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そしてまた月は満ちる  作者: 春日野霞
【番外編】
19/89

文字数大体1/10で分かる(?)『そしてまた月は満ちる』第三章

凌光:よっしゃあ!第三章まで終わったあ!

晴瀬:抜かされちまった。俺やっと二章が終わったところだぜ……

青颯:二人ともめげないねえ

凌光:むむ、最後まで読んだ奴が高みの見物を決め込んでいる

晴瀬:待ってろ青颯。すぐに抜かしてやるからな!

青颯:最後まで読んだって言ってるでしょ。抜かすってどういう概念なの

晴瀬:最後にテスト出されたら、俺がぶっちぎりで勝ってやる!

青颯:あとがきにテストなんてなかったよ

晴瀬:これから作るって作者が言ってたぜ!

青颯:作者にプレッシャーかけるのやめてあげて

?:朝から騒々しいな

青颯:うわ、お前いたのか

晴瀬:よう、マキ!お前もこれ読んでみろよ!

マキ:『そしてまた月は満ちる』だと?そんなものを読んでいたら頭も身体も腐ってしまう

青颯:なぜ読者が離れていきそうなことを言うの

凌光:まあまあ、今から第三章のあらすじ聞いてみなよ。ちょうどマキが大活躍するとこだし

マキ:大活躍……?

晴瀬:ほんとか?楽しみだ!

青颯:晴瀬は割とボロボロだけどね……さすがにショック受けるかもよ

凌光:うんうん。辛くなるんじゃない?

晴瀬:物語の俺と番外編の俺は一味違うんだ!だから大丈夫だ!!!!!!

凌光:さわやかな笑顔……

青颯:それじゃあ、いってみるか




〇第三章〇水底




*竜宮*

 みちは竜宮で寝室に引きこもっており、婚礼の日も先延ばしになっていた。しかし彼女の様子を心配した竜宮の主が、みちを竜宮の庭へと連れ出す。美しい庭と主の優しい心遣いに、みちは少しだけ気分が晴れる。しかし寝室に戻ったとき、思い出すのは晴瀬のことだった。会いたいと胸は焦がれるが、彼が本当に人殺しだったらと悶々とする。


 その夜、みちはまた、ある女の記憶を夢に見る。愛したはずの男は自分を騙しており、裕福な自分の家から宝物を盗み出し、また自分を売り飛ばそうとしていた。それを知り憤った女は、男を殺す。また錯乱して、崖から飛び降りた。

 己の絶叫に目を覚ましたみちは、愛したはずの人間が容易に化けの皮を剥がす事実に慄く。次の日の朝、主が心配して彼女の元を訪れた。みちは主に、晴瀬に会いたいと訴えるが、主は「会えば必ず、あの男を殺してしまう。だから、この竜宮で安らかに暮らせる道を共に探そう」と諭す。主の優しさに、みちの目には新たな涙がこみ上げる。


 ある日、みちは竜宮にある田んぼにいた。季節は秋で、黄金の稲穂が首を垂れている。田んぼの中にある祠にそっと手を触れると、辺りが真っ暗になり、銀色の蛇が現れる。その蛇は動けない彼女の身体を残らず這いまわり、闇の中に消える。

怯えた彼女は、頬に触れた温かい手で我に返る。それは、竜宮の主の手だった。みちは、主と婚礼を挙げることに決めた。晴瀬を殺してしまうのなら、最初から会わない方がいいという思いに至ったからだった。


 寝室に戻ると、そこには白髪赤目の巫女がいる。叫ぶみちの口をおさえたその巫女は、ケネカと答える。夢に見た、月の神に憑りつかれた女、すなわち月の女だった。彼女は生前、宮中に招かれた。王の元へ向かうその前の日に海に神に憑りつかれた男、すなわち海の男を殺したのだという。そうすることによって、月の女は海の神の力をも得るとケネカは話す。そして、太陽の子とあがめられる王を殺しにいく。それにのっとりケネカは王を殺そうとしたが、果たせずに終わった。月の女と海の男の運命はそこに行きつくと決まっているから、晴瀬と会わないために婚礼を挙げると決めても、いずれ会ってしまうことになるという。嫌だというみちに、ケネカは畳みかける。竜宮の主は信仰を失った神で、いわば化物である。化物との間に子をなすのかとみちに問う。やがて彼女は消えるが、みちの心は落ち着かない。主を呼ぶと、不安が見せた幻覚だと慰めてくれた。


 次の日、つつがなく婚礼を終えた。その後も穏やかに過ごしていたが、一つだけ妙なことがあった。大きな寝台で、寝間着を着て眠りにつくのに、朝になっていると服が脱げている。水没の中に恍惚を見るような感覚があることだけは、ぼんやり覚えていた。

