15:学院ダンジョン2層目
数日後。ユウリ達"冒険科"の生徒達とその担任の教師であるロントは、人工ダンジョンの草原の中にある窪地、その中央にある大岩の前に集まっていた。周囲は煤と炭で真っ黒になっており、その中に汚れ一つ無い綺麗な岩があるというのは、少々不思議な光景だ。
その岩は、窪地の中央に開いているダンジョンの2層目へと続く道を塞いでおり、2層目からは大怪我をする可能性のある魔物が配置されている為、"生徒達が勝手に奥へと行かないように"と進めないよう設置されているものなのだが、その岩が今日 退けられ2層目が解放される為、生徒達は集まっている。
周囲の煤や灰は、岩の真下が2層目へと繋がっている事を卒業生から聞いていた一部の生徒達が、一刻も早くモンスターと戦いたいが為に、"岩を破壊してしまえ"と起こした爆発の痕跡である。爆発によって岩は破壊できなかった為、岩の周辺一体が焼野原になっただけなので詳細は省くが、それがこの場に居る全員の服や靴を黒く汚している原因だ。爆発によって凸凹にされた地形は、ダンジョンの修復力と人力によってそれなりに修復されているが、土や草が焼けた跡までは消し切れていない。
ロントが岩の前で生徒達からは見えないようごそごそと何かをしている間、ユウリ達は暇なので雑談をしていると、ロントの「これで…よし」と言う呟きと共に突然ゴゴゴゴという地震のような大きな音して、シャーっという何かが滑っている時のような音を立てながら、岩が横へスライドして動いた。
「…階段?」
「階段ね…」
「ゲームみたいだな?」
「だな。こんなとこ"マイたん"にあったよな」
「…あー…あったなぁ」
当然大半の生徒は突然発生したその大きな音に驚き、音源のあるロントの方へと注目するわけだが、岩が動いた事で現れたのは、下へと降りる階段であった。階段は、入口が昇降の際に頭を打たない程度の大きさの正方形の枠に囲まれており、灰色のコンクリートのような見た目をしている事から、「如何にも人工物です」といった雰囲気を纏っている。周囲は焼野原になっているが、草原の中にポツンと存在するその階段は、何故か真新しさを感じる事もあり非常にゲーム的であった。
"ゲームみたいだ"という感想は、異世界からの転生者である双子のどちらの台詞でもなく、リグレスが言った事であり、同じグループメンバーである他の男子生徒二人の同意だ。それはゲーム機のあるこの世界では珍しい事ではないようで、他グループからも同じような内容の会話が聞こえて来る。因みに"マイたん"というのは、"マイナ忌憚"というこの世界にあるゲームタイトルの略称だ。
現れた階段に対し、生徒達は口々に感想を言った後、ロントを先頭にグループ毎に最大4列になって階段を降りる。階段を降りた先はロントを含めた"冒険科"の全員がなんとか入りきれる程度の、教室よりは狭いが十分な広さのある広場になっており、その奥には両開きの扉があった。
扉の大部分はガラスのような半透明の板で出来ており、扉を開く前に中の様子を確認する事ができる。ロントによると扉は外開きである為、これによって扉を開く前に階段側に居る者へと衝突させる可能性を減らす事ができるらしい。
扉の先は広間になっており、扇形の広間の奥には幾つもの通路が見え、左右それぞれの端には蛙と、その蛙よりも小さな牛の像が前に立っている扉がある。事前に生徒達に説明された内容によれば、ダンジョンは数日で踏破可能な広さではない為、一定区間毎に此処と同じような広間が作られており、到達した広間へは牛の像がある扉の先の部屋から転移し、攻略が再開出来るようになっているらしい。
また、2層目からは天井が存在する都合上、空のあった1層目とは違い時刻による変化が起こらない為、広間には昼夜を色で示す時計が設置されている。この世界は日が沈まない為、時計に太陽や月は勿論、数字も描かれていないが、朝、昼、夜、深夜の4つを色毎に段階的に分かれている為、それを基準に昼食を取ったり、寮に戻って休憩をしたりするようにとのことだ。
