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そしてまた月は満ちる  作者: 春日野霞
【番外編】
20/89

文字数大体1/12で分かる(?)『そしてまた月は満ちる』第四章

引き続き登場人物たちが本書を読んでおります

晴瀬:お前っ……まさか……!

マキ:最後まで読み終わった

晴瀬:すっげえなあ!

凌光:晴瀬よりもマキの方がクマ濃くなってるね

晴瀬:俺は昨日寝ちまったもんな。あでも、第三章は読んだぜ!

マキ:私は徹夜で読んだ……寝るぞ

凌光:おわりまで読んだ感想は?

マキ:……生きるとは難儀なことだが、それ同等の価値があると、思った

晴瀬:何言ってるかよく分かんねえけど、なんかよかったな!

マキ:お前に分かられてたまるか……私は寝てくる

凌光:寝てくる、といえば、青颯まだ起きてないや。ついでに起こしてきて

マキ:嫌だ

青颯:俺だって嫌だ

凌光:あら、おはよう

青颯:起き抜けにマキの顔があるなんて考えただけで最悪……

マキ:私とてお前のために労を裂く上に不機嫌な顔を向けられるのは御免だ

凌光:あんたら仲悪いねえ

青颯:悪いに決まってるでしょ

晴瀬:決まってるのか?

青颯:うん。第四章読めば分かるよ

晴瀬:おおっ。今日もあらすじ頼んだぜ!




○第四章○生活




 椀を伏せたような形の島で、釣りをする人がいる。釣り人は、名を凌光といった。彼女は遠くの空から雨雲がやってくるのを見て、島の頂上にある塔に戻る。その塔が、凌光の住まいだった。やがて、激しい雨が降り始めた。凌光は胸騒ぎを覚え、同居人がいる書庫に向かう。しかしそこに同居人の姿は無い。凌光は塔を下り、浜に臨む階段の上へと急ぐ。同居人はそこにいた。同居人は、名を青颯といった。彼は妙なものが来たという。やがて階段の下から不気味な声とともに「妙なもの」があがってくる。その正体は、死地から帰還した晴瀬だった。ここは禰々島ときき、晴瀬は驚く。禰々島とは、彼が住んでいた場所の南にある島だった。

 晴瀬は、二人と共に塔に入る。二人は、もう五十年以上もここに住んでいるらしかった。しかし凌光の見た目は三十前後で、青颯は十代前半というところだった。しかし凌光は、晴瀬はもっと昔の人間だという。晴瀬が春軌を殺したのは、春軌が術士の反乱を決行しようとしていたからだった。その反乱は、人として扱われていない術士たちの憤懣が爆発しようとするものだった。晴瀬も反乱をする側に身を置いていた。しかし決行直前、暴力的なことをすればたくさんの人が犠牲になると考え、春軌を殺したのだった。それが伝説として語り継がれていたため、凌光は晴瀬を知っていたのだ。晴瀬は自分の「罪」が伝説として語られていることを知り、悄然とする。


 その後、晴瀬は二人と生活を共にする。島の南側には棚田があり、そこでできた白米は大層美味く、晴瀬は思わず涙した。ある日、晴瀬は田植えを手伝う。一日働いた夜、熱い風呂に入った。生をひしひしと実感する最中、春軌がやってくる。

 彼は、晴瀬への復讐のために、死の底にいるみちを苦しめてやるという。その様子を、夢で晴瀬に見せるというのだ。居合わせた青颯は、他人を巻き込むのは違うと春軌に言う。が、春軌は余計なことを言うのなら、この島に死の風を送るという。いわれた青颯は塔に引き返す。春軌がまた、晴瀬を荒野に落とすという。春軌を中心に死地の沖が渦巻く中、『ソんナに死ノ世界ノ沖ヲ持チ込まれたラ、島ノ均衡が崩れチゃうワア』と妙な声が響き、塔の最上階から青い光が迸る。それに晒された春軌は、跡形もなく消えてしまった。すぐに二人がやってくる。青い光は、塔の最上階に住んでいる人ならざるものが発したもので、青颯がどうにかしてほしいと頼んできたのだという。晴瀬は己の無力さを痛感すると共に、みちを必ず救い出そうと誓った。


 翌日、凌光は日の出を拝みながら海水を汲んでいた。太陽の中に人を見たような気がして、振り向くと娘が立っている。彼女の腕には、赤い痣があった。話の流れで、ここには晴瀬がいると凌光が言うと、彼女は彼のもとへ連れていけという。二人が塔に戻ると、晴瀬が下りてくる。娘を見ると「マキ」と驚いた顔で呟く。マキは、この島の北側にある陸地、すなわち故郷に戻りたいという。青颯は塔にある本を読んでばかりいるため物に詳しいが、寝起きの不機嫌でマキに取り合おうとしない。凌光は諦めずに聞けば何か分かるかもしれないと助言をする。


