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農園で転生

4話構成でひとつの物語が完結します。

「完成しました! スキル《暁闇の剣聖》です」


 浮かび上がるホログラムフレーム。

 何気に神様達が住まう世界にはそんな未来技術的なモノが存在するのです。

 そこに完成したスキル仕様を記載して、まる子様に提示すると、


「えっ? 闇的な何かが追加されてない?」

「実は少し改良を施してまして、闇を払う能力を付与しているのです」


 魔王の奥義が判明したので、それに対抗するための力をおまけしてみました。

 元の設計であるスキル《剣聖》でも勝利可能だと思いますが、念のためです。


「転生者が来るまで残り1分だね。時間無いし、ここに呼んじゃお」

「然るべき場所で呼んだ方がいいのではないですか? 風情とかありますし」

「いいの、いいの。リアルを伝えるのが一番。私の居る場所が召喚先なの」


 中々に身勝手な人です。

 周りが農園みたいな場所に大切な転生者を迎えて大丈夫なのでしょうか。

 いつか大目玉を喰らわないといいのですが。


 周囲が暗くなり、虹色の光が静かに舞い降りる。

 命の輝き。

 これだけは、いつ見ても美しいと思います。

 徐々に人の形を取っていく光。

 実像を得た彼は目を開けると、


「俺は死んだんだな」

「貴方は異世界に勇者として転生します。《……の剣聖》スキルをあげましょう」

「分かった! 俺、頑張るぜ!」

「貴方は必ず魔王と戦う運命にあります。では、いってらー」


 そうして、転生者は異世界旅立ちました。


 ……えーと、物分かり良すぎませんか?

 多分、小説にしたら十行くらいで終わってますよね、コレ。


「私が見た中で過去、最速の転生劇だったのですが……」

「昨今はスピードが求められる世界だからさ。最近の若者はすぐ飽きちゃうし」

「何を気にしての、アピールですか……」


 転生場所とか貰ったスキルとか質問すべきところ、満載だと思うんですけど。

 私、農園の件で質問されたら面白い返しが出来るよう身構えていたのに。


「あー、あとスキルの"あかつき、やみ"って何て読むの? 読みを忘れちゃった」

「"あかつきやみ"と"ぎょうあん"どちらでも読めます。私は後者を使いますけど」

「やられたー。普通に読んでも正解のパターンか……」


 漢字の読みって難しいですよね。

 まあ、何にしても無事に転生できたようで安心です。

 魔王軍の戦力をちょこっと削ってしまったけど、きっと大丈夫。

 魔王という肩書を持っている以上、色々と人材は豊富な筈ですよね。


 双璧のなんたら、とか。

 ほにゃらら三闘神、とか。

 うんたら四皇、とか。

 あーだこーだ五人衆、とか


 四天王の討伐は私からのプレゼントということで。

 まる子さんが大きな伸びをしながら、終わったー!、と叫びます。

 事後処理とか経過観察とか色々と仕事があると思うのですが。


 不意に木々や農園の作物が風に揺れます。

 また何処かで転生者が迎えられたか、送られたかしたのでしょう。

 神様達が住む世界は閉じられた空間に存在します。

 異世界と通じた時、たまに心地よい風が吹くのです。


「全ての死を迎えた者に、より良き人生のスタートがあることを」


 今日もまた、素敵な出会いがありました。

 明日も充実した一日になれば良いなと切に願います。


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