ロントが扉を開け中へ踏み込むと共に通路の一つから4足歩行何かが飛び出し、そのまま突っ込むように彼へと襲いかかった。が、ロントはそれを予期していたのかその何かをひらりと躱してすれ違いざまにそれの側面へと回し蹴りを叩き込み、蹴り飛ばした。
蹴飛ばされたされたそれはズサーっと音を立てながら滑り、広間の壁に激突して動かなくなった。いや、動いてはいる。動いてはいるのだが、それは壁に刺さってしまった自らの牙を引き抜こうと4つの足で踏ん張っている体勢で固まっている。
生徒達は突然の事に驚き一瞬硬直してしまったが、ロントがその何かを蹴り飛ばした頃には襲撃されたのだという事を把握し、動きの止まったそれを見て襲撃者が何であるかを理解する。牙は地面付近に刺さっている為、お尻を突き出したような体勢になっているので絵面が非常に間抜けだが、それは牙を前に突き出した猪のような姿の土のゴーレムだ。
「さて、君たちにはこのようなゴーレムを―」
ロントが説明を始めたその時、ゴーレムの身体が飛び込んできた。跳ぶ瞬間を視界の端で捉えていたロントは、それまで壁の前で固まっていたゴーレムが突然跳んだのを認識すると、すぐにそれまで腰に携えたままだった剣を鞘から抜き、自身と生徒達の間を通過するゴーレムをそのまま空中で切り捨てる。
斬られたゴーレムの身体は上下に分かれ、形を保ったまま地面へと落ちる。ゴーレムは破壊されたからと言ってすぐに停止するわけではない為、脚のある下部は残った僅かな力で着地する事に成功したが、それ以上の力は無いようで、着地した瞬間の姿勢のまま動かなくなった。
「―倒しながら先へと進み、最深部を目指してもらうわけだが、倒したゴーレムからは……?」
動かなくなったことを確認すると、倒したゴーレムの元へと歩きながら説明を続ける。ゴーレムは着地した時の姿勢のまま表面からボロボロと崩れていたのだが、全ての脚の太さが半分程になった所で脚が折れてドシャッとその場に崩れ落ち、その衝撃によって残っていた部位が一気に崩壊した事で何の変哲も無い土の山へと姿を変えた。
ロントはその崩れたゴーレムの残骸である土の山を崩し、中から何かを探していたのだが、目的の物が見つからなかった為、彼は首を傾げてゴーレムが跳んだ軌道上を見ると、もう一つゴーレムの残骸らしき土の山を見つけた。
それは単なる土の山であり、彼が先程確認したものより明らかに小さな山ではあるが、このダンジョン内にある土はゴーレムの残骸以外、誰かが他所から持ってこない限りは存在しないし、考えられない。ましてそれが先程までゴーレムが刺さっていた壁の近くにあるとなれば尚更だろう。
まさか。と思いつつロントはその山へと駆け寄り、中を探すと米粒ほどの大きさの、茶色のガラス玉のような綺麗な球が出てきた。それを拾い上げると彼は生徒達方へと振り返って説明を再開する。
「…倒したゴーレムからはこのような魔石が手に入る。これは前にも教えた通り、ゴーレムを作る際に使う魔石だが、これを提出する事も課題とする。もし期限内にダンジョンを突破出来なくてもこれで評価するので、倒したゴーレムからは忘れずに持ち帰ってくるように」
ロントが拾い上げたそれは、彼が言っている通り魔石と呼ばれる魔力の結晶であり、この魔石を核としてゴーレムは作製される。
どちらの残骸も既に土の山になっている為、一体どの部位に魔石が含まれていたのかは不明だが、恐らくゴーレムは壁から抜けた際に魔石を含む身体の一部が欠け落ち、残った力だけでゴーレムは跳躍していたのだ。魔石がなければゴーレムは動かず、ゴーレムのではなく刺さっていた場所付近から発見されたという事は、ロントが斬った時には既にゴーレムは停止寸前の状態であり、何もせずとも倒れていたのだろう。その事に気付いてか魔石を拾った際に一瞬彼の口はへの字に歪んだが、すぐにそれを直してに態度に出す事はしない。
ゴーレムは人によって作られる魔物であり、作成された形によって様々な動作を可能とする為、その用途は多岐に亘るのだが、この人工ダンジョンでは2層目以降の魔物として、ダンジョン攻略を目指す生徒達の前に立ち塞がる障害としての役割を持っている。
