思い出しました
週一投稿でき……たらいいなぁ。
かつて、大陸は邪龍による侵略を受けていた。
邪龍は建物を壊し、病魔を振りまき、農地を荒らした。
王族は他国へ逃げ出し、民は絶望に暮れた。
“もうこの国は終わりだ”
誰もがそう思った、そんな時。
異世界から聖女が現れる。
聖女は膨大な魔力と類稀なる聖魔法で瞬く間に病魔を祓い、豊富な知識で荒れた農地を豊作と言えるまで実らせた。
そして、邪龍を滅ぼす旅に出た。
民が不安と期待を胸に日々を過ごすこと1年、聖女が邪龍を滅ぼしたと報じられる。
優秀な剣士と、魔術師と、シスターと共に。
聖女は言う。
『邪龍は永き眠りに着きました。封印が暴かれない限り、もう二度と目を覚ますことはないでしょう。』
民は4人を英雄と讃え、敬った。
いつしか聖女は女皇に、聖女と結ばれた勇者は皇帝となった。
女皇となった聖女によって祝福された帝国アバンシェルは、その後も繁栄を続けていった----------
「はぁ……。」
私は読んでいた絵本から顔を上げ、確定された情報に思わず頭を押さえる。
「最悪の状況なんですけど……。」
もしかしたら、とは思っていた。
何故か聞き覚えのある国名。
何故か知っていた建国寓話。
朧気ながらも記憶にある、平和な国で暮らしていた“過去”。
これらの情報が、成長とともに鮮明になっていく記憶によって線となる。
「RPG転生とか聞いてない〜〜!!」
霧隠志乃17歳もといシノーチェリス・ミストランテ4歳。どうやら異世界転生をしてしまったようです。
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所謂“前世”と呼ばれる1つ前の生での私は、それはそれはゲームが好きだった。
暇さえあればゲームをしている私がクリアした数多のゲームの内、進めたくなくて進めたくなくて仕方がなかったが、ゲーマーとしてゲームをクリアしないことほど不名誉なことは無いと泣く泣くクリアしたゲームの1つ、SRPG「叛逆の総譜」。その世界に、どうやら私は転生してしまったらしい。
舞台は中世ヨーロッパを模した貴族社会。貴族の子女達の集まる学園に、突如邪龍が現れる。なんとかその時は撃退したものの、邪龍を放置しておく訳には行かない。帝国は討伐隊を編成するが、こちらの兵が損傷するばかり。その頃、学園では主人公を含む皇太子をはじめとする一派が何故封印が解かれたのかの調査を始めだし、その過程で主人公が聖魔法を覚醒。その主人公と皇太子達で、邪龍を滅ぼし、ハッピーエンドとなる。
さて、ここまで聞いて皆さんは思うだろう。何故ストーリーを進めなかったのか、と。余りにもご都合主義だから嫌気がさしたのか、と。
取り敢えず一言言わせてもらうと、このゲームには隠し要素があり、しかもそのストーリーが余りにも後味が悪くご都合主義も有給で仕事をしない、レベル差ゴリ押しはほぼ不可能の鬼畜ゲー使用をしている。
まぁ私は鬼畜ゲードンと来い勢のため理由はそこじゃない。
このゲーム、私の推し様が死ぬのである。
もう一度言おう。このゲーム、私の推しが死ぬのである!
主人公がどれだけ死亡フラグを立てようとも死なないのに!
邪龍がいきなり学園を襲ってもモブ1人死なないのに!
唯一死ぬのが私の推し様!なのである。
推し語りはテンション高い、それがオタク