そんな夜を何日か過ごした後、横の腹に鱗が生えていた。驚く彼女に、侍女が「よくやってくれました。主との子を宿したのですよ」と告げる。彼女は、蛇の子を身ごもったのだと覚った。錯乱する彼女の元に、ケネカが現れる。彼女は「子を堕ろせ」と彼女に言い、また「神となって、お前を吸い込んだあの闇の男を殺せ」と言う。どちらもできないと泣くみちは、月の神が諸悪の根源だとなじるが、どうにもならない。そこに現れた竜宮の主を、偽物のように思った。それから竜宮の全てが嘘のように見え、彼女は「無になれ」と念じる。たちまち竜宮は砂のように崩れ、辺りにはだだっ広い荒野だけが広がる。そこに一人、晴瀬が立っていた。


*月の女と海の男*

 再会したみちと晴瀬は、荒野を黙々と歩いていた。あれだけ焦がれた相手であったのに、感慨に乏しく、自然と口数も少なくなる。夜になって空を見上げると、そこには天の川がある。晴瀬は星にまつわる伝承を、みちに語って聞かせた。

 その夜、みちはまた、月の女の夢を見た。その女は子を宿しており、己を化物と思って洞窟にいた。彼女の元にやってくる男が、海の男のようだった。女は、子供を生んだ。可愛いという感情はあれど、化物の自分から生まれたものはまた化物だと信じて疑わない。ある日、海の男が月の女に打ち明ける。「この家には恐ろしい因習がある。それは両親を殺してその肉を食べ、蠱術の力を身につけるというものだ」彼はそれを断ち切りたいため、蠱術を使えるようになるだけの本と、呪物として死んだ胎児を用意したという。胎児を見た女は発狂し、海の男を殺す。そしてその肉をコウアンという名の子供に食わせ、またコウアンに自分を殺させ己の肉を食えという。


 みちは、恐ろしい夢から目を覚ます。大雨が降っていた。それは、春軌が晴瀬に悪夢を見させるため、降らせている雨だった。そこにケネカが現れ、彼女をからかい去っていく。

 雨が止んだ後、朝日が昇る。暗い顔をした晴瀬を、みちは慮る。しかし晴瀬は「自分が殺したのだから、仕方がない」と零すばかりだった。みちにはその言葉が信じられなかったが、彼は本当だという。自分は何を勘違いしていたのだろうと思うと、身体に力が湧いてくる。その力で、彼女は晴瀬を絞め殺した。

 己の所業に呆然とし、彼女は荒野をふらつく。晴瀬の元へと戻ったとき、彼は目を覚ました。死の世界に死はない。そう感じたことが、彼女に己は既に死んだ身であったことをも思い出させた。晴瀬が起き上がるのに反し、彼女の身体は段々と固く黒くなっていく。彼の呼びかけにも構わず、彼女はひび割れた大地に崩れ落ちてしまった。

 うろたえる晴瀬の元に、高笑いして春軌が現れる。彼の身体は、みちとは反対に、荒野の空に吸い込まれていった。



*神殺し*

 マキが目覚めたのは、何もない荒野だった。朝日と夕日のような瞳をした、涼葉と葉来がそこにいる。二人はマキに「ここは神の居住地を侵した。神は自らお前に手を下すことを所望しているが、ここは並みの人間に来られるところではない。その事情を斟酌し、我々が神を殺す術を伝授するという。

その日から、太陽の出ている間は涼葉から槍術を、夜の間は葉来から沖術を叩きこまれる。死の無い世界で、何度も身体を貫かれ、身を焼かれる。彼女は何度殺されようとも立ち上がる。その最中に己の過去やこの荒野の謎と格闘し、地上に戻りたいという意志を滾らせていった。何千回と打倒された果て、遂に涼葉へ一撃をくわえることが叶う。

 瞬間、大気が歪む。現れたのは、八乎という名の神だった。その神は、沈んだ後の太陽の神だという。マキは体得した神殺しの術を駆使し、八乎を殺すことに成功する。

 しかし、神には目論見があった。この荒野は、信仰を失った神が落ちる場所であった。強い人間に憑りつくことで、地上に返り咲こうとしていたのだった。神の力を得たマキは、沈む太陽に向かって走る。その先に、地上が待つと信じて。




マキ:……分かるわけあるか……

凌光:あっ

青颯:テンプレ展開だ

マキ:私の苦しみが、こんな数文字で分かるはずがない!こんなもので分かった気になるな、軟弱者め!

晴瀬:心配すんな!俺はこれから読むからな!

マキ:誰も読めとは言っていない!

青颯:めちゃくちゃだな

マキ:登場してから散々なこと続きだが、私はいつ安寧を得られるのだ

凌光:読んでみたら分かるんじゃないかい?

青颯:いや、ずーっと不幸。もう第三章よりひどいことばーっかり起こる。だから絶対読まない方がいいよ

マキ:……そう言われると却って読んでみたくなるな……

凌光:読みな読みな!私は釣りでも行ってこようかね

青颯:俺も行く

晴瀬:俺も行きてえ!

マキ:お前は読書だ

晴瀬:仕方ねえなあ。マキの苦しみを、俺も味わってやるぜ!二人で背負えば半分こだ!

晴瀬には、番外編時空になるとキャラが単純になる傾向があります

イメージ的にはホビアニの主人公

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