基本的にゴーレムは設定された幾つかの行動をとるように出来ており、このダンジョンでは設定された範囲内で行動し、ゴーレムの形毎に設定された条件を満たした生物を攻撃するように出来ているのだが、この攻撃対象の条件には"対象が満身創痍ではなく、自力で立っており、行動している"という条件が必ず設定されている為、戦闘不能になった生徒がゴーレムに殺されるという事が滅多に起こらないようになっている。
自力で動く事の出来ない生徒に対しては、別のゴーレムが学院の建物内へと送り届けるようになっているらしく、グループからはぐれ、迷子になった場合でもその場でじっとしていれば外へと出られるようだ。
障害としてはゴーレムでなくとも良いのだが、あまり強い獣を配置して生徒を死なせてしまっては元も子もないし、人工ダンジョンには魔物が自然発生しないので補充しなければならない手間はあるが、勝手に増える事が無く、命令通りに行動するゴーレムは学院にとって都合が良い。
また、魔石についても魔力の塊である為、同じ魔力の塊である魔物の全てが自らの体内に持っている事や、魔石を創り出す道具が存在する事から、この世界では蓄電池のような物として使われているほどありふれた物である事も理由だ。
強力なゴーレムの制作や魔術の起動をする為の魔石であれば高くつくが、学院のダンジョン内に配置される程度の性能のゴーレム制作に使用される程度の魔石であれば、希少な物ではない為、安く大量に仕入れられる。
ゴーレムの制作には身体を作る部品と、動力としての魔石があれば良いので、コストが掛からないという点もある。銀や白金のような高価な物を部品として使うならばともかく、土や石などのどこでも手に入るようなものを使えば、後は魔石と術者の労力だけなので安上がりで作る事が出来るのだ。
「さて、これで全部…あ後、それから…此処の扉はしっかり閉めるように、そこの扉は特にな」
その後ロントは学院の内にある魔石の提出場所やダンジョン内の仕様をユウリ達に伝えた後、ふと思い出したように言った。"そこの扉"というのは、今しがたユウリ達が広間に入る際に通った扉の事だ。この扉には鍵が掛かっておらず、生徒達には意味の無い扉にしか見えないので「どうしてですか?」という質問が生徒達の中から挙がる。
「扉が開いてると上の獣共が此処に入ってくる事があるからだ。別に入ったからといって特に問題は起こらないが…中で餓死した獣の死体が通路に放置されていたら嫌だろう?」
1層目、草原の獣はダンジョン内ではあるが殆ど放牧と同じ状態である為、仕切りが無いと外へは勿論、奥へも入って来てしまうので必要な物であるようだ。救護用のゴーレムも元々ダンジョン内に居る獣に対しては対象外に設定されている為、追い出される事もない。
弱った獣はゴーレムに襲われることはないが、助けられる事もないのでそのままダンジョン内を彷徨う事となり、終いには衰弱死する事となるのである。その説明を聞いていた生徒達の何人かは放置された死体を想像したのか気分を悪くしたようだが、ロントが見た限りは全ての、少なくとも真面目に話を聞いていた生徒達は理解し、頷いていた。
説明が終わった事でロントは生徒達は探索を始めるわけだが、広間からは幾つもの通路に分かれている為、グループ毎に別れてそれぞれ思い思いの道へと進む。先は迷路になっており、進む方向次第では行き止まりや同じ進行度の広間に出る外れの道もあるが、最初の広間からだけはどの方向へと向かっても奥へと進む事が出来るようになっているらしい。
「人…いやゴーレムか。2体、まだこっちには気付いてないけどどうする?」
「相手の強さが判らないから不意打ちは当然として…そこからは各自自由に、かな」
「まだ俺達連携なんてとれないからなぁ」
「連携以前にグループで戦った事すらないですね…」
「2体居るし2手に分けるくらいはした方が良いんじゃないか?」
「じゃあ男子と女子で分かれて対処。ユウリはそれでいい?」
「問題ないよ。とりあえず倒す事優先だね」
ユウリ達のグループが入った通路のすぐ近くの曲がり角の先には、2体の人型ゴーレムが居た。距離があった為か、ゴーレムは棒立ちのまま動かない為、軽く相談してから臨戦態勢に入る。
