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私の推し様

連続投稿

私の推し様ことライル・カーディンド公爵令息。紫紺の髪に黄と紫のオッドアイ。

設定として、容姿端麗、品目秀麗おまけにこの国で最も重要視されている魔力保有量が、学生の身でありながら国1番という完璧超人と言って過言ではないお方。

このライル様、シナリオライターに嫌われているのかとことん酷い役を引く。


まずゲーム開始時の、邪龍襲撃戦。

ここで、ライル様は魔力放出具、即ち魔力を行使する為に必要な道具を損傷する。


魔力放出具。本来の形は魔石。ただの魔石は日常生活の至る所で、例えはランプだったり水道だったりで使われているが、子供の頃から自分の魔力に馴染ませた魔石は特別なのだ。損傷しても治せない。もし万が一壊れてしまったら、二度と手に入れることは出来ない。


何故教師もいるであろう学園で、一学生であるライル様が戦うような事態になったのかと言えば。邪龍に有効な攻撃は、邪龍の闇属性に相反する聖魔法、または邪龍以上の魔力量の闇魔法だけである。教師は勿論優秀な人が多いのだが闇魔法の使い手は希少、聖魔法の使い手はさらに希少で、邪龍の魔力量は膨大だ。聖魔法の使い手がいない学園で、邪龍を上回るの魔力量を持つ闇魔法の使い手はライル様しかいなかったのだ。


結果。ライル様は無理をして莫大な魔力行使を行い、魔力放出具に亀裂が入った。


先程言ったように、魔力放出具は壊れてしまえばなおらない。これ以上亀裂を広げないために、ライル様は金輪際大規模な魔法を使えなくなる。


わかりやすい弱体化補正である。シナリオライター絶許。



次、ラスボス手前。

邪龍に襲われて混乱中の国を、隣国が突然攻め入ってくる。


後はお察しだろう。隣国の侵攻を止めるために戦い、最終的に敵兵を全員道連れに自爆する。


ちなみにそのライル様の最期はとてもとても細かく描写されていた。シナリオライター絶許。プレイヤーのSAN値をなんだと思っているんだ。




「とにかくこのふたつさえ回避出来れば、ライル様はとりあえず無事、って考えて良さそうね。」

思い出した事を紙にまとめ、私は必死に頭を回す。

「人に話すのは論外。シナリオを変えるのは邪龍が襲ってくるところにしないと、前提が変わっちゃうかもしれないから、迂闊に誰かに話して盤面を揺さぶらない方がいい。ただでさえ何処までが許容範囲かわかんないし……。ただまあ問題といえば、」

私は机に向かい座っていた椅子から降りて、部屋に置いてあるドレッサーに向き合う。


「私、魔法使えないみたいなんだよねぇ。」


鏡に映る私は、この世界で“忌み子“と蔑まれる黒い瞳の持ち主だった。

SAN値チェック1D6

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