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作者: 優華

 少女がいる。

 ランドセルを背負っている。時間的に考えても下校中の小学生だろう。

 すこし屈んで何かしている。

 どうやら花を見ているようだ。ジロジロ見ている。観察してるようだ。

 少女が花の匂いを嗅ぐ。喜色満面。いい匂いだったみたいだ。

 少女が花を見つめて何か考えている。なにを考えているんだろう。もう少し見ていよう。

 少女が動き出した。なにをする?

 おもむろに花をちぎり、お尻の方に口付ける。ちゅっと吸えば満天の笑顔。

 満足したのかスキップしながらどこかに行ってしまった。


 しばらくすると、二人で仲良く話している女の子が来た。先刻の子と同じく下校中なんだろう。

 ひとりは別段変わった様子もないが、もうひとりは少し顔が赤い。

 見ていると、急に赤い顔の子が立ち止まった。もう一人は困惑顔。ただ彼女の今の顔を見れば誰だって察しがつく。

 鼻がムズムズ。口を開け、少し上を向く。目は半開き。もうだめだ。

 はっくしょん

 と大きなくしゃみ。すぐに、ずびーっと洟をすする。

 隣の子が「花粉症?」と聞く。

「ぞうがも。」

 もう一発でそうな雰囲気だ。

 残念ながら二発目は不発に終わった。女の子たちはばつの悪そうな顔をしながらどこか立ち去って行ってしまった。


 近くの花屋が目にはいる。

 中では男性が花を選んでいた。その目線の先には赤いバラがある。ガールフレンドにでも渡すのだろうか。

 少しすると、男は店員を呼び、指で三本立てた。必要な本数を示したのだとするとなかなかロマンチストな奴である。作業しながらの店員は男と笑顔で会話し始める。

 男は花を受け取ると、店員に向かってお辞儀をし、緊張の面持ちで店を出ていった。大股の一歩が彼の真面目さを表していた。幸せになれよ。


 ところでだ。花というのは、花を咲かせる植物にとっての性器である。

花粉症がひどい。特に昨晩はとんでもなかった。

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