"グループで戦った事が無い"というのは、草原の生物は草花を強奪したり身を護るために全身を針で覆っていたりするだけであまり力も耐久力も無く、この世界の15歳以上の人物であれば全くダメージを受けず、余程力が無いのでなければ2、3回ほど首を斬りつけた時点で動かなくなってしまうのだ。
更に先日クロスボウを貰った事で、ユウリも周辺に被害を出さず簡単に斃せるようになり、1人であっさりと斃す事の出来る生物が相手では、グループで戦うよりも個人で戦った方が良いとなるのは自然な事だろう。人と同じくらいの生物が多かった為、荷運びの為にグループで行動はしていたが、それだけだ。
相談の結果…というよりもこれはこのグループ内に前衛が3人しか居らず、その内1人が大剣という重量武器を扱う為に前から決まっていた事なのだが、リスティーとリグレスの2人が先陣を切って2体それぞれのゴーレムに対して攻撃を仕掛け、その後に残りの5人が続く事となった…のだが、ゴーレム達は最初の2人の攻撃によってその場に崩れ落ちた。
「…あら?」
「…弱いな?」
思っていたよりも脆かったのだろう。振り返った二人は、自身の攻撃のみを受けて倒れているゴーレムを見て首を傾げる。ゴーレムは無機物から作られる魔物である為、高い耐久力を持つことで有名なので一撃で沈むとは思っていなかったのだ。
「…偶々弱点だったのが原因だろうけど…オーバーキルだね」
崩れ落ちたゴーレムに対してクロスボウを構えていたユウリが近付き魔石を探すと、頭部だった土の塊からは割れた魔石が見つかり、それによって何が起こったのかを把握すると共に呟く。
先述した通りゴーレムは内部に核となる魔石を持っている。核である以上魔石が破壊されれば当然ゴーレムは機能を停止してしまうのだ。初見であった為、狙って起こしたわけではないのだろうが、2人の持つ
メイスが不意打ちによって無防備な頭部に叩きこまれ、その内部にあった魔石が破壊された事で停止したのである。今回は不意討ちであり、偶然とはいえ魔石を破壊した事で一撃で仕留めたのだが、ゴーレムを問題無く倒せることを確認した彼女達は先を目指して歩き出す。
「…これじゃ上の獣と変わらねぇな」
「私たちが強い…というよりもこれはこのゴーレム達が脆いのね…」
「メイスなら私でも簡単に倒せるしね…」
初戦闘から二十分程後、奥へと進む間に何度か遭遇したゴーレムとの戦闘で、クロスボウ以外の攻撃方法によってあっさりと破壊される土製のゴーレムに対するユウリ達の感想がこれだ。土のゴーレムは衝撃に対して弱いようで、リスティーからメイスを借りたユウリでさえあっさりと倒す事が出来る。
代わりに矢による攻撃や、魔術に対しては強いのだが、ユウリ以外の生徒は素手でも十分に戦えるので問題は無い。矢の効果が薄いのは、矢による攻撃が対象を貫く物である事と、魔力によって動くゴーレムの身体は、核以外身体のどの部位に穴が開いてもあまり変化がないからだ。ゴーレムは身体を一定割合削り取られると形を保てなくなる為、身体を大きく削る攻撃ほど効果的である。
その後も脆いゴーレム達を蹴散らしながら進み、ロントからダンジョンの説明をされた場とよく似た広間へと辿り着いた。途中、ゴーレムの身体に石が混じり始めたが、ユウリがメイスを使ってもゴーレムに碌なダメージを与えられなくなり、メイスをリスティーへと返した事と、身体に混じった石を弾き出す事に成功した際には矢が有効になった事以外には大した変化はない。
相違点としてはまず、牛の像の代わりに穴の開いた三角の像が設置されているという事だ。これは最初の広間からの移動先になっている為、出口であるという事らしい。像の形についてロントは『理由はわからないが、何か意味があるのだろう』と言っていたが、実際は広間によって左右の部屋の役割が入れ替わる為"『左右どちらの部屋に入れば良いか判りやすくしてほしい』という要望から像の作成が決まった際に、当時の学院長の思いつきで形が決まった為"であり、あまり意味は無い。
次に広場の中央には大きな魔石と台座があり、ユウリ達は順に台座に手を翳して自身の魔力を記憶させる。これをしないとこの広間と像がある部屋の間にある扉が開かず、次回再びダンジョンに入った時に、ここまでまた土のゴーレムを倒しながら自力で来なければならなくなるのだ。
