十話目 孤児院へ
文字量を増やし始めて結構ギリギリになってきました^^;
ソハルから冒険者の事について色々教えてもらえることに喜びながらテーブルにつく。
テーブルは恐らく木から切り出したものだろう。テーブルの面は年輪が綺麗に見えるほどすべすべだが、縁には幹だっただろうと思われる物がついている。椅子は何かの毛皮を被せたのかふかふかで座っていて痛くない。近くの竈ではソハルが何やらやっている。そこから香ばしく食欲をそそる匂いがするのは間違いないようだ。
「ほれ」
「ありが――こ、これ食べていいの!?」
「最近、豊作らしくて街長が沢山くれたんだよ。俺が全部食うと太りそうだからな」
ハッハッハと大きめの声でソハルは笑う。
テーブルの上には大きく柔らかそうなパンに竈からいい匂いを漂わせていたであろう肉、それに漬けていた野菜が乗っていた。孤児院にいるラルクには初めて食べる豪勢な食事である。思わずヨダレが出そうになるのは仕方が無いことだとも言える。
ソハルは続けて言う。
「若いやつはたくさん食べなきゃだめだしな。冒険者も食える時に食っとくもんだ。命懸けで戦う時に飯食ってねえで力が出ないのはそいつの責任だからな」
「へぇー」
早速冒険者のことを教えて貰ったことと美味しそうな食事を前に少し興奮気味のラルク。
「じゃあ食べるか」
「うん」
黒パン半分の生活をしてきたラルクにはその食事は美味しいの一言で片付けられるものではなかった。
柔らかくちぎりやすいパンと脂がのった肉、料理というには余りにも工夫がないが、美味しいものは美味しいのである。
無言でラルクは食べ終わる。それほどまでに食事に飢えていた証拠でもあろう。顔を上げれば既に食べ終わっていたソハルがこっちを眺めていた。
「よし、飯も食い終わったしムルリアの街に行くか」
「わかった」
ラルクは自分の持ってきていたものを確認するため寝ていた場所に戻り薬草を入れる為の籠を探す。その部屋をきょろきょろして探すと、すぐ見つかった。それを背負い直し、ソハルの元に戻ると剣を装備した状態でいつでも出発してもいい様な体制になっていた。
「んじゃ、準備もできたし行くかあ」
ソハルが先導して山道を通る。この山にはラルクも身をもって知った通り魔物が出る。よって一般者と魔物の討伐に向かう冒険者やら傭兵やら騎士やらとの道を分けている。
もちろんわざわざ襲われに行くのが目標ではないラルク達は一般者の道を通る。
道中は特に何も無かった。強いて言うのであればいくつかの商隊が反対方向のシャレスティーンの街に向かっていったくらいである。
太陽が地平線からだいぶん離れて影が自分の身長と同じくらいになる頃。
ムルリアの街に近づくにつれ見覚えのある道になってきたところでラルクが先導し始める。
「――そこを左に曲がれば……」
「……ここか」
少し戸惑ったかのようにソハルは反応した。
そんなことには気付かずラルクは扉を開ける。
「誰かの?」
ノックをせず開けたことで部屋の奥から鋭い誰何が飛ぶ。
ラルクは声を出してそれに応える。
「おじいちゃん――ただいま」
おじいちゃんが奥の部屋から顔を出す。
「おおラルクか。アリサが帰ってきても帰らぬから心配したぞ――そこの男は誰かの?」
「あ、この人はソハルって言うんだって」
「ソハルっていいます。この子が魔物に襲われかけてたので助けたのですが、その後気を失ってしまったので一日泊まらせてそのあとここへ来ました」
「それはそれは。危ないところを助けていただきありがとうございます」
おじいちゃんが丁寧にお辞儀をする。
ソハルも慣れない敬語を使っているようだ。
「少し二人で話しませんかの?」
「――は、はい」
「では外に行きましょうか」
ラルクは二人の背中を目で追った。
春は寝ちゃうんですって( 笑 )




