったために気絶してしまったらしい。
「ご・・・ご主人たまも・・・また気絶してるのハム・・・」
大広間に沈黙が流れた。
アサヒは頭痛でもきたのか、額に手を当ててため息を吐いている。
「ワオンワオンワンワンワオン『歩が起きたと思ったらお姉ちゃんが気絶して歩が気絶しちゃった(呆れ)』」
ライは固まった二人を交互に見やる。
「ワンワンワン。ワオン?『歩もお姉ちゃんも似た者夫婦って感じ(感想)。ハムお姉ちゃんもそう思わない(疑問)?』」
ハムちゃんは「ハムムムム~」と笑った。
ハムちゃんは向かい合う二人に、かつての姿を重ねていた。
背もまだ低く、声変わりもしていない少年時代の歩に、向き合うのは、すらりと伸びた美しい体躯のキツネさんである。
「キツネさん、今日は何して遊ぶ?」
「コンコ~ン♪」
そんな会話が聞こえた気がした。
歩とキツネさんと、ライガとはなちゃんに、それに沢山の仲間達と進む未来は、どんなに素敵で光り輝いていることだろう。
ハムちゃんの心の中には希望と喜びしかない。
胸の中を無邪気な子供達が遊び回るような高揚感に包まれ、ハムちゃんは再び「ハムムムム~♪♪」と笑うのであった。
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