 ある時、晴瀬が素潜りで貝や海老をとっていると、マキがやってくる。出会ったときとは別人になった彼女は、術士の反乱を起こしたいという。そのため、かつて春軌の反乱を止めた晴瀬に、此度も止めようとするかと聞きに来たのだ。晴瀬は、術の力で反乱をしようとしたら、関係の無い大勢の人まで死ぬことになるという。マキはそれを軟弱だと吐き捨て「ぶち壊してからでないと始まらないというのに。全てを守ろうとすれば何も選択できず、結局前には進めない」と立ち去る。

 マキの言葉にもやもやしながら、晴瀬は青颯のもとを訪ねる。みちを救うための、何か良い方法はないかと尋ねるためだった。彼は、最上階にいる人ならざるもの「ゆすら」に願いをかけたらよいのでは、と言う。神様のようなそれに願うと、運が良ければ叶えてもらえるという。晴瀬は「死の底に落ちたみちを、救い出して、一緒に生きていける方法を、教えてください」と願う。その直後、マキに出くわす。何をしていたのかと問われて答えると、彼女は重ねて、神に願う方法を問う。晴瀬が答えると、彼女は礼も言わずに立ち去った。


 晴瀬は、自分がもっと強くならなければならないと思っていた。沖術を鍛えるため、青颯に教えを請うていた。青颯は山奥の村出身で、外界と交わらないそこでは術士が差別されていなかった。彼も術士であったが、村でよく鍛えられていたため術達者だったのだ。青颯の助言をもとに、晴瀬は術の鍛錬を重ねる。

 ある時、マキが青颯に術勝負を頼む。彼は嫌がるが、晴瀬は見て学びたいと、二人の勝負を期待する。

次の日、ごねる青颯をマキが挑発し、術勝負をすることになる。白熱していくにつれ、青颯の様子がおかしくなる。彼には、雷の神が憑りついていた。それに、自我を乗っ取られていたのだ。凌光が機転を利かせて晴瀬が術を使い、二人の勝負は打ち切られる。青颯は正気に戻り、マキは満足そうに笑った。


 夏至の日、晴瀬が階段を下りていると景色が突然変わる。そこはゆすらの部屋だった。部屋の中央の寝台にこしかけた彼女に、願いを叶えてもらえると拳を握る。彼女にみちのことを尋ねるが、何を問えども『ソうとも言えるし、ソうじゃなイとも言えるし』と答える。そんな会話を繰り返した後、ゆすらの向こうにマキが見える。

 途端に景色が変わり、元いた階段に戻っている。下から、すぐにマキが上がってきた。上にあがりたい彼女のため、晴瀬も共に上の階へと上る。そこは、ゆすらの部屋のすぐ下の部屋だった。マキもゆすらに、願いをかけたのだという。彼女は光の術で槍を現し、天井を貫く。その先には、当然ゆすらがいた。天井から、血液と共に青い玉が落ちてくる。それは、島の生を司る玉であった。マキがそれを飲み込むと、天井が崩れ始める。晴瀬は慌てて逃げると、下で凌光が待っている。急いで塔を出ると、塔の最上階が火をあげていた。

 浜まで逃げると、そこには既に青颯がいた。塔がゆっくりと倒れ、炎が島へと回っていく。それぞれの表情を浮かべる三人の上空に、マキが現れる。彼女は光となって、故郷である北の大陸へと飛び去っていった。三人の身体からは、みるみる力が失われていく。晴瀬は最後の力を振り絞り、海の神に訴える。「絶対に、月の女と出会ってみせる。できなかったら命なんかくれてやるから、俺たちを生かしてくれ!」すると、高い波が寄せ、三人に覆いかぶさった。




青颯:うん。これは分からないわ

凌光:おや?

青颯:こんなあらすじぽっちじゃ、この島の良さもマキの凶暴さも全然分からない

凌光:テンプレだ!

晴瀬:これでお前も、テンプレ仲間だな!

青颯:くそう、つい言ってしまった

マキ:お前も結局テンプレサイドの人間か

青颯:嫌味なのかボケなのか分かんないこと言わないでよ。テンプレサイドって何

凌光:天ぷらサイドもいいね

晴瀬:天ぷらそば食いてえ!

凌光:今日の昼めしは天ぷらサイドでいこうかね!

晴瀬:よっしゃあ!

物語は段々と影を濃くしていきます。もっと群像劇っぽくなっていきますので、お楽しみ。

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