広間に辿り着いた時点で広間の時計は夜を指していたので、彼女達は全員が台座に手を翳し終えた後、寮に戻ることとなった。戻る為の魔法陣は蛙の像がある扉の先にあるので、そちらへと進む。
「これってどこに出れんだ?」
「…そういえば脱出できるとしか聞いてないね?」
扉の先にある部屋には魔法陣が描かれた円形の台があるのだが、それを見てふとリグレスが疑問を呟き、その呟きに少し考えてからフウカが答えた。彼女達生徒が説明されたのは、牛の像の部屋には複数の転送の魔法陣があり、その中から迷路の途中の広間へと転移する事が出来る事。転送先は三角の像の部屋だが、そこの広間に誰も来た事が無い場合、戻る事しか出来なくなる事。蛙の像の部屋から迷路を出られるという事の3点だ。脱出時にどこに出るのかについては迷路の外としか説明されていない。
「何も説明しなくても良いような場所に着くって事じゃないかしら?」
説明がないという事はロントが忘れていたのでなければ"説明するまでもない"という事なのではないかと言うリスティーに「それもそうか」と2人は納得した。ユウリや他の3人は喋っていないだけで、リグレスの疑問に会話に首を傾げたりリスティーの台詞にポンと手を叩いたりと反応は返している。その後7人全員が台に乗り、全員が魔法陣の中にいる事を確認した所で足元に魔力を流して魔法を起動した。
起動された陣は光輝き、その光が新たな魔法陣となって浮かび上がる。現れた魔法陣はくるくる回転しながら上昇し、ユウリ達を通過して彼女達の頭上にある天井を開けた。開いた天井からはダンジョンの外が夜である事を示す深紫色の空が見える。
頭上から差す光によって、天井が開いた事に気付いた彼女達の"何故天井が開いたのか?"という疑問を余所に陣は更に強く光輝き、それと共に乗っている台がゆっくりと上昇し始め、そのまま開いた天井から外へと送り出された。
送り出された彼女達は、まず始めに目の前に広がる草原と、その先にダンジョンの出口がある事を示す塔を見た。その次に後ろを見て一部炭化している草原や森を確認し、どうやらダンジョン内の草原、出口と迷路の入口の間の地点へと送られたらしいという事を理解する。
「これは…迷路の外としか説明し辛いな…」
「…『使えばわかる』って事だね。多分…」
現在位置を認識した後、周囲を確認すると、草原の彼方此方にユウリ達が起動した魔法陣と似た光と共に地中から上がって出てきたり、彼女達よりも先に出て来ていたのだろう同じような台に乗ってこちら側を見ていたりとする他のグループの生徒達がおり、迷路の入口よりも森に近い位置に出たグループや塔よりも先の普段はあまり行かない方へに出てきたグループが居る事から、彼女達は恐らく辿り着いた広間によって出る場所が変わるのだろうとロントの説明に納得する。
迷路から出てしまえば後は塔へと向けて真っ直ぐ歩けばダンジョンから出る事が出来、草原の生物は内部に生えている植物を持っていなければ襲われる事も無いので、足元にさえ気を付けて居れば特に何かが起こる事も無く、全員無事ダンジョンから脱出した後は学院内にいるロントへと自身のグループ全員が戻ってきた事を報告し、各自それぞれの部屋へと帰って行った。
マイ譚:マイナ忌憚。主人公『アスタ』を操作し、荒廃した世界を救う勇者として冒険する2D見下ろし型アクションゲーム。タイトルの『マイナ』は、プレイヤーに旅の目的や次の目標を伝えるナビゲーターの役割を持つ女神の名前なのだが、ストーリー中、アスタの台詞は無く、NPCとの会話でしか名前が表示される事がない為、ゲームをプレイした者以外からは『マイナ』が主人公だと思われている。
ゴーレム:魔術式自動人形。核となる魔石を中心に魔術を使用して作られた人形であり、魔力によって動いているロボットである。自律性は無い為、細かい設定をしなければ柔軟な対応は不可能であり、主な用途は施設の防衛や簡単な部品の組み立てのような単調な作業である。
ユウリ「迷路の入口は下から見る分には殆ど普通の階段だよ。ちょっと長いけど」
リグレス「ゲームと違って先が見えるからな」




